高校野球のチームに内部統制は必要か?

「内部統制」とは、組織が目標を達成し、財務報告の信頼性を確保し、法令を順守し、業務の効率性を高め、資産を保全するためのしくみやルールのことです。
これは、組織が正しく運営され、リスクを把握し、対応することで、信頼性のある経営を実現するために必要といわれています。

ただ、世間一般には、「ムダ」とか「めんどくさい」とかのイメージしかないように感じられている「内部統制」ですが、今回は、「高校野球のチームに内部統制が必要か」という説明に挑戦してみたいと思います。


日本の内部統制の目的を高校野球チームに置き換えてみる

日本の内部統制の4つの目的を、高校野球チームに置き換えてみます。

  1. 財務報告の信頼性
    野球チームでいえば、試合結果の正確な記録と統計を保証することです。
    チームの勝敗実績や選手の実力評価を公平かつ正確に把握することによって、チームとしての総合的な戦力をはかることができます。
    また、次の対戦相手に向けて、改善点や強化すべきポイントを見極めることができます。

  2. 法令順守
    野球チームでは、試合のルールや競技団体の規程を順守することが重要です。野球ルールに従ったプレーをして、大会規則に従った公平な試合を行うことで、他のチームや審判から信頼が得られ、公式戦や練習試合などに参加することができます。

  3. 業務の有効性と効率性
    野球チームにおいて、選手の特長を活かし、練習の効率を高めることで、限られた時間内でより成果を上げることができます。戦術やプレーの改善を継続的に行い、チーム全体の実力を向上させることが目指されます。
    また、試合の局面では、少ないチャンスで多くの点数を取るための作戦が常に選択されています。

  4. 資産の保全:
    野球チームの資産は、練習用具や球場の利用権、そして何よりも選手自身です。
    チームとしての高い総合力を持つためには、これらを大切にし、破損や怪我のリスクを最小限に抑えることが不可欠です。

日本の内部統制の6つの要素を高校野球チームに置き替えてみる

  1. 統制環境
    これは野球チームの「チーム文化」と言えます。チームメンバー同士が信頼し合い、コミュニケーションが円滑であれば、チーム全体の結束が強まります。コーチや先輩選手が良い例を示したり、お互いに士気を高めあったりすることで、一丸となって目標に向かうチームが形成されます。

  2. リスクの評価と対応
    野球チームでは、相手チームの戦術や選手の特長を分析し、戦略を立てることが重要です。まず自分のチームの戦力を把握したうえで、相手チームの弱点やリスクをそれぞれ適切に把握し、その対応策を考えることで、ピンチを減らしたり、ピンチを最少失点でしのぐことができ、逆転の機会をうかがいながら、試合に勝つ可能性が高まります。

  3. 統制活動
    野球チームにおいては、練習や戦術の徹底が該当します。
    メンバーがそれぞれの役割を理解し、協力して実行することで、試合でのチームワークが向上し、戦術の成功確率が高まります。
    逆に、自分の役割を果たせないと、チームが勝つための最適な戦術が実行できず、相手チームに勝てない確率が高まってしまいます。

  4. モニタリング
    野球チームでは、試合のビデオ分析や練習の「振り返り」を行うことで、プレーの改善点や選手のコンディションを把握できます。
    このような継続的な振り返りを通じて、チームの強化点や問題点をその都度把握し、修正・改善していきます。
    もちろん前提として、個人の技術を高めるためにも練習と「振り返り」が大切です。

  5. 情報と伝達
    野球チームでは、コーチからの指示やチーム間の連絡がスムーズに行われる必要があります。
    ピンチの時には、ベンチから伝令選手がピッチャーマウンドに走りより、監督のアドバイスを伝え、集まった内野手の考えを整理するシーンをよく見ます。
    チームとして考えていることが選手全員に共有されなければ、戦術の一貫性が損なわれ、効果的な戦い方ができません。

  6. ITへの対応
    野球チームにおいては、データ分析やトレーニング方法の科学的根拠に基づく改善など、IT技術が活用されることがあります。
    例えば、相手チームの局面ごとのプレーデータやカウントごとの配球データなどを分析して、自分たちが採用しようとしている戦術が通用しそうか確かめたり、通用させるために必要な技術指導や意識統一を図ることなどに活用したりしています。

高校野球のチームが内部統制で試合に勝つために

試合に勝つことを目的とした場合、内部統制の6要素がどのように重要かを考えてみます。

  1. 統制環境
    チーム全体が一丸となって目標に向かうため、選手同士の信頼関係や結束力が勝利に大きく影響します。

  2. リスクの評価と対応
    相手チームや選手の特徴を分析し、戦略を立てることで、相手の弱点を突いたり、自らのリスクを最小限に抑えることが可能となります。

  3. 統制活動
    練習や戦術の徹底により、個々のプレーヤーが最大限のパフォーマンスを発揮し、チーム全体で連携して戦えるようになります。

  4. モニタリング
    試合や練習の「振り返り」を通じて、改善点を把握し、次に生かすことで、戦術の精度や選手の成長を促進します。

  5. 情報と伝達
    指示や戦術の共有がスムーズに行われることで、試合中の意思疎通が良くなり、素早い判断が可能となります。

  6. ITへの対応
    データ分析や科学的な手法の活用により、より効率的で効果的な戦術を編み出すことができ、勝利への可能性が高まります。

まとめ

以上のように、高校野球チームが勝利に向けてチーム全体で連携し、目標を達成し、試合に勝つための戦略として、内部統制の6要素が大切であることが少しでもおわかりいただけましたでしょうか。
まぁ、儲けて世の中の役に立つためには、それぞれの要素を適切に活用し、企業の総合力をアップさせ続けていくことが大切だということは、上場している、していないに関わらず、一般の企業であればどこも同じだと思います。
少しでも「内部統制」の理解にお役に立てれば幸いです。

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