書籍:最強チームを作る方法

こんにちは。
3人娘を育てている、ベンチャー企業のCTOです。


THE CULTURE CODE

「THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法」という書籍を読みました。

「帰属意識」がチームのパフォーマンスに絶大なる影響を及ぼすということを、この書籍では取り上げています。

最強の組織とは、どのような組織でしょうか。
優秀な人材を集められれば、それだけで最強の組織となるでしょうか。

いかに優秀な人材をあつめたところで、全くパフォーマンスを発揮できない組織もあります。
一方、例えば高学歴で一般的にはエリートと呼ばれる人材で構成されなくとも、非常に炊きあパフォーマンスを出す組織もあります。

この書籍でぇあ、このパフォーマンスの違いは帰属意識にあるということ、そして、その帰属意識を醸成していくために必要なスキルがあるということを教えてくれます。

今回、この書籍からの学びを共有いたします。

腐ったリンゴ

ウィル・フェルプスさんが実施した有名な「腐ったリンゴ」実験があります。
これは、様々なチームに、以下の3タイプの人間を送り込んで、パフォーマンスがどのように変化するのかを見たものです。

  • 性格が悪い人(攻撃的、反抗的)

  • 怠け者(労力を出し惜しむ)

  • 周りを暗くする人(愚痴や文句ばかり言っている)

その結果、どのチームでも必ず30〜40%ほどのパフォーマンス悪化を引き起こしていました。

これはある種のウィルスのようなもので、チームの他のメンバーにもその態度が伝播していき、攻撃的になったり、怠けることを良しとしたり、愚痴が広まったりしていきます。

しかしながら、例外となったチームが一つだけありました。
そのチームでは、たった一人の人間が、このウィルスに対するワクチンのように働いていました。

会議の場に毒のような言葉が放たれる度、穏やかな態度で場の緊張を和らげ、その場にいるメンバーを安心させます。
他の人の発言を促したり、他の人の発言を熱心に聞いたりしていると、その場にいるメンバーたちの活動が活発化してきます。

安心の提供

このワクチンのような人は、「安心」を提供していました。
チームメンバーに対して「ここは安全な場所だよ。だから怖がらないで自分の意見を言ってほしい。」というメッセージを送り続けていました。

この話は、二つの問いを提供しています。

ひとつの問い、チームのパフォーマンスを決めているのは何かということです。

一般的には、チームのパフォーマンスは、優秀なメンバーの存在によって決まると考えられています。
スキル、経験、知識といったものが重要視されています。

それらは確かに重要でしょう。
しかし、このワクチンの実例を見る限り、それだけではないことは確かでしょう。

もうひとつの問いは、リーダーのあり方です。

一般的には、いわゆる「強いリーダー」の存在が重要視されています。
実務の遂行能力、的確な指示、カリスマといったものがリーダーに必要不可欠と考えられています。

しかし、このワクチンの実例では、それとは全く異なるものがパフォーマンスに影響を与えています。

「安心」がパフォーマンスに影響を強くあたえると考える人は、かつては非常に少なかったことでしょう。
しかし、今では「心理的安全性」という言葉が広まっているため、このお話の重要性を理解している人は増えてきていることと思います。

この安心の提供を行う行動パターンは、例えば以下のようなものがあります。

  • 物理的な距離が近い

  • アイコンタクトが多い

  • 握手、グータッチなどの接触がある

  • 活気のある短い言葉のやり取りが多い(長いスピーチではない)

  • 誰もがメンバー全員と会話する(小さな固定グループではない)

  • 人の話を遮らない

  • 質問をたくさんする

  • 人の話を熱心に聞く

  • ユーモアと笑いがある

  • 「ありがとう」の感謝の言葉がある

帰属のシグナル

人間は、コミュニケーションの中で無意識にシグナルを出しています。

例えば、人の話を聞くときに「身を乗り出す」ことで、熱心に聞いていることを示します。
他にも、「うなずく」とか「笑顔」とか「手を振る」とか。

これらはわかりやすいものですが、他にも「声の抑揚やトーンや速度」「発言や行動の遮り」「メンバーの行動を真似る」といったこともシグナルとして相手に伝わります。

これらの中に、「安心」を提供する「帰属のシグナル」があります。
アイコンタクト、相手を気にかける、ボディランゲージ、同意の意思表示など。

このような帰属のシグナルは、太古の昔から使われていました。
人間は、以下のような本能的な問いを常に持っています。

  • 私達はここにいて安全なのか

  • どこかに危険が潜んでいないか

  • この人たちと一緒にいる未来はどうなるか

帰属のシグナルがは、これらの問いの答えとして作用しています。
何十万年もの間、人間は集団で生活してきました。

そしてこれらのシグナルは、言語よりも早く使われてきました。
それゆえ、人間の脳は、このシグナルを感知する能力を発達させてきました。

帰属のシグナルには大きな特徴が三つあります。

  • エネルギー:眼の前で起こっている他のメンバーとの交流を大切にしている

  • 個別化:メンバーを独自の存在と認め、尊重している

  • 未来志向:関係はこの先も続くというシグナルを出す

これらの特徴を合わせると「あなたはここにいて安全だ」というメッセージとなります。

多くの人は、「言語が大事」と考えます。
チームのパフォーマンスは「言語知」によって決まり、テキストをどれくらいうまく扱えるかといったことにフォーカスします。

しかし、帰属のシグナルは言語知とは異なるもので、身体知と呼ばれるものです。
この身体知としての帰属のシグナルが、メンバーに安心を提供することで、パフォーマンスの向上に繋がります。


この書籍では、以下の大きな三種類のスキルを提示しています。

  • 安全な環境をつくるスキル

  • 弱さを共有するスキル

  • 共通の目標を持つスキル

これらが帰属意識を醸成するうえで非常に重要となります。

興味深いことに、一般的なビジネス書で言われているようなスキルとは性質が異なるものが挙げられています。

近代以降、言語知が重要視されてきました。
それに対して2020年ころから、身体知の重要性が語られ始めています。

みんな大好きコテンラジオでも、そのようなテーマでの話が繰り広げられています。

また、「言語化できないものをふんわりと全体的に理解する」ということの重要性の見直しも始まっています。


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