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文化のど真ん中

谷中に来てちょうど2ヶ月が経ちました。

友人達にも少しずつ、引っ越したらしいという話が伝わって
中には、初めて、谷中の地図チエックしてみたよ、という友達もいて。

みんな、口をそろえていうのが、よさげな店がいっぱいあるねぇ。
おいしそうで、楽しそうな町だねぇ。

でも。
でもね、今、緊急事態宣言下で、そのメリットはほんとに限定的。
っていうかゼロに等しい。しかも、一人だと、ちょっとお夕飯食べに行きましょうっていう気持ちにもならない。ラストオーダーも7時だし。

コロナがなくて、お金がたくさんあったら確かに谷根千巡りは楽しいのかもしれません。
が。
そんな状況もあってかもしれませんが、思ったより、おいしそうなお店やカフェに関心がないんだなぁ、というのがこの2ヶ月の意外な発見でした。
せっせと足を運んでいるのは不忍通りにある破格におおきな八百屋さんくらいでしょうか。

足が向くのは、今のところお店よりも、圧倒的に上野、そして谷中の墓地です。散歩していて、こんなに楽しいところはありません。公園にはいろいろな植物があってそれを見だけでも楽しいけれど、トーハクは年パスを買えば1年入り放題。それで、ちょっと庭を散歩したり、月ごとに変わる常設展を楽しんだり。

トーハクの前には大きな噴水があるのですが、今はチューリップが植えられています。これも季節でかわるんでしょうね。晴れた日はお散歩して、噴水と、チューリップ眺めながらのんびり。脇にスタバもあるので、そこでお茶することも、テークアウトして、お日様を楽しむことも。

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先週は、チューリップを眺めていたら、後ろからギターでバロックが。藝大の学生さんでしょうか。アルハンブラ、バッハのチェロ無伴奏、四季……と心地よい音楽が、生のギターで流れてきました。目の前にはチューリップと噴水。そしてさんさんと注ぐお日様。そして、雲一つない青い空。

帰りは、トーハクによって、アジアンギャラリーを眺めてきました。
これまたコロナの影響で今はしまっていますが、トーハクからちょっと谷中の方にいくと、元藝大の演奏ホールだった奏楽堂。そして、藝大のキャンパスの中には新奏楽堂があり、ともに、様々な演奏会をやっています。チェンバー好きにはたまらない、素晴らしい小ホール二つ。そして、並びに都の美術館。

正直にいうと、私は、どこに住むか、にあまり興味がありませんでした。どこにいても、食べて寝て、働いてという基本のパターンは変わらない。そう思うと、どこにいても、基本は変わらないんじゃないか。ずっとそう思ってきたのです。だから、友達が留学するといっても、子ども達が留学するといっても、そうなのね〜いきたければいってらっしゃいという感じで、それに共感したり、私もいってみたいなぁと思ったことが、一度もありませんでした。

でもね、上野に来て、初めて、文化のど真ん中に住むって楽しいなぁ、と感じています。歩いて行けるところに、世界水準の音楽や絵、彫刻や様々な展示があるって、すごく楽しいことだなぁ、と。

そして、そういう所には、もれなく、すてきな自然もついてくる、というのうれしい発見でした。上野の森というと、圧倒的に桜が有名ですが、すでに寒桜が咲いているし、藝大の前には、武蔵野の原生木を集めた植え込みが作られています。思いの外に自然も豊かな文化の中心地。ここにいる間は、できるだけ、その豊かな文化を享受できる地の利を楽しみたいと思います。

寒桜


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得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)