見出し画像

高配当が高リスクとは限らない

利回りが5%と仮定する場合、投資先が100社あるとして、年度末に5社倒産しても投資した資金が均等に分散されており、かつ期中に配当を受け取れられれば、残りの元本相当額は株価の上下がなければ保証されるということです。ただし、これは倒産した企業も配当(もしくは残余財産)を分配する前提での話です。もし倒産した企業が配当を支払わない場合は4社が倒産することであれば、利回りは0.75%を期待できます。

 

しかし、現実的には、これほど多くの企業が倒産する可能性は非常に低いです。世界的な格付け会社であるムーディーズが格付を付与する日本の発行体の年間平均デフォルト率は全発行体でわずか0・2% です。投機的等級発行体でも1.2%です。[1]なので、100社の投資先が1年間でデフォルトする可能性はハイリスクの企業等でもわずかに1.2%です。つまり100社の投資先に対して倒産するのは多くて1社か2社程度ということになります。

 

これだけ利回りが上がっているのはインフレ率が上昇しているのが理由として挙げられます。インフレを抑制するのに中央銀行は躍起になっているのです。インフレは経済学者の間で2%が暗黙の了解とされています。日本もこのインフレ率を日銀が数値目標として掲げていました。

 

日本は利上げに踏み切れない理由があります。日本人は変動金利で住宅ローンを借りている方が多く、その影響が大きいと判断したためです。また日銀のバランスシートの大半を占める債権の価格が下落してしまうため簡単に利上げに踏み切れないのです。高インフレの世界の中で比較的インフレがマイルドな日本に住んでいる恩恵ともいます。そうであれば、この恩恵を最大限受けましょう。



[1] [Liu, 2020]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?