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【新米パパママにおすすめ】公認心理師が教える/幼児健診の歩き方/1歳半健診編#7「真似」

こんにちは!
幼児健診の歩き方ナビゲーターの
のびしろ丸です。

今回7回目のテーマは、「真似(まね)」
子どもが様々なことを覚え身につけるのは、
身近な人の態度や動作を取り込む真似から始まると言われます。

1歳半健診では必ず問われる
「真似」=「模倣」。
その見方と留意点について、話をしていきましょう。

意図的か機械的か


私が所属する自治体の健診の問診票では

Q.大人の真似をしますか

という質問項目があります。
回答は、はい、いいえの選択式です。

問診の聞き取りでは、
子どもの様々な「真似」の様子を親御さんから教えていただいています。

これまで幼児健診に携わってきて、
この「真似」を問う項目が、
最も親御さんと専門職との間で見方に隔たりがあるのではないかと常々感じています。

そのことを踏まえ、
今回はやや専門的になりますが、
詳しくお伝えしていこうと思います。

さて、健診で問われる「真似」は、
生活場面のなかで子どもが普段目にする、
身近な大人の行動を自分の身に置きかえて
動作を模倣する「意図的模倣」
です。

パターン的に表面的な動きをなぞる
「機械的模倣」
とは質的に異なります。

この2つの違いは、
どうやって区別するのでしょうか。

相手と重なり合う行為


バイバイを例にとって説明しましょう。
個人差はありますが、
1歳前後からバイバイ、と
言葉を発することはまだでも、
手を振ると子どもはそれを見て真似て振り返すようになります。

ここで、目に映ったそのままの光景を
機械的に再現した場合
は、
手のひらを自分に向けてバイバイする
いわゆる「逆さバイバイ」になります。
これが機械的模倣です。

相手の動作を見て、
相手の身体軸に自分の身体軸を置き直して相手がした通りに模倣すること
これが意図的模倣です。

このようなことができるようになるのは、
対人面における理解の伸びが背景にあります。

乳児期の後半に入ると、
他者が自分と明確に区別され、
自分とは別の心の状態を持つ意図的存在として認識するようになります。

このような心の働きがあって、
相手の身に自分の身を重ね合わせる 
身体的表現としての模倣
ができるようになるとされています。

人を意識しているか


「真似」はバイバイだけではありません。

モップをかける、ブラシで髪を梳かす、
ごみをごみ箱に捨てる、食器を重ねる、
ペンで紙に書きつける‥

真似は、対象となる身近な大人(または兄姉)の姿を身体に取り込む学習行動でもあります。
日常の様々な場面で、
見られるのではないでしょうか。

今シリーズ#2「視線」のなかで、
社会的参照について触れましたが↓

そこには、必ず人を意識した子どもの視線というものが存在します。

真似には、手遊びのような
視線で関わり合いながら互いに同じ動作を楽しむものもあります。

他にも、大人と直接かかわっていない場面であっても、アイコンタクトや気持ちがつながる感じがあれば、意図的模倣と言えるものがあります。

例:モップをかける


ひとつ例を挙げましょう。

子どもが長い柄のモップを持って
一生懸命、前後に床の上を動かしている場面を想像してみてください。
大変微笑ましい光景です。

少し近づいてみましょう。

あなたに見られていることに気がついた子どもが、モップをかけながらあなたを意識して、
得意げな顔をしています。

夢中になって周りが見えてない場合は、
「頑張っているね」などとあなたが声をかけたら、照れたり嬉しそうな様子を見せました。
これが、真似=意図的模倣です。

声を掛けても、モップの繰り返しの動きや音などの感覚刺激に没頭していて、人を意識する様子があまり見られなかったり、食事中など、場面にそぐわないところでの動作であれば、意図的模倣と区別される場合があります。

褒めて貰いたいお子さんの「真似」を見かけたときには、声をかけて、いいね!という気持ちを伝えましょう。
褒められたら子どもは嬉しいもの。
そこから広げて、気持ちがつながるやりとりのきっかけにできたらいいですね。


以上、1歳半健診における「真似」について
お伝えしました。

次回のテーマは「遊び」です。
お楽しみに!

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