藝大DOOR ドキュメンタリー制作   課題映画:幕末太陽傳

1957年に封切られた白黒映画。東海道の最初の宿場町品川宿(吉原と対をなす遊郭だったそうで、戦後も57年までは赤線地帯があったという)の女郎置屋の物語。

なんといっても、俳優陣が豪華で、ビックリしてしまう。
主人公はフランキー堺
石原裕次郎、小林旭、岡田眞澄など、当時のイケメン若手
左幸子と南田洋子が女郎のツートップ
小沢昭一、山岡久乃、金子信夫
そして、何より驚いたのが、菅井きん
左幸子より4つ上の彼女は31才。なんだけど、51っていっても信じる感じ。
小津組の笠 智衆も老け役としては有名だけれど、昔は若い頃から老け役で
育っていく人っていうのがいたんだなぁ、と、思いながら、きんさんをを拝見。

石原裕次郎は、セリフ下手すぎてビックリしたけれど、日活スターだけあってかっこよく、メインな感じ。ほっそりやせた小林旭は心なしか松田翔太に似ているような……岡田眞澄はJOYににているなぁと思いながら見ていた。

テンポが今ドキでもちっとも遅いと感じさせず、展開を楽しめるあたりは
コメディを得意とした川島雄三監督の力量のなせる業。まったく違和感のない90分。

でも、何より印象的なのは、恐らくこれが全てセットで撮影されたであろうこと。海はどうやったんだろうと思うくらい遠景観あった。唯一、あぁ、セットだなと思ったのは最後の墓地のシーン。空がなんだか妙に描いた空っぽっくて、あら、セットだな、これは、と思った。が、つらつら思い返してみると、これみなほとんどセット。どれほど豪華なセットだったのか。あるいは豪華に見せる腕が大道具さんにあったのか。

本物に見えるという意味では、白黒だったこともプラスに働いているかもしれないとは思ったけれど。終戦から12年。日本はこんなに面白くてパワフルな映画を作りこむだけの力と役者さんがそろっていたんだなぁと感心させられた1本。

得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)