BFC4落選展感想 71 - 75

 ちからつきました。
 既存の落選展リストの記載方法を頂戴します。ありがとうプロムナードさん。
 リストに載ってる作品に対して感想を書いていきます。
 本稿はその性質上、ふんだんにネタバレを含みます。ですので、まずは落選展作品の内容をよく読んでから目を通していただけるとうれしいです。それが作者の方々のためにもなると思いますので。




71.木戸善時朗「私の話

 あ、ごめんね。私もイグBFCにKって名前の女性出しちゃったんだわ。だからごめんね。みんな夏目漱石好きだもんな。私は梶井基次郎から入ったくちなんだけどね。まあ先にこころは読んでるよな。そういうことだ
 もうひとつごめんね。下から読んじゃった。だってさ、作品って上から下に読むものでしょう? なんでこの作品は下から始まるんだろうって思っちゃった。そして下から読んでもまるで問題なかったんだ。そのくらい上がどうでもよかったってことだがな……。
 とりあえず上からもう一度読み直して、下で読み取った情報以外は漱石リスペクトしかないってことに安心した。主人公にはどうやら分身がいるらしい。そして主人公には自分の分身がいる友達がいる、と酩酊状態のときにいったのだという。ここが作品の妙だな。自分がヨッパになって自分でも覚えのないことをいったとき、おそらくそこに真実があるのだという感じがしてくる。そういうふうに読めると、主人公は自分に分身がいるとなんとなく気づいているし、友人というのはその自分そっくりの誰かなのでは、という感じがしてくる。
 そして分身という言葉はドッペルゲンゲルと繋がる。梶井基次郎ってわけだ。だからこの小説はRESPECT FOR夏目漱石+梶井基次郎で構成されてるわけ。超親近感沸いたわ。読みがあってるかは別としておもしろかったよ。

72.海乃凧「手の形

 シャケという文字列を見るだけで鮭さん思い出して脳が破壊される。
 日常風景から入って過去の回想へと入っていく。ちいさな命に想いを馳せるということの一瞬が描かれて消えていく。やりたいことがわかりやすいがいったいなにを見ていたのかよくわからなかったな。手の形をした虫かなにかだろうか。それはおそらく重要ではないのかもしれないけれど、イメージ話になっていくから言語的になにかを喚起されるより自分で考えて作れみたいなところがある。そういう作品は多い。難しい。読書体験的に悪いものではなかったけど、ここがいいんだみたいなのをなかなか説明しづらい作品。シャケで脳が破壊されているのかもしれない。

73.早高叶「綺麗な地獄

 みなさん地獄が好きですね。あと、ロケーションハンティングとして海辺がよく出てきます。みんな海が好きですね。
 話の中心は誰かの呼び声に導かれて冥府へと引きずり込まれていくところにある。強めの単語を使って表現されているが、これは古来よりよくある恋愛小説なのだ。海のむこうにも、海のこちらにも、ほとんど同じ内容の話がある。そしてこの作品は自分から冥府に突撃していく愛の物語として読める。
 ここまで読んできた他の作品に比べると主軸はドラマで、画で魅せようという心意気がある。平明な文章で書かれているためビジョンが容易に浮かんでくるというのもよい。ただ、花に関するところはすこしやりすぎかもな。なんて、詮無いことを思った。

74.閏現人「ひねくれに至る病

 みなさん地獄が好きですね。吹くからやめろ。
 抒情詩みたいな散文なんだよな。なんなんですかこの文章。ひねくれてるじゃないですか。あのね、はっきりいうと私この小説つまらないと思う。なんですかこの主人公は。非常に暗い気持ちになりましたよ。こんなもの子供に読ませたらひねくれた大人になっちゃいますよ。否定形で小説を作り出していくどっかの誰かに読ませて反面教師にしていただきたい。
 こういうこと叫びたくなる気持ち、僕はわかる気がしますね。都会の喪失感みたいなものがそうさせるんでしょうね。(いえ、違います。)

75.阿蒙瞭「この世には地雷というものが存在する

 これ読んでるときリアルタイムにJIRAIYAって地雷女子を処理してハーレム作るゲームのこと思い出したよね。レトルトさんの実況で見てワロタ。私はゆるふわ天使りおたゃが好きです。
 こっちはそっちよりも遥かに現実的。人間ドラマを描いて地雷を爆発させ、その状況に即した説明を添加していく。人生は地雷だらけだから、実にその通りだと思わせられた。
 なお、この構造も実は先に紹介したゲームとよく似ている。そちらの方は処理した地雷系女子にそれぞれモデルとなる実在の地雷紹介が付与されている。地雷処理といえば他にもジーザスなどの漫画でも地雷処理を頑張ってる姿が書かれていたな。だから地雷というモチーフはそれだけ人気なのだなあという感想を持った。作品の感想じゃなくねえか?


 本稿は以上です。
 お読みいただきましてありがとうございました。

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