イグBFC3感想&評価 グループO/P/Q

はじめに

……イグBFCで勝ち残ることは名誉でもなんでもない……
……誰かがそう教えてくれた……

 だから、イグをしようとしてイグになるような作品をイグナイトファングマンは許さない。ブンゲイファイトスピリットなきものにはブンゲイの輝きなど宿らないということをゆめゆめ忘れないでほしい。

グループ・O

舟岸南「『ジャック嶋村の楽しいゴルフ講座第一回「クラブを買いに行こう!」』」

 236236+PP イグナイトファング! イグナイトファングマンはこのように最初からイグしようとしてイグしているイグブンゲイを許さない。普通のナンセンス小説だな……。イグナイトファングマンはいかにも他人がイグだと思うようなものをイグとして書くだけの勇なき者を評価しない。レイジングイグナイトファング! 病院食は不味いというものがいる。病院食を作っているひとに申し訳ないと思わないのか。そんな軽々しい態度にイグナイトファング!

こい瀬伊音「旅と器とプレイ宣言」

 イグ……イグナイト……。ふうン。イグナイトファングマンはしばしその場でコマンド入力を試してみたがサッパリまともに動かなかった。この作品は普通のブンゲイだな……。読んでいて「せやなあ」となってしまい、そのあたりからチットモ動かなくなってしまったのだった。それはイグナイトファングマンの過去がそうさせるわけではない。わざとらしくイグっぽくしようとしているように見えなくもない部分があるか? イグナイトファングマンは一応イグっぽい言い回しをしようとしている部分にイグナイトファングしておいた。ブンゲイカウントシルバー!

暴力と破滅の運び手「蜜の果実」

 閃華裂光イグナイトファング! イグナイトファングマンは過去からやってくるイグっぽいだろうからイグに出しとこうというような惰弱なイグを許さない。また、そうした題材をフックにしておいてから通常ブンゲイ領域に引き込もうというよくあるパターンも許さない。グランドイグナイトファング! 技のバリエーションが少ないのでイグナイトファングマンも必死だ。

日比野心労「塩梅の良い掌編ジェネレーター」

 2→2→4→1→2→2。
 蜃が気を吐く砂浜に建てられた地上634mの高楼でこの紅く透き通った心臓を二十四面体にカットする段田男はパワーボムでヤクザを二人病院送りにした日比野心労は改造人間であるAIは自己言及のパラドックスに陥った桶屋が儲かる。
 言い訳があれば聞きましょう。そうですか。はいイグナイトファング! イグナイトファングマンは診断メーカーでやったことのあるネタを許さない。なんでこんなに2ばっかり出るんだよ。やつあたりイグナイトファング! イグナイトファングマンは与えられたおもちゃで理不尽な結果が出ることにストレスを感じているようだった。なんなの、このパンダ……。そしてイグナイトファング! イグナイトファングマンは用意された選択肢の中に仕込まれたイグっぽい記述を許さない。誰かイグナイトファングマンを止めろ!

グループ・O投票先

 こ、この中から選ぶのか……。
 イグナイトファングマンは十秒に及ぶ熟考の末にこい瀬伊音「旅と器とプレイ宣言」を選択した。
 根拠を示しておこう。アイディア系イグは先駆者がいるとそれだけでマイナスとなってしまう。今回の作品はTRPGにおける物語自動生成システムと似た構造をしており、そうなるとボリューム不足による物足りなさや自由記述による頼りなさがネックとなって感じられる。また最初からイグしようとしているイグはナンセンスにも程があるので評価できない。最後はブンゲイ強度と独自性を見た。結果、テンプレ風の作品を弾くことになった。イグナイトファングマンはエゴを持たぬ作品に愛も勇気も感じない。そんなわけで愛と勇気だけが友達のイグナイトファングマンは愛がありそうな方を選んだ。
 言い訳は済んだのかな。イグナイトファングマンくん?

グループ・P

堀部未知「しないしないばあ」

 わからん! さっぱり、わからん!
 ノーカウントだ、ノーカウント!
 イグナイトファングマンにも……やれないことは、ある……。
 イグナイトファングマンは自らの想像力の限界をここに露呈した。だってなにが書いてあるのか、どう読めばいいのかさっぱりわかんないんだもん!
 イグナイトファングマンに警告。くだらない言い訳で紙数を取らないように。次やったら退場にするぞ。

ハイザワ「カナガワン~光あらたに~」

 シン・イグナイトファング! シン・イグナイトファングの威力はもはや言葉では説明できない。じゃあなんなら説明ができるんだよ。
 だがその心は明らかだ。イグナイトファングマンはイグしようとしてイグしている形だけのイグを許さない。ブンゲイ的にブンゲイをしようとして、それでもなおどうしようもなくイグとなってしまう、そんな居場所のないブンゲイを秘めたイグブンゲイファイターはいないのか。足払いからのイグナイトファング! ここは学校じゃない。ブンゲイに苦しんで涙を流すことで強くなれることもある。アスファルトに咲く花となれ。

