アメリカの公立小学校の資金集め力。
アメリカの公立小学校はお金を集めるのが非常に上手い。さすが、資本主義大国だなと、日本の公立小学校出身の私は思っている。
いつも色々な方法で寄付を募っている。まず前提として平等の考え方が日本とは大きく異なるのだろう。富裕層が多額の寄付をして、低所得層の子をサポートするのは当然であるという考え方なのだと思う。
私がアメリカの小学校の資金集めでとても良いと思っているのは、寄付されたお金が何に使われるのかが明確であるというところだ。お願いされたからなんかよくわからないけど、いちよ寄付したんだけど、一体何に使ったの?みたいな事がおこりにくい。そのため、内容に共感しサポートしたいと思ったら、自然に寄付しようという気持ちになる。
資金集めといっても、お金だけでない。例えば、最近だとサンクスギビングといって、日本のお正月的な家族が集まる祝日があったのだが、地域の低所得層家庭もサンクスギビングでご馳走を食べてお祝いできるように、食べ物とスーパーのギフトカードのドネーションを募るキャンペーンをしていた。
日本のお正月のように、サンクスギビングでは定番料理のようなものがあるので、それに必要な食べ物がリスト化されていたのだが、皆が同じものを持ってこないように学年ごとにドネーションしてほしい食品が分かれていたのも、非常に合理的だと思った。
12月にはクリスマスに子供にプレゼントを買えない家庭のために、おもちゃ(未開封に限る)とギフトカードのドネーションを募るキャンペーンがあるはずだ。年に2回、衣服の寄付を募るキャンペーンもある。
また、小学校の遊具を新しくするために寄付をしてくださいというような、学校の何かをアップデートするので資金協力してねという案内も多い。富裕層も多い地域だというのもあるが、けっこうな額が集まり、わりとすぐに遊具を新しくするための工事が始まるので、その辺もいい。皆が覚えているうちに、遊具が新しくなるので、不透明感を感じないのだ。
ちなみにこれは賛否両論あると思うし、私は否定的に捉えたのだが、ドネーションした額によって小さなおもちゃ(ガラクタともいう)がもらえるようなキャンペーンもあった。30ドルなら消しゴムのおもちゃ、60ドルなら消しゴムのおもちゃとボール、300ドルなら消しゴムのおもちゃとボールとフリスビーといったように、各金額をクリアする事にもらえるおもちゃが増えるというような仕組みになっていた。子供はより多くおもちゃが欲しいので、親にドネーション額を増やしてほしいといったり、おばあちゃんやおじいちゃんに頼んだりするので、学校全体としてより多くの資金を集める事が出来る。
遠足などの費用を集める際も、自分の子供の費用だけ出す、自分の子供の費用+ドネーション〇ドルする、学校の資金(ドネーションされたお金を貯めている)から出してもらうという選択肢が用意されている。学校は常に資金を集めるという意識がある一方、低所得層家庭の子に対しては面倒な手続きを踏まなくても遠足などに参加できるようにしている。学校の資金から出してもらうにチェックを入れて、サインと日付を書くだけでよいのだ。低所得であるという証明や理由などは不要である。遠足だけでなく、学校で必要な文具やリュックだったり、日々のランチ代だったりも学校の資金から出してもらう事が出来る仕組みになっている。
学校の資金集めのための子供向けのイベントや大人向けのパーティーのようなものもよく開催される。私はまだ行ったことがないので詳しくはよくわからないのだが、大人向けの場合はチケットが一人100ドル近くするものもあったりして、さらにパーティーのイベントとしてオークションもあったりするようだ。(そういうの、ドラマで観た事あるよね?)おそらくそのパーティーには富裕層しかいないと思うが、学校のための資金は一晩で相当集まるだろうなと思う。
その他、このパーティーなどより身近なものとしては、参観日だったり、面談の日だったり、親が学校に集まるときには、小さいお菓子や学校のオリジナルグッズなども学校の資金集めのために販売されている。春にはお花の販売があったりもした。
資金集めのイベントやキャンペーンは常にあるので、ここに書いた以外にもまだまだ色々なものがある。
アメリカと日本では文化も違うし、お金に対する考え方なども違うので、そのまま真似するのは難しいとは思うが、私立だけでなく、公立の学校こそ資金集めに力を入れる事ができるような仕組みを作っていけたらいいのではないかと思う。日本の感覚を持った私からすると、アメリカの公立小学校の資金集めは、さすがにそのキャンペーンはやりすぎでは?と思うような事もあったりするが、日本の公立小学校(子供が日本にいた時少しだけ通っていた)では寄付を募るキャンペーンが開催されていた覚えがないので、ぜひ取り入れていってほしい。
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