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スコットランド・エディンバラの街並みを堪能した1日 【Play back Shamrock #9】

※ご注意※ 本連載は2020年の同時期に経験した出来事を1年後に振り返る趣旨で公開しており、掲載の情報等は2020年当時のものです。

(見出し画像:エディンバラ旧市街のHigh Street)

 Brexitのタイミングに合わせて懸案を抱える各地へと向かう3日間の最終日、2月2日はアイルランド島を飛び出しイギリス・スコットランドの中心都市エディンバラを訪れた。スコットランドでは住民投票により一度はイギリスからの独立が否決された一方、Brexitの決定を受けて再び動向が注目されるようになっていた。そんなスコットランドの政治の中心地・エディンバラでBrexit後初の日曜日、何か目立った動きがあるかもしれないと考えた私はこのタイミングでの訪問に踏み切ったのだ。
 ここで再確認の意味合いも込めて、前2日間の行程を再度振り返っておく。Brexit当日の1月31日はアイルランドの首都ダブリンから陸路でイギリス領北アイルランドの中心都市・ベルファストを訪れ、北アイルランド議会前で歴史的瞬間に立ち会った。そしてベルファストで1泊し翌日の1日は、北アイルランド紛争に関連する史料も展示されている国立アルスター博物館、さらには分断と和平の象徴Peace Wallへと足を運んだ。3日間連続で飛び回るのも流石に大変ではあったが、「ここがクライマックスだ」との一心で歩みを進めたのだった。

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(写真:スコットランド議会前にて撮影。EU・スコットランド・イギリスの旗が並ぶ光景はもう見られなくなるのだろうか)

 しかし、何かが起こることを期待している読者の方がいては申し訳ないので今回はあらかじめおことわりしておこうと思う。私はこの日、政治集会やデモの類をこの目で確かめるには至らなかった。後日談で「デモはあった」との情報も耳にしたが、現地でその様子を目撃することは今回に関してはなかったのである。結果としてこの日はエディンバラ中心部を歩いて観光するだけの旅行に終始したのだった。ただ、エディンバラの街並み(世界遺産)は美しい。見て回るだけでも十分楽しめる街だった。

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(写真:エディンバラ中心部を走るトラム。フェンスで一部が見えにくくなってしまっているのが残念だ)

 前置きが長くなったがこの日の出来事を朝から振り返る。宿泊は伴わないがエディンバラで可能な限り長く時間を確保するため、ダブリンからエディンバラへのフライトは早朝の便を選択した。ホストファミリー宅を出たのは午前3時台。ダブリンでは空港へ向かうリムジンバスが基本的に24時間走っている。ダブリンを飛び立ったのは夜も明けきらぬ午前6時台だった。ロンドン便とは異なり、エディンバラ行きの便はプロペラ機で運航されていた(プロペラ機に搭乗したのは記憶の限りで人生初)。
 エディンバラ空港までの所要時間は1時間程度。そこから中心部へはトラム(路面電車)を使って移動する。空港からのアクセス手段が路面電車というのは、考えてみると面白い。そうして午前9時過ぎにはエディンバラ中心部・Waverley駅周辺に到着した。まずは駅近辺を散策することにした。

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(写真:Waverley駅前のScott Monument)

 事前のリサーチからも歴史的な建造物やスポットが多いことをある程度想像してはいたが、駅周辺を歩いているだけでも思わず見とれてしまいそうな美しい街並みがそこにはあった。この日は旧市街で1日の大半を過ごすことになる。

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(写真:Waverley駅近くのCockburn Street。勾配と曲がる角度が織りなす絶妙なコンビネーションが何とも言えない)

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(写真:旧議会近くのアダム・スミス像)

 最初の目的地はエディンバラ城だった。その途中に旧スコットランド議会の建物があることから、まずはこちらを見てみて動きがないかを探ろうと考えた。しかし予想には反して、旧議会前の広場では特に集会らしきものが開かれる気配はなかった。それも無理はない。日常的に使っている地図アプリで「国会議事堂」と表示されていたことから私はてっきり、旧議会の場所に現在もスコットランド議会があるとばかり思っていたのだ。
 現在の議会は旧議会から数百メートル東側にあることをすっかり見落としていた。デモや政治集会に出来わさなかったのは、この勘違いによるところが大きいだろうとの結論に至り、後日になって猛反省したのだった。

