BFC4落選展感想 66 - 70

 ちからつきました。
 ここから既存の落選展リストの記載方法を頂戴します。ありがとうプロムナードさん。
 リストに載ってる作品に対して感想を書いていきます。
 本稿はその性質上、ふんだんにネタバレを含みます。ですので、まずは落選展作品の内容をよく読んでから目を通していただけるとうれしいです。それが作者の方々のためにもなると思いますので。




66.一希零「ゴッドバレー

 奇しくもというわけではなく、私たち文芸をやるものはどこかで自分の世界をそのまま描こうとする悪癖がある。この作品においてそれは「COYS」「COYG」という単語に濃縮されている。いうて、それ以上にこの作品はそもそも読みづらい。なにが主題なのか途中まで明確にならないためだ。また、比喩表現についてもあまり見どころがない。表現技法としての繰り返し、その中にあるちょっとした違和感(はじめは右足にあったはずの違和感が左足に移動しているところなど)をとっかかりにして読解することを強いられる。こういう作品は人弾きの結界を自然に形成してしまう。
 中枢にあるのは、彼女と喧嘩してしまい、仲直りが出来ていないという、ただそれだけのことなのだ。

今日はノースロンドンダービーだ。外に出て、喧嘩中のカップルの寝室みたいに重く湿った空気を肌で感じながら数メートル歩いた時、ふと、左右で異なる靴を履いているような違和感を覚えた。

一希零「ゴッドバレー」

 このいかにも海外作品みたいな書き出しが逆に作品をわかりづらくしてるってのが難しいところだよ。直線的に読むと喧嘩中のカップルだとは思わなくなっちゃうじゃん。おまえ喧嘩中のカップルの片割れやろ?
 違うかもしれない、という不安を抱くのがこういう掌編のもつ性質のひとつ。なにが正しくてなにが間違いなのか全然わからないな。表現が遠い。

67.今村広樹「放浪する鳥

 むっちゃストレートに謎伝書鳩によるファンタジー。その設定いるの? みたいな風景描写から繰り出される謎伝書鳩の設定開示、そしてファンタジー要素を添加して幕。シンプルすぎて、ラムネを半粒だけかじらされた気持ちになった。もう半分をよこせ、という感じ。

68.暴力と破滅の運び手「水面の下から

 歴史改変型の現実世界寄りファンタジー小説として読める。構成が綺麗で文章も綺麗。特に瑕疵といった瑕疵もない。ラストの一節は美しさに近接していた。謎のまじないの内容はじっくり読まないとわからない。主人公が俯瞰的に世界を見ていることそのものがなにかおかしいが、そこのところはこのまじないの内容にかかっているのだろう。そう考えれば特に不整合もない。ただ、どこかで読んだような読後感だ。正体はわからないが、わかりきったものがわかりきった結果を出している。そういう感じがこの小説の魅力を損なっている。人魚(的なもの)というのも人気のモチーフといえるから、そういう意味ではありきたりな題材だったということかもしれない。

69.鈴木ふらこ「ながれながれて、

 題名の通り文章が延々と流され続ける小説。世代交代や話の飛躍などが混じって、最終的には幻想小説の味のするわけのわからん世界に放り込まれる。どっかで見たことのある構成だ。イグBFC送り。
 こういう他人の文章に私が言えるのは乱文のひとことだけだ。読みづらい。リーダビリティの低さを補うほどのビジョンが見えてこない。文芸するために文芸してどうするんだ。作品理解のため、こちらで勝手に脳内句読点を打って読んだ。そっちの方がまだよい効果が得られたが、それによってこの作品が本来読者に与えたかった真の効果は損なわれただろう。そういうところも含めて、この作品は古いアーキタイプ(意図的に文章や単語を融合させて読者を惑わせるという手法)によっかかりすぎ。

 このあたりで感情が爆裂した。not for meとかそういう問題ではなく、単純に作品自体の態度に怒りを覚えるものが〈多い〉。この作品はただのトリガーだ。文芸しようとして文芸し文芸になっていない作品は読むのが苦痛なので、そういう意味では脳筋文芸アプローチ型の作品は最初からメタ的不利の状態でスタートしていると思った方がいい。

70.メロンパン奈張雲枝「粉末

 遅々として進まないことに対するなんともいえない苛立ちについて書いてある小説。作品自体がそれを表現するかのように同じ言葉を繰り返して物語自体を先に進めない。なんかこういう構造の作品多いよな。おまえも文芸しようして文芸するタイプだったか。イグBFC送り。いかにもな表現が多いんですよな。話の筋は葬儀しに帰ってきてお墓に遺骨を納めて終わりだしな。ただ、最後の節はよかった。どの作品もラスト付近になるとようやく本領を発揮し始める。確かにこんなことがあったら粉末にしてもらいたくなるわな。わかるぅー。そこがよかった。

 このあたりで、部活動の先生がふがいない生徒たちを見てブチ切れる気持ちがわかったよ。おまえらは誰かの真似をして本当に他人に勝てると思っているのか。全国行くんだろ全国。全国優勝っていう気概はねえのか。

 荒れてきたサクロ。本当に完走した感想を書くことはできるのか。BFC4落選展感想RTA100%も終盤に差し掛かってきて魔物にかじられまくってる。ESCAPE TO THE SKY★彡したい。

 本稿は以上です。
 お読みいただきましてありがとうございました。


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