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月3万円で1億円 新NISAの結論


はじめに

昔から日本人はお金に関する話題を避けて過ごしてきました。バブル崩壊以降、不動産関連取引で日本経済は過度に膨張し、バブル経済に大きな恩恵を得ていた数多くの会社が経営破綻しました。日経平均は記録的な下落を記録し、株式投資を行っていた多くの投資家は多額の損失を受けました。バブル崩壊以降、低位に沈み続けた日本株に投資を行う投資家は憂き目に遭うことが多かったため、投資の話題に対して一種の忌避とも言える世間の風潮がありました。投資する余裕がある場合であっても投資を避けて、元本が保証されている定期預金等の形で銀行口座に眠らせている場合が多かったのです。

しかし、時代は変わり、少子高齢化や社会保障費の増加に伴い、年金の持続可能性や受給額の減少といった懸念が国民の間で高まっています。テレビやワイドショーでは、老後の備えとして新NISA(少額投資非課税制度)に関する話題を多く聞くようになりました。私たちが支払ってきた年金が十分に貰えない可能性や受給額が足りないという声があるようです。現在の年金は賦課方式がベースとなっており、働いていた時の支払いは基本的に自分のものにはならず、支払い時の高齢者の受給に充てられます。老後2000万円問題で対応に追われた政府の後押しもあり、自分で老後の資金を確保する必要性が増し、国民の中で投資に対する関心が急速に高まっています。

日本人はこれまで、貯蓄や生命保険などを通じて老後の資産を準備してきましたが、直近のインフレによる貨幣価値の低下を受けて、資産運用の重要性に気づく人が増えています。そこに登場したのが新NISAです。新NISAによって、投資環境が劇的に進化し、個人投資家がより積極的かつ容易に国内外の市場に参加することが可能になりました。しかし、それに伴って投資に関する本は増えていますが、新NISAに関して具体的な結論が示されていないと感じることもあります。ファイナンシャルプランナーや投資信託系の会社が何かしらの利害をもって書かれた本も目につきます。投資業界に利害関係を有さず、中立の立場から適切なアドバイスをしている情報が少なく、長期投資に関する有益な情報が得にくいのです。加えて、投資信託やETFに関する情報も不足していると感じます。

しかし、既にノーベル経済学賞を受賞した専門家や知識人たちは長い間、貴重な時間を割いて投資について議論し、長期投資に対する結論を既に出しています。一部の選択には個々人の好みによって異なる部分もありますが、「平均的な日本人」という観点から、ライフプランに応じた投資の組み合わせを提案できるのです。すべての人の投資対象はリスク許容度によって大枠が決まっており、残り2割程度が個々の好みによって決められるのです。説明はわかりやすさを重視し、理論的背景や細かな話は前半にまとめました。忙しい方は後半の数十ページを読むだけで大丈夫です。投資に関する本は基本的にこうあるべきです。

最近、新NISAを活用して70歳頃に1億円の資産を築くというテーマの書籍が流行していますが、世間の声は非常に肯定的です。シミュレーション通りであれば、実際に夢の1億円が実現できるというのは誰しもが憧れる世界です。しかし、一方では月に5万円も投資に回せないという声や、70歳になっても1億円を受け取っても意味がないと感じる方々の声も多く聞かれます。

若い時期に1億円を受け取ることと、70歳で1億円を得ることは全く異なる価値を持ちます。子育てや生活費など、若い時期には様々な支出がありますので、若いうちにお金を受け取ることがより望ましいとされるのは当然です。多くの書籍でも、若い時期にお金を受け取り、それを有効に使うことを人生の目標として掲げています。後悔を避けるためにも若いうちに積極的に人生のやりたいことをやることが重要です。

そこで、本書が提案するのは、「平均的な日本人」が毎月1万円から3万円の投資を行い、老後に十分な資産(例えば1億円)を築きながら人生の幸福感を最大限に高める方法です。もちろん、毎月10万円投資をしてもいいわけですが、人生の目的は所有金額の多寡(たか)で決まるのではなく、何にお金を振り分けるかによると思っています。将来の不安が解消された状態で、若いうちにお金を使うことが最高の幸福をもたらすと言えます。本書のアプローチであれば毎月3万円程度の投資で1億円も不可能でありません。若いうちは人生の目標にお金を使うことを第一に掲げ、人生に彩りを与えるのが本書のアプローチです。

本書ではそうしたコンセプトでみなさま一人ひとりに最適な投資提案ができるように執筆しました。一人でも多くの方が本書を手に取り、一度しかない貴重な人生を幸福に生きていくことを心より願います。

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