さなコン2 感想 137 - 150

 お前、死んだはずでは……?

 前回の続きです。

 6ページ目13作品。
 一次選考通過作品に関しては既に感想を書いていたりするので、それは別ページに誘導します。
 このページのハイライトは「スプリット | 継橋」「人類最期の     セントエルモ | フレンチ」です。「人類最期の     セントエルモ」は完全に意識外から飛んできた刃だった。まさかこのタイミングでおもしれー作品を見つけるとは思わなかったよ。これだからローラー感想はやめられねーんだ!

翼を抱いて | 抹茶ソフト

 一次選考通過作品。
 備忘録:さなコン2 一次選考通過作品感想(27作品)に記載済み

流離のいばら姫 | oxygendes

 一次選考通過作品。
 備忘録:さなコン2 一次選考通過作品感想(27作品)に記載済み

sampleGW&SF2・眠りに至る花 | YUMA

 ビジョンを読ませる系統の作品。アイディア的にはよくある種を使っているもので、描かれる光景も特に新規性のあるものではない。文章もそれほどな……。

行き先のない列車 | 今村広樹

 マイクロノベルでちょっとワロタ。短いがゆえにやりたいことが明確で、構成要素もシンプルなので悪くはない。ただ同じ方向性で分量のある作品に対してエッジで勝てるようなものではない。

ブルー・レコード | 久美浜 詩之

 レギュレーション違反・未完・読んで反応してる人が結構いるの三拍子が揃っているのでスルーします。

夜長のやぐら | 四宮ずかん

 一次選考通過作品。
 備忘録:さなコン2 一次選考通過作品感想(27作品)に記載済み

ユメヲミル | 木々

 ギャグ調であらすじはスゴイシンプルでバクを扱ってるのも先行作品と被ってるんだけど、文章が純文学とポップカルチャーを合体させて水を大量に注いだ感じだった。軽快だしおもしろい試みだと思ったけど、加点しづらい内容だったなあ。
 やってることがむちゃくちゃでナイトメア感があるし、話の筋のなさが純粋に文学やろうとでもしてんのかなあと思いつつ、オチつけてるあたりに「これはこういうお話なんです」みたいなところもあって、どうやって評価すりゃいいのかわからんタイプの話。だから好きな人が好きなように読むのがベストなんだろうね。not fo me.

全てのものの因果関係 | モモモ

 こんくらいの作品ならR-18Gつけなくてもよかったのに。そのせいで読まれてないよ多分。もったいないね。 それはそれとして不条理系小説であらすじ読んでも意味が解らない系統のお話。通読してもやっぱり意味がわからなかった。
 なおレギュレーション違反作品です。

スプリット | 継橋

 一次選考通過作品。
 
モチーフとしてVRが使われている。そこに登場する〈電〉という他人(VR空間での接触であり〈電〉はアバターとしてしか存在しない)がキーとなっている。
 彼女の喪失をきっかけに主人公の現実が完全に崩壊する瞬間が白眉。この作品については、総体として優れているというより、一瞬の閃光として輝く部分がある点を大きく評価している。
 何度振り返っても、この作品に与えられてしまった自分への影響は大きすぎるものがあるなと思います。

 気になる人はこれとかこれとかも読んでみてください。私がどれだけこの作品に対して執着しているかがわかるでしょうから。

人類最期の     セントエルモ | フレンチ

 は? おもしろいが? どうしてこういうことするの。人間とロボットの境目があいまいになった世界における〈人類〉を取り扱ったライトノベル風文体の百合SF。なんでこれが読まれてないのよ。読者はどうしたァァァ!
 まあ欠点はある。まず行頭スペースがない。話の構造がやや複雑。あらすじが長く難しい。そして、設定を説明する部分は明瞭であるにも関わらず、心情描写や会話の中には多数の飛躍が混じっている。そのため結構読み手に技量を期待するところがあると思う。私もおそらくちゃんと読めてない。つまり小説としてはバランスが悪いわけだ。
 けどねえ、SF的には遠未来に「人間はロボットに近づくようにサイボーグ化する」「ロボットは人間に近づくように有機化(多分)していく」為に「人類はロボットと人間を包括的に指す」って言われたらね、もう負けよ負け。物語自体もセカイ系風でせつない感じでよかったよ。おそらく尺が足りなくて構成的に厳しくなっているのだろうから、もっと尺があれば評価を受ける百合SFに仕上がってたはずだ。
 というか自分の作品と流れが一部被ってて、この作品と直接比較されなくて内心ホッとしているよ。この作品は美しい。
 それにしてもこれがブックマーク1/スキ1(2022/07/31 16:00頃)だと? そんなことはオレが絶対許早苗。なのでブックマークとスキを押した。皆様方におかれましては、好きな作品を見つけた際、必ずブックマークとスキを押してTwitterに感想を書くことを推奨いたします。

虚空のナーサリーライム | にぎ

 レギュレーション違反かつ指摘もされないタイプか……。話の筋がシンプルで二転三転とかしたりはしない系統。絶望的な状況が発覚したけど、とりあえずスルーして現状維持しようみたいな感じ。あまり動的じゃないから心が動かなかった。

別にヨースケのことが大好きだからそうしたいって思っているんじゃないから、勘違いしないでよね! | 石川なつき

 犬猫複合型猫SF。話の筋がシンプルだが、それがSF要素としっかりマッチングしているかどうか微妙な線だ。あらすじ的にはツンデレ猫って感じか……。
 割とこの方向性の小説は多くて競合しまくってるというのがコンテスト的に非情だよなと思う。しかも文字数的にも少なめでまとまっているものが多いので、またかみたいな感想を抱かれやすいのがメタ的に不利だよなあ。振り返ってそう思いました。

それは、君と出会えた『今』よりも大切だとは思えないから。 | 石川なつき

 最後のテキストのつけ方に無理を感じてしまうな。異星人を出しているのでなかなかビジョンの想像がしづらい。全体の流れから見ても、キーとなるギミックの出し方が唐突な感じがするね……。
 SF的描写や文章構造など、まだまだ整理の余地がいっぱいある気がするな。若書きって感じなのだろうか? 想像してもしょうがないんだけどね。
 筋とは関係ないけど、タイムマシンが登場したことに安心した。本当に全然使ってる人を見かけないんだよ、タイムマシン。だから〈タイムマシーン〉という文字列に対して「いたいた!」と思ったのであった。

人類の命≠歴史ある建造物 | 石川なつき

 ああ、なるほどね。やりたいことや言いたいことはわかった。でも文章が雑だな。脳内補完で〈正しい文章はこうだろう〉みたいなものを要求される。そういうものを良いとは言えない。

 本日最大の反省点は、あと一歩で辿り着けるところにいた「人類最期の     セントエルモ | フレンチ」を発見できなかったことだな。
 もっとも、たられば教はお家に帰ってから仏壇の前で念じるべきことだから、あまり言っても仕方ないことなのだが……。

 というわけで以上です。
 お読みいただきましてありがとうございました。

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