72.パンツをおろされた記憶

DVDの中の記憶にない私を見ているうちに、心がざわざわと落ち着かない感じがしてきました。

もう見たくない

そう思った瞬間、猛烈な怒りの感情に襲われ何かを叫びながらDVDのパッケージを手に取り画面向かって投げつけようとしたところで、彼に背後から羽交い絞めにされて彼の腕から逃れようとしているうちに、意識が遠のきました。

彼に後から教えられましたが、私はそれまで彼に対して見せたことがないような憎悪むき出しの表情で「お前に何がわかる!!」と何度も泣き叫びながら彼を殴り続けているうちに、いきなりお腹を押さえてうずくまり脂汗を垂らしながら苦しみだしたそうです。

彼が抱き抱えて病院に連れて行こうにも、少し動かしただけで酷く呻くので救急車を呼ぶしかなかったと、病院で点滴中に意識を取り戻した私に、かれは説明しました。

目が覚めた時、私は気怠さは感じていましたが腹痛はありませんでした。
そして、ふいにある記憶が頭に蘇ってきました。

そこはよく隠れて遊びに行っていた無人の小屋でした。
小屋のドアの前には長く広いひさしがついていて、室内に入らずとも雨風がしのげるようになっていました。
そのひさしの下で、4歳年上のいとこのお姉ちゃんとよく秘密基地ごっこやままごとをして幼稚園の年長の頃に遊んでいました。

その日も二人で遊んでいると
「飴食べる?」
そう言って近所の中学生の男の子がひさしの下に入ってきました。
その人はよく犬を連れて散歩していて、会えば私達に犬を撫でさせてくれました。
その日は犬は連れていませんでした。
頷いた私達に
「じゃあ、こっちに来て」
とひさしの両側に建てられた柱と小屋から延長された壁でできた表からは見えにくい場所に歩いていきました。
そして私達を二人並べて目の前に立たせると、目線が私達と同じ高さになるように近くにあった木箱のようなものに腰かけました。

手を出すように言われ、その通りにするとその手のひらに大きな飴玉をひとつのせてくれました。
「食べてもいいよ」
と言われ、私達は喜んで飴玉を口に入れました。

するとその人は
「スカートあげてみせて」
と言いました。
私達が意味が分からず動かないでいると
「飴食べたでしょ、スカートあげてみせて」
と言いました。
隣をみるといとこのお姉ちゃんがゆっくりとスカートをめくりあげたので、私も真似しました。

するとその人は
「スカートをそのままスカートのゴムに挟んで落ちないようにして」
と言いました。
いとこのお姉ちゃんはスカートの裾をおなかのあたりのスカートのゴムに挟みましたので、私も真似しました。

「パンツ下げて」
次にその人はそう言いました。
いとこのお姉ちゃんは動きませんでした。
「ここ勝手に遊んじゃいけないとこだよねぇ?勝手によその人の建物に入るのは泥棒と一緒だよねぇ?」
さっきまでの優しい声とは違って低い声でした。
「パンツさげたら黙っててあげる」
いとこのお姉ちゃんはそれでも動きませんでした。
私は急に笑顔が消えたその人がなんだか怖くなりました。

「大丈夫、変なことはしないよ。いつも犬触らせあげたし、飴もあげたよねぇ?だから今度は僕のお願いきいてくれるよねぇ?自分でできないならお手伝いしてあげるね」
そう言って私のパンツに手を伸ばし、足首まで引き下げました。
動けずなすがままの私に、その人は再び笑顔を見せました。

そして
「君は素直でかわいいねぇ。痛いことはしないよ、大丈夫」
と言いながら私の割れ目に手を伸ばし、そこに顔を近づけてきました。









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