こんなところで
この写真の場所はルーフバルコニーの柵の外だ。乗り越えてこの場所に行くには少し勇気が要る。高いし、その先に柵はもうないし。
コンクリートの隅に集まってきただけの土はとても少ないはずで、水だって雨だけが頼りだ。そんなところに何か花が咲いているのを昨夜見つけて、朝になって改めて見に行ったら、
ランタナだった。
どこから来たんだろう。
我が家にあるランタナは、こじんまりした鉢植えだ。去年は花を咲かせることができなかったし、今年もまだ蕾ができたばかりだ。
厳しい環境に生きるこのランタナの方が元気できれいに咲いている。どんなところであっても、「自然の方が自然」ということなのか。
それにしても、いつ、どこからどうやって来たんだろう。ご近所のベランダからなのかな。
他にも、ベランダ側の方には青紫蘇が育っていて、それは柵の内側だから気づいてはいたけれど、もともとうちにはなくて、勝手に逞しく育ったものだ。
そういえば数年前のことだけど、ルーフバルコニーの外側を掃除してくれた管理人さんが、「雑草は捨てるけど、ブライダルベールが咲いていたから」と、わざわざ玄関先に持って来てくれたことがあった。こんもりと茂り、白い花をたくさん咲かせていた。
いやいや、うちのものではないので…と丁重にお断りしたのだが、あのブライダルベールも何処から来たのやら。ランタナと同様、全然気づかぬうちに花を咲かせていた。
遠くは眺めても、手の届かないバルコニーの隅に目を向けることはほとんどない。というか、見ないようにしているとも言える。雑草が気になっても自分では抜きに行けないし。
たとえ、何処からか来た何かが、ものすごくお気に入りの花を咲かせたとしても、手に入れることはできない。
それとも、思い切って柵を越えて行くのかな。