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魚に塩を振るのはどうして?

塩の話しは何度かさせていただいておりますが、今回は魚に塩を振るという
当たり前の事を
少し深掘りさせていただきます。

魚に塩を振るのは、
塩味をつけることはもちろんですが、
もっと重要な理由があります。
それは、
魚料理の下ごしらえとして、
塩を振ると、半透膜と呼ばれる細胞の間に特殊な膜を通じて、
魚の生臭い成分が外に取り除かれるからです。

ちなみに半透膜というのは、
水のように分子の小さいものは
通しますが、
分子の大きいものは通さない
生物特有の細胞膜です。

塩を振って、生臭みが出てきた魚は、
そのまま長く置かずに10分目安で、
塩とともに出た汁をキッチンペーパーなどで吸い取ります。

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煮魚の場合は、
その後先日の書かせていただきましたが、霜降りをしてください。

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塩焼きの場合は拭き取るだけで結構です。
拭き取らないと、
焼きあがった魚の表面に
アクの塊のようなものができてしまいます。

魚に塩を振る効用は、なんとそれだけではありません。

振った塩は魚の表面の水分に溶けて、
濃い塩水になります。
細胞の内部では
これを薄めようとして浸透圧が働き、
内部の水分が引き出されるために
身が締まり、その後に
魚を焼いても身崩れがしにくくなります。

更に更に、
もっと重要な役割があります。
魚に塩をある濃度以上振ると、
塩がタンパク質を凝固させる働きをします。
下ごしらえに
塩を使って締めた魚を焼くと、
塩の働きで表面のタンパク質が早く固まり、
内部の旨味成分を閉じ込めてくれます。

焼き魚に塩をするのは、
何よりこのためです。
塩をしない焼き魚は
なんとなく身が締まらないものですよね。

大事なポイントなのですが、
精製された塩より、
天然塩などのにがりが入った塩を使う方がいいです。
初期のブログにも書かせていただいております(^▽^;)

理由は、にがりが
魚のタンパク質の凝固作用をより強め、
塩の浸透も良いからです。

ただし、塩のタンパク凝固作用で注意しなければならないのは、
その時使う塩の濃度です。
濃度が濃いと、
タンパク質を凝固させるのですが、
逆に濃度が薄いと、
タンパク質が食塩水に溶けて流出してしまいます。
つまり、薄いとまったく逆方向の働きをしてしまうのです。
焼き魚に塩をする時に、
塩が白く残るくらい多めに振るのは、
タンパク質が凝固しないからなのです。

これとは逆に、
塩がタンパク質を溶かす性質を利用した調理法としては、
魚のすり身の処理の仕方があります。
魚のすり身を作る時に
少量の塩を入れないと、
すり身はドロドロの状態になりません。
逆に塩を入れすぎると、
すり身は固くなってしまいます。

では、多めってどれくらいなの?という話なのですが、
焼き魚などの場合は魚の重さの2%を目安にしてください。
少なめというのは、0.8%を目安にしてください。
200グラムの魚でしたら、
多めというのは4グラム、
少なめというのは、1.6グラムですね。

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{約200グラムの鯖でしたので、4グラムの塩です。

身がプリプリと締まって、
旨味も最大に残っている目安としては、
焼き始める30分前目安と覚えておいてください。

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そして、何度も書いておりますが、
肉の場合は、魚のように臭みもなくできるだけ旨みの流出を抑えたいので、
焼く直前にしてください。

焼き魚と一夜干などの干物は
またルールが違いますが、
鮮魚のプリプリした食感を
美味しく焼き魚としては味わうには、
塩の使い方というのも考えて
作ってみてください(^_-)☆

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