とりとめ日記(19)茹で上がりDecember

十一月某日。東京の最高気温は二十七度である。私は半袖を着て、薄手のカーディガンを片手に電車に乗りこんだ。先週は暖房がついていた車内には冷房がきいている。
辺りを見回すと、ぶかぶかセーターを着た女子高生がハンディファンを回していた。日本から春と夏は消え去り、夏と冬だけが残ってしまったのだろうか。
私の脳内で、夏の女神・筒姫と冬の女神・宇津田姫が互いの生き残りをかけてリングに登り、春の佐保姫や秋の竜田姫はのんびり涅槃をしている。人類としては四季の姫君がた四柱そろって生存して頂きたいのだが。
いずれにしろ、半袖は一年間クローゼットにかけたままになるだろう。

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