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(写真:エディンバラ城の外観)

 そうして情緒あふれる建物が立ち並ぶ中を歩くこと数百メートル。エディンバラ城に到着した。ヨーロッパで城という城の中に立ち入ったのは今回が初めてだったこともあり、胸が高鳴った。

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(写真:エディンバラ城から中心部を望む)

 エディンバラ城ではシャンデリアのついた居室や戦没者慰霊のための施設などが一般に公開されている。また歴史的建造物やスコットランドの歴史に関する説明展示もさることながら、高台からエディンバラの市街地を見渡せる展望も重要なポイントだ。なおエディンバラ市街地では高層ビルが立ち並ぶような光景は見られない。スコットランドの経済の中心都市グラスゴーと見比べてみるのも興味深いだろう。

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(写真:スコットランド国立博物館の外観 ※画像の一部を修正)

 エディンバラ城に続いては近隣に所在しているスコットランド国立博物館(National Museum of Scotland)を訪れた。
 スコットランドの歴史的史料やスコットランド経済に関する展示から、近現代の科学技術に関する展示まで多岐にわたる展示内容がこの博物館の特徴だ。誰もが一度は教科書でその名前を聞いたことのあるであろうクローン羊「ドリー」の剥製もある。
 またスコットランド国立博物館の展示品として私がもう一つ注目したのが、"Lewis Chessmen"のチェスピースだ。このチェスピースはロンドンにある大英博物館にも展示されており、私はそちらでこのピースの存在を初めて知った。スコットランド国立博物館でも展示されているということで、この機会に是非見ておきたいと思ったのだ。独特の風貌が好奇心を掻き立てる。
 そして一風変わったものに面白味を感じる私は、自分の部屋に飾るコレクションとしてLewis Chessmenのチェスピースのレプリカを購入。さらには表紙が気に入ったこともあり、チェスピースの簡単な解説書も買い求めた。2年前に大英博物館で購入したレプリカ(別物)とともに、これらは私の部屋の目立つ場所に飾られている。

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(写真:ホリルードハウス宮殿)

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(写真:カールトンヒル)

 昼食を挟んで博物館には3時間ほど滞在した。引き続いてはエディンバラ中心部を歩きつつ、観光スポットを2ヶ所ほど回ってこの日は終了することにした。とうとうデモや政治集会には遭遇することがなかった。
 スコットランド国立博物館を出て東の方向へ歩いて移動し、ホリルードハウス宮殿を訪れた。到着した時間には一般公開が終了しており、外から眺めるだけになった。その後は1日の締めくくりとしてカールトンヒルへと向かった。ギリシャのパルテノン神殿を想起させる建造物が印象的だ。道中、結構な坂を登ったような気がする。こちらも高台に位置しており見晴らしは良好だが、街並みを楽しむにはエディンバラ城の方が良さそうだと感じた。
 カールトンヒルを出る頃には日が傾いて周囲は暗くなってきていた。そのまま徒歩で近くのトラム乗り場へと向かい、空港へ戻った。
 こうして初のスコットランド訪問が終了した。当初期待していたBrexit関係の抗議活動などを目にすることはできなかったが、観光としては満足度の高い旅になった。

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(写真:街中にあるごく普通のゴミ箱だが、英語の勉強の素材としてはかなり有益だと思い撮影した)

 最後に1点。今回は珍しく、語学研修らしいトピックで締めたい。上の写真はエディンバラ中心部で見かけたゴミ箱を撮影した何気ない一枚だが、大いに学べる要素がある。
 まず、イギリス英語ではゴミのことをtrashとは呼ばず、litterと表現する。またゴミ箱も同様、trash boxではなくbinとなる。現地の人にもtrashで意味は通じると思われるが、現地に行く際には意識しておきたいワードの1つだろう。

 今回はここまで。次の週末はダブリン市内を散策する。

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