名前を変える

ありがたいことに仕事が立て込んでいる。

考え事をする暇がなくなり、脳はフル回転し、疲れて夜はすぐに眠れてしまう。ありがたいことだ。

そんな忙しい仕事の合間を縫って、近所の市民センターで諸々の手続きをしてきた。氏名の変更が反映された住民票を2部もらい、マイナンバーカードと自立支援医療証の氏名を変更手続きした。

やっと旧姓の住民票が取れたから不動産屋さんに身分証明として提出することができ、これで審査が進むはず。早く審査に通って住む家が確定しないと、引越しの業者も、ガスも電気も、家具も手配できなくて、そわそわする。

Amazonやニトリのマイページでは、一人暮らしになる新居へ送るようにと多くの商品がカートに入った状態で待ち構えている。契約が決まればやっとこれらをカートから次の段階へと進めることができる。

私は中途半端な状態が苦手だ。
早く早く、できるだけ早く、物事を進めたい。
仕事もそうだし、日常生活でもそう。
不確定な状態は不安だ。確固たる状態は安心だ。確固たるものなんてこの世界に存在しないのに。

そのあと自転車を漕いで警察署まで行って、運転免許証の氏名と本籍も変更した。このとき住民票は1部取られてしまった。あと2箇所の銀行で住民票を使う予定だから、1部足りないかもしれない。

本籍を地元の埼玉県に戻してしまったのは失敗だった。せめて元旦那さんの住所にしておけば神奈川県内だったのに、と考えながら、引っ越しが済んだら自分の新しい住所を本籍地にしようと思った。

今日の気温は30度。警察署のダイドーの自動販売機で美酢を買って飲んだ。

「旧姓に戻すだけで住所は変わらないんですか?」と、受付の女性に不思議がられてしまった。たしかに市民センターでも「住所は変わらないですか? 元旦那様と同居の状態ですか?」と聞かれてしまった。

人から見たら不思議なのかもしれない。

私だって不思議だ。
離婚したけれどまだ一緒に住んでいる。そして家の中は険悪な空気ではなく、むしろ以前よりカラッと明るい空気ですらある。時々私が、この先に訪れる我が子との別れを想像して泣いてしまうくらいで。

これから民間サービスでも氏名を変更して、さらに引っ越しの準備をして、
引っ越しを終えたら再び、それぞれの行政サービスや民間サービスで住所変更の手続きもあるのか……と憂鬱になりながらも、
それらも全て終えたときには、私は本当に、ついに、独り立ちのスタートラインに立てるのだろうと思う。

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