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窓ガラスのかわりに

高校時代、剣道部だった私。

道場は私達の練習と憩いの場だった。屋根からススキが生え、床が所々ささくれ立っている。おんぼろが故に、他の部が使うことはほぼなく独占状態だった。

ある夏の憩いの時間、部員が道場の窓ガラスを割ってしまう。そこから色々な物が降りこむようになった。秋は紅葉、冬は雪。掃除は面倒だが季節感があってなかなか悪くない。

そして翌夏、予告もなく修理された窓。

窓ガラスのかわりに取り付けられたのは波板。透明なプラスチック材質なので光は入るが、真夏に取り付けられたそれは熱気の逃げ場を塞ぐ。

この案を考えた人は、波形の隙間から風が入るとでも思ったのだろうか。修理されるまで約1年、思いつきのような解決策でさらに不便になった道場。

この出来事が、なぜか良い思い出として残っている。熱気によってサウナでいう「ととのう」状態になっていたのかもしれない。

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