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Summicron 50mm F2 3rdの簡易レビュー

ええと、ライカ買いまして。
Leica M10というフルサイズのレンジファインダーデジタルカメラです。

「ライカ買ったやで〜!!!」という嬉しさをアピールするだけのクソ長い記事も書いていたんですけど、長さの割に内容が薄かったのでボツにして、代わりにボディに合わせて買った一本目のレンズであるSummicron 50mm F2 3rdについて、選んだ理由や使った感想などをお話ししようと思います。

余談ですがライカを買うためにSONY関係のカメラやレンズは全て売ってしまいました。

一本目に選んだ理由

①最初の一本は純正にしたかった
まずLeicaといえば35mmと50mmというイメージがあったのでそのどちらかの焦点距離にすることにしました。SONY末期は24mm GMばかり使っていて50mmでも望遠に見える病気に罹っていたので、最初の一本は35mmにして、次に50mm、そのあとは望遠や広角を少しずつ足して行こうと考えていました。
私Carl Zeissが大好きなのでずっと使ってみたいと思っていたDistagon 1.4/35 ZMを買う口実にもなるし買う寸前まで行ったんですが、せっかくの初めてのLeicaだし最初のレンズはやっぱり純正がいいなあと考え直して50mm→35mmの順にしてDistagonは次に買うことに。

②予算の都合
Leicaで50mmを選ぶというのはSummiluxかSummicronかを選択するのとほぼ同義です。もちろん他に種類がないわけではないですが、アポズミやノクチはその値段から候補に挙がることは(今のところ空想以外では)まず無いですし、それ以外は癖の強そうなオールドなので常用には向かないですからね。新生Summaritシリーズのことは知らない。

Leicaレンズの面白いのは各モデル間に序列がないこと。
例えばSONY Eマウントで純正85mmはFE 85mm F1.8とFE 85mm F1.4 GMがありますが、重さと値段を度外視すれば基本的には描写性能も良く外装も高品質なGMを選ばない理由ってないんですよね。
ところが開放F値の小さいSummiluxがSummicronの上位互換かと言うとそうではなくて、ボケの大きさや線の細い繊細な描写ならSummilux、周辺の解像度の高さや歪曲の少なさならSummicronとそれぞれに利があるようですし、外装にも差異は設けられていないらしいです。
値段の差は単に口径の差と捉えることができるでしょう。Summaritなんて知らない。

で、どっちにするのか。
(最近めっきり撮っていないですが)女性ポートレートをメインにしているので当然Summiluxに気持ちは傾いていたんですが、現行品は中古でも30万オーバー。無理して買えないこともなかったんですが、前述の通り35mmも買いたいので予算を残しておきたかったんですよね。
オールドSummiluxならなんとか手の届きそうな物もありましたが、どうしても最短撮影距離0.7mが欲しかったのと、作例を見まくった結果Summiluxは現行のASPH.がベストと結論付けたので、現行品を買えないならSummiluxは買わない!と決めてSummicronにすることにしました。

③3rdにした理由
そうして消極的な理由で選ばれたSummicron 50mmですが、その中でも世代の選択肢があります。

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※画像はこちらのサイトから拝借しました

今回購入したのは上の表だとType4となっている世代の物で、日本では一般的に3rdと呼ばれているようです。一番右はアポズミなので無視するとして、現行品(Type5)の一つ前のモデルということになります。

特筆すべきは「Focus」「Optics」「Weight」の3点。
まず「Focus」欄の「Tab」とはピントリングについている指かけノブのことで、アポズミを除けば3rdにしか付いていないんですよね。

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※ちなみに手に入れたのは限定品の70周年モデル。なぜか通常モデルと変わらない値段で状態の良いのが売っていた。メイドインCanada。82年製。

このピントノブがあると何がいいのかというと、指を引っ掛けられて単純にリングを回しやすいのはもちろんなんですが、

「ピントが今何mに合っているか、見なくてもノブの位置を触るだけで大体分かる」

んですよ!
例えばカメラを横位置で構えたときにノブがちょうど真下にあるとこのレンズの場合ピント距離は大体1.2mです。そこを基準に左右にどれくらい回せば何mになるのかを体で覚えてしまえば、シャッターチャンスを予感した時点で手元で合わせておいて、チャンスが来たら構えてシャッターを押すだけ、という撮り方ができるわけですね。これは速写性に大きく貢献する要素です。

次に「Optics」ですが、「same as --->」と書いていますね。つまり現行品と光学系は同じということです。
ことLeicaにおいては必ずしも現行品がベストではなく、世代ごとに個性があったり前世代と比べて評判が良くなかったりする場合もあるようなんですが、現行Summicronについては悪い話は見当たらなかったのでこれはポジティブな要素として捉えてよさそうです。

最後に「Weight」
これは単純明快ですが、全てのSummicronの中で3rdが最も軽量です。

ということで状態の良いものが入手できるなら総合的に見て3rdが最も優れたSummicronなのではないかと思います。
フードも内蔵より外付けの方が好みです。

で、撮ってみた

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例の如く撮って出しだったり現像してたり、F値もテキトーでぐちゃぐちゃなのであまり参考にならないです(笑)

まだこのレンズ以外使っていないしM10以外のボディで試してもいないので相対的に評価することはできないですが、約40年も前に作られたレンズとは思えない抜群の解像度です。ノーマルSummicronでこんなに解像するならアポズミ要らなくね?

ボケ感はF2なりですが、よく「Leicaの3Dルック」と言われる立体感も十分感じられますし、古いレンズにありがちな発色やコントラストの淡さは微塵も感じられない、極めて現代的な写りをするレンズだと思います。描写はどちらかと言うと力強い系?

総じて撮り手の実力が如実に現れそうな、目の前の光景をそのまま写し撮ってくるレンズという印象です。

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ボディに装着するとこんな感じ。α7RⅢに70-200mm GMとか付けてぶん回していたことを考えると驚くべきコンパクトさ。

ちなみに現在の中古相場は良品を探すと20万弱。フリマサイトでは15万を切る値段でそれなりの状態の物が出ている(いた)のを確認しています。

Summiluxの悪夢

というわけで大変満足度の高いレンズでした。これがぶっ壊れるまで50mmはもう困ることはない!

と思えたのは一瞬(笑)

Summicronで撮る度に、選ばなかったSummiluxならどんな写真が撮れただろうと考えてしまい、Summiluxの悪夢にうなされ眠れない夜を日々過ごしています。たぶん近いうちに買います。

あと先ほど35mmはDistagonを買うとか言いましたが35mmもSummiluxにしてしまおうかと思い始めていますし、アポズミ要らなくね? と言ったのも嘘です。要ります。

げに恐ろしきライカ沼。

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