在神英資「羅生門アフタートーク」

 イグナイトファングマンはよくある着想からそれっぽく筆を遊ばせただけのなんちゃってイグを許さない。イグナイトファング! また、イグナイトファングマンはイグ的おもしろさをなぞるのみでブンゲイチカラを高めようという意欲を感じさせないものを許さない。Γイグナイトファング! Γって「と見分けがつかないよね。

 バールバティを持つ乙女、イグ宮はこの世に帰ってきた。伊達にあの世は見てないぜ。
 イグナイトファングマンくん、だいぶ苦しんでるみたいだね。じゃあ私が楽にしてあげなくちゃ。いくよ、バールバティ。バルバルバル。
 だがイグナイトファングマンはそういう軽々しいオノマトペを許さない。
 ハッ。
 釣られたな、イグナイトファングマン。

平大典「ちょっとちがうイアン・マッケイ」

 イグナイトファングマンは美術のビジュえもんみたいな構造を持つ作品を許さないわけでもないのだが、許さないことにした。イグナイトファング! イアン・マッケイって誰やと思って音楽を聴きにいった。いいねこれ。今日のBGMはこれにしておこう。そしてイアン・マッケイでググろうとして間違えてイグナイトファングでググってしまった。許さん! イグナイトファング! そしてイグナイトファングマンはこの作品のようにイグしようとしてイグしているにとどまる作品を許さない。イグナイトファング!

グループ・P投票先

 こ、この中から選ぶのか……。

 イグナイトファングマンくん、相当困ってるみたいだねえ? じゃあ私が選んであげるよ!
 どれにしようかなバールバティのいうとおり。
 なんちゃってね。そんなふうに決めるわけないじゃない。このグループはイグナイトファングマンくんじゃ理解できない作品があって、それは評価対象外。奇妙以前に「は?」みたいになっちゃうようじゃ記憶にも残らないからね。イグナイトファングマンくんに代わってお詫び申し上げます。すみません。何度読んでもわからないです。
 残りは全員、イグしようとしてイグしているだけ。となると二次的評価軸を持ち出すしかないね。まずイグナイトファングマンくんが大嫌い判定する下品な作品をゲームから取り除くね。次に勇気があるかどうか。どっちも微妙だね。勇気はないね。じゃあ愛で判断しようか。愛って減っちゃうんだよ。描写の甘さによって点数を引いていって、最後に残ったのは平大典「ちょっとちがうイアン・マッケイ」だよ!
 残念だな、イグナイトファングマンくん……。そんな姿は見たくなかった。でも、それもそうだよね。イグナイトファングを使うたびにイグナイトファングマンくんのエネルギーは減っているんだから……。いまのイグナイトファングマンくんなら簡単にヤれる☆

グループ・Q

 イグ宮の超転生バールバティの殴打により、イグナイトファングマンはたおれた。
 イグナイトファングマンはわざとらしいイグを読みすぎるとイグの炎が消耗する。時間がないぞ。
 イグナイトファングマン、立て!(タテタテタテ……)

児島成「無垢な魂のためのカノン」

 イグ宮式イグナイトファング! イグ宮のイグナイトファングはイグナイトファングマンのイグナイトファングよりも発生が2フレーム早く、ガードされても五分で、発生保障まであるなかなかの性能であった。イグ宮は血の海で横たわるイグナイトファングマンの代わりにみずからがイグナイトファングマンたろうとした。そして彼の言葉を思い出す。
 そう! イグをしようとしてイグになるような作品をイグナイトファングマンは許さない。また、イグを達成するためにわざとらしくイグ表現を使っていかにもイグだという顔をすることも許さない。なんだその羊と言い回しは。イグナイトファングマンくんならここで再びイグナイトファング! このイグナイトファングはバールの分だけ判定が広く、加えてバール部分にはやられ判定がない。とても令和のイグナイトファングとは思えませんな。

貞久萬「貞久萬の創作と日常」

 折り方の正解がわからない。お願いだから作例は掲載しておいて。イグナイトファング! イグナイトファングマンくんは印刷した紙をどうにかこうにか正解の形に折ろうとしたけどできなかった。仕方がないのでなんとか正しい順番を探して読もうとする。それさえも作者のてのひらのうえなのか。それがブンゲイの自由……冗談じゃねえ……。だよね、イグナイトファングマンくん? だからイグナイトファング! イグナイトファングマンくんは理解という光を求めない作品に厳しい。だからイグなんだね! イグナイトファング!
 とはいえ、この作品は何度も読めばなんとなくなにが起きているかわかる。メッセージ自体は割とストレートなのだ。だからそんなにわざとらしいイグというわけでもなさそうだ。素直じゃないんだから。
 イグ宮は素直でありのままの自分を心底嫌っていた。彼女はイグナイトファングマンのように生きたいと願った。その心の弱さにイグナイトファング! したいし、して欲しかったのだ。

