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読書の記録『アート脳』

こんにちは。アートワークセラピストのsakurakoです。
私は読書が好きで毎回10冊ぐらいを併読(積読も)しています。
ジャンルはさまざま読んでいますがこちらのnoteでの読書記録はアートや絵本、こども、心理学などに関わる本を読んだ際に紹介していこうかなと思っています。

『アート脳』という本について読んだので、印象に残ったことなどをお伝えできればと思います。


専門書やアートセラピーの本ではなく、一般向けの書籍として科学的なアートが健康にかかわるという効用が述べられている本はこれまであまりなかった気がします。アートセラピーについてはこちらで書いています。


本書を読むことでアートに興味を持つ人が増えるといいなと思いました。
事例が沢山書かれていて、絵を描くこと以外に音楽やVRなどについても触れられています。興味のあるところだけ読むのでもいいかもしれません。

知っていることも多かったものの、論文なども紹介されながら科学的に研究として発表されているような効用を知ることができました。

本書で印象に残った話をいくつか紹介します。


アートは何百もの機構を協調させて作用

薬理学的な治療は1つか2つの経路から作用するだけだが、
アートは何百もの機構を協調させて作用することができる

「アート脳」p171

アートの効用が単純な生物医学だけで語れるものではなく、そのほか精神的機構、社会的機構、行動的機構など複雑な機構が関わっているということでした。
色、モチーフをとっても感じ方はそれぞれであり、その人にとっての意味が変わります。その違いは文化的な側面や経験的側面や価値観なども背景にあります。
正解がないからこそ良い面もあれば、あいまいな面もあり複雑さがあるということも書かれていました。だからこそ、アートセラピーはAIなどに代替されにくいものなのではないかと思います。

文化的活動を実践すると認知症や慢性疾患を防ぐ可能性がある

文化的活動と認知症などとの関連に関する論文も紹介されていました。

本書ではアートが認知的に刺激のある活動を促し、社会的支援を提供し、さらには新しい経験を提供し、感情を表現する機会を得るうえで役立っている 認知予備力の一部をなし脳の抵抗力の強化に貢献しているといわれています。
認知症などに文化的活動は有効であることは実際の現場やデイサービスなどでも取り入れられていることから知っていましたが、なぜ効果があるのかという点については複合的な要因があるのだということが学びになりました。

社会的処方について

「社会的処方」と呼ばれる手法であり、イギリスやカナダ、アメリカで広がりつつある。医師、心理学者、ソーシャルワーカーなどが、ストレスには歌のレッスン、不安には美術館やコンサートのチケット、燃え尽き症候群には自然のなかでの散策などを処方しているーー予防と介入を行っている

「アート脳」p101

上記の「社会的処方」とは初めて聞いたことばでした。
コミュニティケアとしてのアートの研究では文化へのアクセスによって健康と幸福に影響を与えることが示されているということでした。

さいごに、簡単に日常にアートを取り入れられることとしては
落書きや塗り絵を少しの時間(例えば5分とか)思いのままに描くことをお勧めします。わたしも感情が落ち着かない時などは色をただただ紙に塗っていくということで気持ちが落ち着くことがあります。

落書きや塗り絵を落書きなどは前頭前野皮質を活性化させ、集中力を増やしたり喜びや報酬の感情を呼び起こすことが確認されています。
※「アート脳」p108より元論文は以下です


今日の記事はサイエンス多めな内容でしたが、アートって本当に効果あるの?と思っていた方に響く内容であったら嬉しいです。



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