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自然と人体のリズム(東洋思想と筋肉⑤)

東洋思想は知れば知るほどその奥深さにまるで沼にハマっていくようです。。
https://note.com/saku1610/n/n0a657c2e2049
陰陽五行思想などを調べている内に知った理論の一つが子午流注

この考えは実は現代の科学でも似たようなことが研究されておりそれをサーガディアンリズムと言いいます。

今回はその共通点なども考察しながら日々の筋肉作りに活かせる方法がないかまとめていきます。



サーガディアンリズムと子午流注


サーカディアンリズム(Circadian Rhythm)に関する研究は、20世紀初頭から本格的に始まりましたが、生物が日々のリズムに従って活動することは古くから観察されていました。

20世紀初頭にフランツ・ハルベルクという科学者が、サーカディアンリズムという用語を提唱しました。
彼の研究は、生物の身体機能や行動がおおよそ24時間周期で変化することを示しました。ハルベルクは1950年代にこの用語を使い始め、これらの周期的なパターンを詳細に研究しました。
サーカディアンリズムの研究は、生物学、医学、心理学、行動科学など多岐にわたる分野で発展してきました。
このリズムが生物の健康や行動にどのように影響するかを理解することは、現代の科学において非常に重要なテーマとなっています。
特に、光の暴露がサーカディアンリズムに与える影響や、不規則な生活リズムが健康に及ぼす影響などが研究の主要な焦点となっています。

子午流注の考えは、中国伝統医学において古くから存在していました。この概念は、特に『黄帝内経』にその起源が見られます。『黄帝内経』は紀元前200年から紀元後200年の間に成立したとされる中国最古の医学書の一つで、中国の伝統医学の基礎を築いた重要な文献です。

子午流注の理論は、『黄帝内経』の中の「素問」と「霊枢」という二つの部分に詳しく記述されています。これらのテキストは、体内を巡る「気」の流れが一日の時間帯によって異なる臓器に集中するという考えを提唱し、その知識は後の伝統医学の発展に大きな影響を与えました。


それでは各理論において詳細を見てきましょう。


サーカディアンリズム


  1. 深夜~早朝 (午前0時~6時):

    • 肝臓: 解毒作用と再生が最も活発になる時間帯です。

    • 副腎皮質ホルモン: コルチゾールの分泌が徐々に増加し始めます。

  2. 早朝 (午前6時~8時):

    • 副腎: コルチゾールの分泌がピークに達します。これにより、覚醒状態が促され、血糖値が上昇します。

    • : 活動が活発になり、消化と排泄の準備が始まります。

  3. 午前中 (午前8時~午前12時):

    • 心臓: 血圧と心拍数が上昇する時間帯で、活動的な作業が最も効果的です。

    • 内分泌系: テストステロンなどの性ホルモンが活発に分泌される時間帯です。

  4. 昼~午後初期 (午後12時~午後4時):

    • 脾臓: 血糖値を調節し、食事後の消化吸収を助けます。

    • : 食物の消化と栄養吸収が進行します。

  5. 夕方~初夜 (午後4時~午後8時):

    • 腎臓: 体内の水分バランスを調整し、血圧の調節が行われます。

    • 甲状腺ホルモン: 活動が減少し始め、体がリラックスモードに移行します。

  6. 夜 (午後8時~深夜):

    • : メラトニンの分泌が増加し、睡眠への準備が始まります。

    • 全身: 修復と再生のプロセスが活発になり、成長ホルモンの分泌が増加します。


子午流注



子午流注(しごるちゅう)は、中国伝統医学における重要な概念の一つで、体内を巡る気の流れが時間帯によって異なる臓器に集中するという考え方です。
この理論は、一日24時間を12の時期に分け、それぞれの時期に特定の臓器が最も活動的になるとされています。

  1. 午前3時~5時(肺の時間):

    • 肺は呼吸と気の流れを司る臓器とされ、この時間は肺の機能が最も活発になります。

  2. 午前5時~7時(大腸の時間):

    • 排泄活動が活発になる時間帯で、体から不要なものを排出する過程が促進されます。

  3. 午前7時~9時(胃の時間):

    • 食物の消化と栄養吸収が最も効果的な時間帯とされ、朝食を摂るのに適しています。

  4. 午前9時~11時(脾の時間):

    • 脾臓は栄養吸収と気血の生成を助けるとされ、この時間帯には活動が活発化します。

  5. 午前11時~午後1時(心の時間):

    • 心は気血の循環を制御し、この時間は心の活動が最も活発です。

  6. 午後1時~3時(小腸の時間):

    • 食べ物の最終的な消化と栄養分の吸収が行われます。

  7. 午後3時~5時(膀胱の時間):

    • 体内の余分な水分や老廃物の排泄が促進されます。

  8. 午後5時~7時(腎の時間):

    • 腎臓の機能が強化され、体の修復や再生に重要です。

  9. 午後7時~9時(心包の時間):

    • 精神的リラックスや休息に適した時間帯です。

  10. 午後9時~11時(三焦の時間):

    • 体の温度調節や代謝調整が行われます。

  11. 午後11時~午前1時(胆の時間):

    • 胆汁の分泌と代謝調整が行われる時間帯です。

  12. 午前1時~3時(肝の時間):

    • 体の解毒と血液の浄化が行われる時間帯です。

子午流注の理論は、一日の中で特定の活動を行う最適な時間帯を提案し、身体の自然なリズムに合わせて健康を維持することを目指しています。日々の生活リズムや活動スケジュールをこの理論に基づいて調整することで、健康的な生活をサポートするとされています。


両者の理論は別々に発展したと言われているものの、共通する部分も多いです。
しかし、2000年以上前から自然を観察する中で発展してきた東洋思想を知ることは、昨今の社会課題とされている“持続可能性“のある健康作りのヒントが東洋の考えの中にあるのかもしれません。

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