見出し画像

在留資格「特定技能」受け入れ機関とは~在留外国人&外国人支援者向け~ニュースレター#21

在留資格「特定技能」でいう「受け入れ機関」とは、外国人を雇用する企業のことをいいます。

特定技能の在留資格が認められるためには、受け入れ機関に求められている要件を満たしている必要があります。今回は、企業が外国人を受け入れるための基準と義務について確認します。

受け入れ機関は、1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画(1号特定技能外国人支援計画。以下、「支援計画」という。)作成し、当該計画に基づき支援を行わなければならない。出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」

受け入れ機関が外国人を受け入れるための基準

1.外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
 (日本人と同等以上の報酬)
2.受け入れ機関自体が適切であること
 (5年以内に出入国・労働法令違反がない)
3.外国人を支援する体制があること
 (外国人が理解できる言語で支援ができる)
4.外国人を支援する計画が適切であること
 (生活オリエンテーションなどを含む)

受け入れ機関の義務

①外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
 (報酬を適切に支払う)
②外国人への支援を適切に実施すること
 (登録支援機関に委託することができる
 すべての支援を委託すれば(全部委託)、外国人を支援する体制があるとされる)
③出入国在留管理庁への各種届出

①から③をおこたると、外国人を受け入れられなくなり、さらに出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。

支援計画の概要

受け入れ機関は、在留資格申請にあたって支援計画を作成し、その他の申請書類と合わせて出入国在留管理局に提出をします。

支援計画には、おもに職業生活上・日常生活上・または社会生活上の支援として必要であるとして省令で定められた10項目の実施内容や方法などを記載します。

必要な支援10項目とは

1.事前ガイダンス
2.出入国する際の送迎
3.住居の確保、生活に必要な契約支援
4.生活オリエンテーション
5.公的手続き等への同行
6.日本語学習の機会の提供
7.相談、苦情への対応
8.日本人との交流促進
9.転職支援(人員整理等の場合)
10.定期的な面談、行政機関への通報

1.事前ガイダンス
雇用契約の締結後、在留資格の申請をする前に労働条件、活動内容、入国手続き、保証金徴収の有無等について対面またはテレビ電話等で説明します。
メールや動画の配信など、一方的な手段は不可です。
相手のよくわかる言語でおこなう必要があるため、通常は通訳を介します。

2.出入国する際の送迎
入国時に空港と会社または住居へ送迎します。
最寄り駅までなどは不可です。帰国時は空港の保安検査場まで送迎同行します。
公共交通機関またはタクシーを利用すること。
(登録支援機関の職員が車で送迎をすることは、いわゆる白タクにあたり法令違反となります)

3.住居の確保、生活に必要な契約支援
連帯保証人になる、社宅を提供するなど
銀行口座の開設、携帯電話の契約、ライフラインの契約などを案内し各手続きの補助

4.生活オリエンテーション
円滑に日本の生活に馴染めるよう、日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明をします。

5.公的手続等への同行
必要に応じて社会保障、税、住居地の手続きの同行、書類作成の補助など

6.日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報など

7.相談、苦情への対応
仕事上、生活上の相談苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応。
内容に応じた必要な助言や指導など

8.日本人との交流促進
地域住民との交流の場やお祭りなどの行事の案内や参加補助など

9.転職支援(人員整理等の場合)
受け入れ側の都合によって雇用契約を解除する場合
転職先を探す手伝いや推薦状の作成など。
転職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続きの情報提供。

10.定期的な面談、行政機関への通報
支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的に(3ヶ月に1回以上)面談し、労働基準法違反等があれば通報する


これら10項目の支援は、受け入れ機関の義務です。
中小企業で対応するのはなかなか大変そうですね。

企業で対応するのは難しい…そう感じた場合は登録支援機関に支援業務を委託することができます。
委託する内容は一部を委託することも、支援全部を委託することも可能です。

登録支援機関とは行政庁の登録を受けている個人または団体のことです。
行政書士などの士業事務所や外国人支援のノウハウを持った一般の企業などが登録しています。

次回は、登録支援機関についてまとめます。


外国人の雇用、在留資格の申請に困ったときは、在留資格に詳しい行政書士に相談しましょう。

よろしければサポートをお願いします!