見出し画像

2023年度ゼミ卒論集 巻頭言

今年は寒さが長引いていて、卒業式だというのに真冬のような気温が予想されています。卒業式前日にこれを書いていますが、「どんなに冬が長くても、必ず春は来る」という気持ちにはなれず、つべこべ言わずに早いこと暖かくなってくれ、という気持ちしか湧かないですね。

さて皆さんの代は2020年4月という新型コロナウイルス感染流行により非常事態宣言&大学全面休講という大変な状態での入学でした。入学式もありませんでした。その後も影響をモロに受けて、やっと「フィールドワーク」ができたのが3回生の夏のゼミ合宿でしたね。その割には地道に?飲み会を続けた成果か、いつの間にか仲良いクラスとなっていて、驚いたものです。なんとなくおとなしい人が多い代というイメージでしたが、だんだんと賑やかになっていったようにも思います。

そして今年もきわめて質の高い研究成果が示された卒論集となったことを喜ばしく思います。「面白いこと、好きなことを研究しなさい」と口を酸っぱくして伝えたので(それが逆にプレッシャーになった人もいたかも知れませんが)、本当に多種多様な研究テーマで、目次を見るだけで面白いですし、またそれぞれの人の個性が、この卒論集を見返すたびにこれからもずっと思い出すことが出来そうです。

大学時代学んだことは、5年、10年も経てばすっかり忘れてしまっているかも知れません。しかしこの卒論集には、みなさんがこの執筆時に、リアルタイムに何に苦しんで、そしてどうやって完成させたのかの軌跡があります。そこには学びのプロセスがあります。人によっては思い出したくない…という記憶かもしれませんが。

教育哲学者のジョン・デューイは「経験の振り返り」が学びにおいて重要であることを強調しています。卒論も、必死になって論文を読んだり、調査をしたり、書き上げているときには気づかないかも知れませんが、振り返ることでああ自分はあのことでこういう学びを得た、知識や技術を身に着けたなあ、と気づくことがあるかと思います。

いつでも大学に戻ってきてください。遊びにでも、学び直し(大学院)にでも。歓迎致します。最後になりますが、今年の長い冬を超えて、これからのみなさんの人生がずっと春のような温かさであることを祈っています。

2024年3月19日
桜井政成

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?