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『雨に生まれる縁』

不思議です。
バイト帰り、学校の敷地内にある寮に帰るためにバスに乗っていました。ワタシが乗っていたバスは、学校の中まで行くバスです。
寮は学校の中にあるから、ワタシは絶対学校の中のバス停で降りるべきなのに、
寝ぼけていたワタシはなにかの勢いで
『学校に入る前のバス停』で降りてしまいました。
そこから寮までの距離は、まぁあります。
降りた直後、そのバスが学校の方に曲がって行くのを見て、さらに雨も降ってきて、
『あぁ"〜〜』ってなりました。
自分にバカだと言いました。
もう疲れて眠いのに、トボトボ夜道、仕方ないけど、自分のせいだから、歩き始めました。
雨がどんどん強くなってきました。
その時ワタシのちょっと先に、1人早足で同じ方向に向かって行く女性がいました。彼女は傘を持っていませんでした。ワタシは傘を持っていました。
傘を持っていない彼女は帽子で頭を守っていたけれど、雨はどんどん強くなっていき、帽子もずぶ濡れです。加えて、彼女はめちゃくちゃ真夏の格好をしていました。まるで彼女の格好が冗談かと思ってしまうくらいに、雨も風もどんどん強くなっていきました。
ずぶ濡れです。
たまたま歩くペースが同じくらいだったのかな、ワタシは彼女の横にたどり着きました。
ワタシは、もう、見てられなくて、
彼女に傘をかざしました。大丈夫?って。
彼女はとても驚いて、とても喜んでくれました。正直もうすでにびしょ濡れだったんですけど、そこから2人で1つの傘、気持ちだけで身を守りながら、そこから2人でおしゃべりしながら、寮に向かいました。
初めましてだったけど、すぐに打ち解けた感じがしました。
お互い、台湾に学びに来ている学生でした。
彼女はワタシよりも少しお姉さんでした。
でもその彼女、台湾にはつい最近来たばかりとのことでした。
中国大陸からの大学院生。
大雨と大風にメチャクチャにされながら、
帰り道、外国に行った外国人同士だから共感し合える『孤独』みたいなモノとか、
"これから"、とかをちょっとだけお互いおしゃべりしました。
彼女は演劇の脚本を学んでいる学生でした。
ワタシは表現を学んでいる学生でした。
水色の安い傘も、ちょっと壊れました。

寝ぼけてバスを降りていなかったら、この人とは出会えていなかったのか。降りたばっかで失敗したことに気づいた時は自分であんなに最悪だぁって思ってたけど、
寮にたどり着いた時には、
もうとっくにHappy でした。
人都是靠緣分。
縁だなと思いました。

そして、今回記録しておきたいコトは、実はこれだけじゃないんです。

実は、ずーーーーーっと前にも同じようなことがあったんです。

バイト終わり、寮へ帰るために歩いていると、突然大雨が降り出しました。
ワタシは傘を持っていなくて、『あぁ"〜』って思いながら、びしょ濡れです。 
あまりにも雨が強いから、知らない店のトタン屋根の下で雨宿りをしていました。いつ止むかわからなかったけど、1人で雨宿りをしていました。
そしたら、ある女性が突然ワタシのところにやってきて、
『どこに住んでるの?寮?
ワタシの家すぐそこだから、傘貸すからこれで寮まで帰って。』
彼女は初めましてのワタシに傘をかざしました。彼女はワタシよりも少しお姉さんでした。
見返りを求めない優しさに、ワタシはその時少し涙が出そうなくらい嬉しかったことを、今でも覚えています。
彼女は少し高そうな、その丈夫なグレーの傘を、ワタシにくれました。


縁だな。雨に生まれた縁だな。
そして、
ワタシが知らない人に自分の傘をかざすことができたのは、
知らない人がワタシに傘をかざしてくれたことがあるから。
もらったから、返せるんだ。
もらったものを、少し返せたんだ。
そんな気がしました。
壊れかけた水色の傘も、
優しい丈夫なグレーの傘も、
大事にします。


そういえば、
ワタシは生まれてからずーーっともらいっぱなしです。
返していきたいし、
ワタシは返してもらわなくていいから、
たくさんプレゼントできるようになりたいな。
できるように頑張ってみますね。
たくさんのギフトをいつもありがとうね。

おつかれさん。です
☂️

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