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家族と話してる?

先週やった家事シェア講座。
その感想シートが送られてきた。
子育て期のお母さん達が中心のこの講座。
その感想を読んで、泣きたくなる。

家族だから、深くふみこめずに当たり前になっていることがたくさん
夫ともよくコミュニケーションをとることが大切
今日の講義を聞いて思ったことはコミュニケーションがうまくいっていないこと
家族はまずコミュニケーションが一番大切だと感じました

多くのお母さんは、家事に、子育てに、そして介護にと、家中のケアに責任を感じて毎日必死に家の中を回している。
そして、そっちに神経が行きすぎると、家族とのコミュニケーションが減ってくる。作業優先。
家族に大変さをシェアすることもなく、黙々と作業をし、家族のために
家事をする姿を想像したら、切なくなってしまった。

以前、雑誌の子どものお手伝いの企画で、高校生の男の子にお弁当を詰める作業を自分でやってもらった。いつもはママの仕事。でも今日は息子君が。
ママは、息子君の前におかずをおくと、そそくさとキッチンに戻っていった。

あ、座って、一緒に息子さんがお弁当詰めるの見ましょうよ。
そういうと、とてもビックリしたようだった。
他の家事があるのに、なんで、息子が自分でやることに私が付き合わなくちゃならないの? そんな顔で私の方を見た。
いや、とりあえず、座って息子さんが詰めるの見ててください、と私。

息子さんはお母さんの普段の詰め方とは違う詰め方をした。
私のやり方とは違うわ とママ。
どうしてそうやって詰めたの? というと、
こうすると、ご飯とおかずがちゃんと別れるから、味が混ざらない。
その方がおいしく全部食べられると思って。と息子さん。

息子さんは、お弁当を作ってもらう立場をわきまえて、お母さんに文句をいったことはなかった。いやだというほどでもなかったのかもしれない。
でも、自分でやるならこうするな、という方法を自然と実践してみせてくれた。

じゃぁ、今後はママが作ったおかず、好きなように詰めてもいいかもね?
私がそう声をかけると
そうっすね。
と高校生。

小さなことだけれど。誰かが作業をするときに、脇にいて、黙って見守ることは、コミュニケーションの第一歩。
あら、どうしてそうしたの?
と声をかけることで、話の糸口ができる。
話をすることで、今回のように息子さんが自分でお弁当を好きなように詰めることにつながることもある。
疲れ切ったママが、疲れたとパパに相談することで、ヘルプを申し出てくれることもあるかもしれない。
常に次の作業をすることに追われている毎日。
でも、ちょっと手をとめて、家族と話してみましょう。
特に、誰かが家事をやるときは。
教えるためではなく。
脇に座ってただ、眺める。
声をかけるなら、「どうしてそうしたの?」くらい。
「あら、私よりうまいわね」もありかも。

そこから会話が始まる。
今まで、家事に追われていて見えなかった他のメンバーの気持ちが見えてくる。

家族と話をしましょう。
結婚したのも、子ども達を産んだのも、
その人の面倒を見て家事に追われるためではなかったはず。
この人と一緒にいると楽しいから一緒にいようと思ったのが原点ではないでしょうか?
赤ちゃんができたとわかったとき、一緒に笑いながら生活することをそうぞんしたのではないでしょうか?
ちょっとくらい、御世話に抜けがあったって、家事が完璧にできていなくたって、話す時間があった方がいいでしょう。
そして、笑ったり、しゃべったりしながら、家事がまわっていけば、それでいいのではないかと思うのです。

家族と話しましょう。


得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)