50.生きのびた命

立ち上がった彼に腕をとられ立ち上がったその時、突然吐き気が襲ってきて私はトイレに駆け込みましたが出てくるのは胃液のみでした。

摂食障害になってから、嘔吐は私の中ではコントロールしてするものでした。
それが自分ではコントロールできない嘔吐を昼も夜もしてしまったことに私は体の異変を感じました。

すると寝ても寝ても眠いこと、最近お腹まわりだけなんとなく太ったように感じていたこと、胸が張るようにうずき乳首の色が変わってきたことなど、自分がいつもと違うことに思い当たりました。

近所の定食屋さんで夕飯を済ませた後で、ドラッグストアに寄り彼には内緒で妊娠検査薬を買いました。

翌日彼が出かけた後で落ち着いて検査してみると、待機時間を待つ間もなくすぐに陽性反応がでました。

その後最寄りの産婦人科で診察を受けると、すでに妊娠3ヶ月に入っていることがわかりました。

この3ヶ月間、まさか妊娠しているなんて露ほども考えたことのなかった私は、いつも通り水泳もしたしサウナも入ったし、水風呂にも入っていました。
そして毎日ルーティン化した過食嘔吐もしていました。
うまく吐けない時は、握り拳でお腹に圧を掛けて胃袋の内容物を押し上げたりしていました。

ふと、長年過食嘔吐してきた私の内臓や体は胎児に悪影響を及ぼす疾患があるかもしれない、こんなことをしてきた私からは五体満足な子は産まれないかもしれないという不安が胸をよぎりました。
「こどもができる前に別れなさい」という両親の言葉も思い出しました。

でもエコーで、いつ流れてしまってもおかしくなかったこの3ヶ月間を生きのびてきた小さな小さな命をこの目で見た時

「この子はきっと産まれたいんだ。
何が何でも産まなくちゃ」

そう思いました。

そして

この子の人生に、舅と姑はいらない
あの人らには指一本触れさせない
二言目には「育ててやったのに」と恩を着せる舅らから
彼は離れられないだろう

離婚して育てる

そう決めました。



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