【新NISA対応】分散高配当株投資
はじめに
入社5年目、私は東京の狭小賃貸マンションの一室で暗闇の中、パソコンを睨んでいました。
大学卒業後、誰もが羨む一流企業に就職出来たものの、上司には詰められ、先輩や後輩の仕事のサポートに追われ、毎日疲れ果てて夜遅く帰宅し、休日は寝るだけの生活でした。仕事には充実感があったものの、このままではいけないという焦りがありました。友人たちの多くは転職し、5年目までには2社以上を経験する人も少なくありません。後輩は超大手外資系企業のマーケティング部門にヘッドハントされ、ストックオプションを含めると年収数千万円を貰っているようです。
将来が安泰ならば、それでいい。そう思っていた時期もありました。しかし、名ばかりの成果主義が多くの企業で導入され、終身雇用が終わりに近づいていることを肌で感じていました。勤務先の会社も例外ではありません。30歳までに大企業では出世選抜の大部分が終わり、35歳を境に昇進に濃淡が出ます。全員が課長になれるわけではなく、年々ポストは減っていって昇進の可能性も減っていきました。給料も思ったよりは増えず、閉塞感が日に日に増していきました。
東京は生活費が高い場所です。特に、家賃、生活費、そして交際費などは大きな負担になりました。
それでも貯金はある程度してきました。株式投資もNISAも少しはかじっていました。しかし、臆病者の私は毎週のように最高値を更新する米国株に全力で投資をすることができず、資産のほとんどを現預金で保有していました。世界一の投資家であるウォーレン・バフェットに関する本を数冊読んでいたので、今は明らかにバブルだと思っていました。とてもじゃないがバブル相場の中で投資をすることは出来ない、というのが私の投資判断だったのです。
そんな時に、アイディアとしてひらめいたのがリスクを抑えた分散高配当投資です。株式投資に関する本を何百冊と読み漁り、様々な投資理論を組み合わせて分散高配当投資をあみだしました。具体的な数値を挙げて難解な用語や数式を使わず、平易に説明いたします。また、本書で紹介する投資手法は2024年にはじまる新NISAにも対応しています。
株式をコツコツ少額積み上げて買うことで毎年一定の配当額が入金されるのです。不労所得を夢見て、人並みに副業について考えていた私にはとっては理想的な副収入でした。当時の手元資金で計算をしてみると、月に3万円程度の不労所得が得られそうです。月に3万円の不労所得があれば心強いです。サラリーパーソンの平均お小遣いは3万円程度ですので、不労所得と合わせるとその倍近く貰えることになります。
こうして私はサラリーパーソン投資家として分散高配当投資に足を踏み入れました。そして実際、3万円の不労所得を毎月得ることで生活に余裕がうまれました。値段を気にしすぎずに、本当に価値ある欲しいものを買えるようになりました。月に1度か2度、自分へのご褒美に高価な外食へ行くことにも躊躇しなくなりました。それでも給料からの収入もあるので2馬力で資産は増えていきます。心にゆとりもできて、余暇を心の底から楽しめるようになりました。この分散高配当株投資との出会いに心から感謝しています。
高配当株投資自体は目新しい方法ではないかもしれませんが、昨今の日本企業の意識改革を受けて、数ある投資方法の中でも魅力的な手法になっています。特に近年では投資ブームを受けて投資初心者の取引が活発となり、楽天証券やSBI証券等で単元未満株の環境の整備が進み、大きな追い風となっています。
そもそも配当の原資は、会社で活躍するサラリーパーソンの汗と涙の結晶なのです。忙しいサラリーパーソンにこそ本書の投資方法を実践し、会社への依存を低めて、ある程度の自立をして豊かになってほしいです。そんな強い願いを込めて本書を執筆致しました。
その具体的な投資方法について早速紹介していきます。
目次
はじめに
リスク分散高配当株投資とは
リスク分散高配当株投資の魅力
投資手法
銘柄分析
投資の考え方
ポートフォリオの構成について
おわりに
リスク分散高配当株投資とは
黒塗りの画面に羅列された数字の列が青白い光の中で点滅し、複雑な線の組み合わせで表現されるチャートを眺めて好奇心が沸き、モチベーションが高まる人は少数派でしょう。お金のためだからなんとか興味を持つ程度だと思います。株式投資の基本的な買い手の構成は国内外の機関投資家であり、規模の経済が働く力の世界です。私たちサラリーパーソン投資家はそうした巨大組織に挑む小さな野武士集団なのです。
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