#48 本屋で自分が向かうべき方向を知る

久しぶりに本屋に行った。最近はカフェや物販併設型のオッシャレな本屋(二子玉川や中目黒の蔦屋書店とか)があったりして、そういう場所に行くのもワクワクするから好きだけれど、私は本しか置いていない昔ながらの本屋もとても好きなのです。
基本的に本を買いに来てる人しかいないので静かだし、書店員さんの本好きそうな雰囲気も無条件に好感が持てるし、ちゃおとかりぼんとか少女時代に読んでいた雑誌を衝動買いしたくなったりするし。未確認だけど、蔦屋書店にはちゃお置いてないもんね。

最近の土日は心地よく一人で過ごすことが多いです。コロナを機に、良い意味で無理に人に会わなくなり、周りの人からはちょうど良いレアキャラとして存在している気がします。一人で近所のバッティングセンターに行ったり、相変わらず東京都内の銭湯をめぐって自身のSNSで細かくレポートしたり。
今回の土日もそんな感じで一人をお散歩を謳歌して、本日は近所の昔ながらの本屋さんに足を踏み入れてみたのでした。

Kindleを手に入れてから読む本の9割は電子書籍になったのだけれど、改めて「本屋」の威力を思い知ることになりました。
普段ボーッと生きてるつもりでも、自分がいま何に興味を持っていて、どういう方向に進みたいのか、ヒントをたくさん見つけることが出来るなぁ、と感じたのです。

まず目に留まったのは、中野 信子著『ペルソナ 脳に潜む闇(講談社現代新書)』。最近最も売れている新書コーナーの1位にあったからという理由で手に取って数ページ読んでみたのだけれど、興味をそそられた一文がありました。
「わたしのペルソナ(他者に対峙するときに現れる自己の外的側面)は、わたしがそう演じている役である、といったら言い過ぎだと感じられるだろうか? あなたが、わたしだと思っているものは、わたしではない。一時的に、そういう側面を見て取ってもらっているだけのことである。

わたしは存在しない。これは悲しいことではない。透明な存在であることを嘆く必要はない。だからこそ、来るべき変化に対応することができるからだ。もう変化のときは来ている」

なるほど、この考え方は以前読んだ平野 啓一郎の『私とは何か 個人から分人へ(講談社現代新書)』に通ずるものがあるなあと感じ、Kindleで購入を決めました。(書店さんごめんなさい、新書はKindleの方が読み進めやすいのです)
売れてる新書コーナーには、人間関係に悩める人たちに「気楽に生きようぜ!」といったメッセージを発してそうな本がたくさんあって、あぁ、世の中には周囲との関係に上手くいかずにたくさん悩んでいる人がいるんだなぁ、と感じ入ってしまいました。幸いなことに、たった今悩んでいる人間関係がほとんどない(あったとしてもしょうもないこと)から、この本を手に取る緊急性は高くないのだけれど、置かれている場所が変わればいつか悩む日が来るので、来るべき時に備えて「自分を守る方法」は知っておきたいと思いました。私の興味その①。

その次に目が留まったのは丹羽宇一郎の『部長って何だ!(講談社現代新書)』でした。
会社員になってから1年8か月、100人近くいる部のトップである部長は、私から見たらけっこう無鉄砲で、ちょっと昭和で、かなり粗々で、正直どう接すればいいのか分からないときがある。
課やチームといった、比較的小さなチームをうまくまとめるためには?
課・チームの集合体である「部」を引っ張っていくためには?
さらにたくさんの部が集まった「組織」を同じ方向に向かわせるためには?いわゆる組織論やリーダー論といったテーマが、会社員になってからはより身近に感じられるようになりました。私は今チームの構成員でしかないけれど、チームをまとめる課長や部長の置かれている状況や、気持ちが分かるようになれば、もっとコミュニケーションがうまく取れるのかな。組織の一員として、組織をより良い方向に引っ張っていける人材になりたい。そんなことを考えています。私の興味その②。

他にもいろいろ目を通したのだけれど、最も時間を費やしたのが資格書のコーナーでした。良し悪しは別にして、私は「資格の勉強」が結構好きだし得意だと思っている。逆に目的がはっきりしない勉強は長続きしないことが多かったです。余談は置いといて、私はいま、ある形で企業を支援するちょっと特殊な会社にいるのですが、新卒で入って管理部門に配属されたこともあり、恥ずかしながら、支援する対象である企業の仕組みをよく分かっていないのです。
とはいえ、いつかは企業支援をする場所に配属されることが明白なので、信頼のおけるアドバイザーとなるためにも、企業の仕組みをしっかり知っておきたいとひそかに野望を持っているのです。
そんな野望を満たすのにちょうどよさそうな(?)「中小企業診断士」という、企業経営の知識を横断的に学ぶことのできる経営コンサルタントの国家資格があると知ってから、半年くらい興味を持ってきました。先にスペイン語の資格を取り切りたいから…と思って勉強を始めていませんでしたが、そのスペイン語の試験も受け終わって結果待ちだし、そろそろ教科書を買うだけでも始めてみようかしら、と改めて思ったのでした。それにしてもテキストが高いよぅ。私の興味その③。

ちょっとだけ立ち寄ったのはコンピューターの棚。
12月からは「一日1回プログラミング(っぽいこと)を勉強する」という目標を掲げておりなんとか2週間達成中。色んな言語があることは分かったし、HTMLやPythonがたぶんイケてるそれっぽいやつなのは分かったのだけれど、より自分の業務に近いところで言うと、会社のPCでも標準装備のMicrosoft Excelで、マクロ(VBA)を書いて色々自動化したい!というのが一番目的が明確でとっつきやすいので最近はマクロの勉強をコツコツ続けている。ということで良いテキストがあったりしないかな~と探していたら、PythonでもExcel処理を自動化できるらしい。え!!そうなの!!と興味を持ってパラパラめくってみたものの、そもそもガチガチに制限のかかった会社PCにPythonをダウンロード出来なさそうという理由で断念。まずはマクロだぜ。私の興味その④。

結局、今日本屋で購入した本は何かと言うと、浅田次郎の『おもかげ(講談社文庫)』。これだけビジネス書に興味を持っておきながら結局買うのは小説なんかい、と我ながら苦笑してしまいました。
エリート会社員として定年まで勤め上げた主人公が、ある日地下鉄で倒れて意識を失ってしまう。やがて主人公の心が外にふわふわとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる…涙なくして読めないお話らしい。
私はまだ20代なかば。会社では自分より年上の世代の方とお話しすることが多い。自分の倍以上生きてきた人たちの気持ちを知りたい、なんならお父さんの気持ちがわかりたい。そんな気持ちで購入を決めました。私の興味その⑤。

そんなこんなで、本屋さんは自分が向かいたい方向を知るには最適な場所なのだと強く実感した日でした。どんなことに興味・関心を持っているか分かれば、無限に想像可能な未来に少し輪郭を持たせることができて、次のステップが踏みやすくなる。これからはもっと、バーチャルな書店だけじゃなくて、リアルな書店にもきちんと足を運ぼうと思いました。あなたも次の週末は本屋に行ってみてはどうでしょうか📚




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