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#日常|半額のパンを手に取るとき

山崎製パン 『ダブルソフト』

スーパーで買える食パンの中でも
高級ラインだと思うパン。

それを手に取れるは、半額のときだけである。


休日の夕方。

特に予定がないときは、近所のスーパーに行く。

3回に1回の確率で、半額のパンに出会える。

半額の彼らは、明日が期限のことが多い。

味音痴な私は、
期限の近いパンも冷凍してしまうので、
明日までが期限なことなど気にしない。

気にしないのだが、
「半額」をカゴにたくさん入れている自分は
どこか肩身が狭い。

それとなく「半額」シールが見えないように、
カゴの隅にシールを隠したり、袋をひっくり返したり。

「自分は何をしているんだろう。」

毎回そう思うのだが、やめられないのだ。


ダブルソフト、300円。

これでも一応、30歳の会社員。
定価で買う余裕はある。

だが、定価では全く買う気になれないのだ。

これは決して、
「ダブルソフトがそこまでの価値がない」という訳ではない。

分かってもらえないことは覚悟のうえだが、
半額で買うのは、安さが理由ではない。

「なかなか出会えない半額に出会えた記念」として買っているのだ。


スーパーに入店。

真っ先にパンのコーナーに行き、
「今日はあるかな」とワクワクしながら棚を見渡す。

その中で、赤・黄のデザインに黒字を見つけ、
その文字に目を凝らす。

「半額」だ。

不思議なことに、
「半額探し」は肩身が狭いと感じる一方で、
敵の多さ、競争の激しさも感じる。



目当てを見つけた瞬間に、
手中(カゴ)に収めなければ、
あっという間に消えてしまう。

目当てのパンをすばやく集め、
カゴの中の配置を整えながらレジに向かう。

セルフレジのおかげで、
店員さんとの気まずい空気は無くなった。
ここまでくればもう安心だ。

…といったことを頭の中で考えながら、
半額パンを手に、ほくほくしているのだ。


肩身の狭い「半額探し」も、
最近は拠り所がある。

「SDGs」だ。

言われて気づいたが、
期限の短い食品を選んで買うことで、
フードロス、食品ロスを防ぐ。

ずっとこのことに気づきもしなかったことに、
多少の恥ずかしさは感じてしまうが、

肩身の狭かった半額探しも、
社会に貢献できているのかと思うと
少しだけ胸を張ってもいいのではないか。


半額のダブルソフトを手に入れられたら、
次の日の朝が楽しみになる。

少し早めに起きて、朝食を楽しむ時間を確保。

CMのように縦に割って、
ホットコーヒーと一緒にいただきたい。

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