森青花「楽しいサッカー」

 イグナイトファング! イグナイトファングマンくんは人間と近しい動物を使っていかにもな人気取りをすることを許さない。また、イグナイトファングマンくんは心に棚を作っている。そう島本先生が教えてくれた。パンダだもんな。ついげきのイグナイトファング! これは、イグというのはナンセンスっぽいギャグ小説書いときゃそれでOKという安直さに対する怒りだ。バールバティゲージがマックスになったのでEXイグナイトファング! EXイグナイトファングはガードさせて有利。さらにイグナイトファング! もはやイグ宮はやりたい放題。これが自由と暴力だ。こんなものが正義であってたまるか。

げんなり「釣り堀」

 イグナイトファ――どこかで見たことのある展開をイグナイトファングマンくんは許さない。
 不甲斐ない。それがイグナイトファングマンを継ぐ者の姿ですか?
 あなたは、真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨ! おひさ!
 審議入りまーす!

イグ宮レナwith超転生バールバティ「イグは出ているか」
真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨ「は?」
イグ宮レナwith超転生バールバティ「イグは出ているかと聞いている!」
真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨ「この作品はブンゲイウェーブを出していますが、その実、そのブンゲイウェーブにかなりのわざとらしさを感じてしまう面もあります。なんというか……月並みな表現、釣りという行為の周辺に散りばめられた不条理な組み合わせ、これが小説ですというような自由ながら狭い世界観、それらの足し算によってブンゲイの顔をしている。そんな気がします。そうした物事にどこか居心地の悪さがある」
イグ宮レナwith超転生バールバティ「そう。それはイグナイトファングマンくんの嫌いなわざとらしいイグ味に通じてる。そう思わない?」
真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨ「同意するのも嫌ですが、言われてみればそのとおり。不思議なイグ味の化学調味料。各々が意味を感じ取ればいいとでもいうような突き放した態度を感じなくもない。こういう作品からの突き放しウェーブはわざとらしいイグとよく似た構造をしています」
イグ宮レナwith超転生バールバティ「うん。この作品からはイグ色2号の味がする。三回くらい読み直してみたけど、何度読んでも結論は変わらない。あなたに、力を・・・」
真のイグナティウス・ロヨラMkⅨⅨ「まさか!」
イグの公開会議「イグのカレイドスコープ」 p387-388

 サテライトと見せかけてからのテンダーイグナイトファング! テンダーイグナイトファングはセフィロトの樹の形に万華鏡を輝かせ、夜空を焼いて鉄屑の雨を降らせる。イグナイトファングマンくんはわざと意味が通じづらくなるようなことをして簡単にイグを達成しようとするブンゲイ的アプローチ型イグを偽装したイグを許さない。私たちを無礼るなよ。イグ宮は無礼られることにあまりにも敏感であるため、クレーンゲームの筐体のなかでナナメりながらこちらに微笑みを向けるぬいぐるみにすら無礼られていると誤解する。そんなことだから手元にあるレバーに無礼られていることにも気づかないのだ。

グループ・Q投票先

 こ、この中から選ばなきゃいけないの……。
 イグナイトファングマンは意図的な繰り返しによって本文をイグしようとするイグを許さない! イグナイトファング!
 イグナイトファングマン、復活ッッッ
 今回は精査の結果、もっともブンゲイ的に下品と感じたげんなり「釣り堀」に投票した。正直なところ釣られた感が否めないが、この作品に後期イグナイトファング賞をフライングで差し上げたい気分にさせられた。作品全体からなんとなくのブンゲイ波が放たれるこの作品は、作為的に理解を拒むよくないブンゲイの見本だと感じた。人造イグは匂いで分かりまするぞ。

 みんな! クロスドッグは覚えてるな!
 おまえと共闘するなど……
 やろう、イグナイトファングマンくん!
 補欠入りまーす。
 クアドラプルイグナイトファング!

総評

 一年前、オレは落選展を体験した。
 ブンゲイファイトクラブという存在に触れた。
 そして今年になった今、オレはもう一度それを見つめ直そう。
 次の世代へ、次の時代を託すためにも。
「イグはいつもそこにある」

 より多くのまともな感想人が現れることを信じて。
 イグナイトファングマンの歴史も、あと一ページ。

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