つながる

stay homeのさなか、村上春樹の「1Q84」を読んでいる。ずっと気になりつつ、なかなか手を出せない本とか映画などがあるが、これもその一つ。この状況においても休日が少ない生活を送ってはいるが、それでも家で過ごす時間が長くなりそうだ、と少し前に文庫本をまとめ買い。あっという間に読めてしまい、終わりが近づいてきてしまった。

なぜ「1Q84」に「手を出してしまった」かというと、私が敬愛する内田樹氏の本の中で取り上げられていたから。とはいえ内田氏の本を初めて読んだのは今年の年始だから、敬愛歴はたった数ヶ月なのである。

本を長時間読み続けるには集中力が必要だ。もともと注意散漫な性格の私は、休憩がてらふとテレビをつけた。Eテレで「100分で名著」の再放送やってる。カミュの「ペスト」をまとめて放送。今の情勢だから「ペスト」なんだろうと思いながら腰を落ち着けて観始めた。

するとなんと!最終回にゲストとして内田氏が登場されたではないか!!え?そもそもこの番組、解説者以外にゲストとかあったっけ!?この数ヶ月で内田氏の著作を月一冊以上のペースで読んではいるが、なにぶん短い敬愛歴。動いている内田氏の姿をこの目で見るのは初めてだ!!一瞬、カミュ先生のことを忘れてミーハー的に跳び跳ねてしまう。生(なま)内田氏は不思議なほど想像通りの姿形で、すごい熱量でカミュ愛を語っておられた。ステキ過ぎる。

おっと本題。「ペスト」で語られていることの本質は、現在の状況と通低することが分かりやすく理解できた。そして内田氏が語る「身体感覚」「グレーゾーン」について、私自身が大事にしたい(実際にできているか、というのは別として)価値観が言語化されているようで大きな共感を覚えた。そして番組の最後の方で涙がこぼれた。制御しようがなく、私の感覚が震えたとしかいいようがない。

内田樹→村上春樹→カミュ→内田樹。求めていれば、それらはつながる。

夜が近づき暗くなってきた。人混みを避けて近所の本屋に出かけよう。もちろんカミュの「ペスト」を買いに。

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