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終活断捨離のお手伝い

撮り鉄おじいちゃんの終活断捨離。
おじいちゃんは、長年住んだ自宅を引き払いホームに移るときに
大断捨離をした……と聞いている。
私は立ち会っていないから、実際のところは知らないけれど、
かなりいろいろなものを捨てたという。

だから、ホームのおじいちゃんの持ち物は、
かなりスッキリしている。
と思う。
引き出しなんか、何にも入っていなかったりするくらいだから。
大好きな鉄道関係のものは、本棚一つにきれいに収まっている。

けど。
見方を変えると、それは厳選して持って来たものたちで。
つまり、まぁ、おじいちゃんにしてみれば、目に入れても痛くないほど
かわいい我が子みたいなものなわけだ。
だから、自分が旅だったあと、それをゴミにされたくない、
と心から思っている。
そして、残念ながら、おじいちゃんの保証人氏は、確かにおじいちゃんが
言うとおり、不要だと思うものはなんのためらいもなく捨ててしまいそうな
人なのだ。

だから、僕が生きている間に、ノリコが寄付先を見つけてくれ
とおじいちゃんは言うんだけど……それがそう簡単でもなくて。
というのは、おじいちゃんにとって宝物でも
他の人にとって宝物かどうかはまた別問題だから。
おまけに、宝物であればあるほど、手放しにくく、
結果的に捨てられちゃう可能性が高まっちゃうという問題もある。

何度か、片づけるのを手伝えと言われて、
おじいちゃんの所には行くものの、ものの説明は続くものの、
どれを寄付していいかという話には全然ならない。
母に言われて、父と書斎の本を片づるつもりで段ボールを用意したのに、
結局父が同意した本は1冊だか2冊だか……というあの敗北感を思い出す。
あのときは、父が亡くなったら片づけようと母を説得した。
でも、今回は彼になんかあったら、もう、それっきりだ。
と思うと、そうそうのんびりもしていられない。
が。
進まない。


ので、先に引受先を探した。
アメリカ関係の大昔の時刻表の類いは、
NY州のロチェスターというところにある鉄道博物館に連絡をした。
こういうものがあるんですが……と伝えると、
送ってくれればこちらで保管しますよ、と言ってくれた。

1918年、1919年の時刻表


朗報をもっておじいちゃんの所に行く。
なかなか逡巡して進まなかったけれど、
それでも、1940年代のフィラデルフィアの写真と
時刻表、それから、列車のプロモーション用に作られたという
切符のサンプルなどは、送ってよしということになり、持ち帰る。

で、これを、アメリカに送ったのだけれど、海外に送るときは
中身とその金額をかかなければならない。
中身には、時刻表他と書いた。
その金額は? んんんん。ゼロだと変かしらと思って一つ1円、
8冊で8円と書いた。
郵便局の人に、「無料で配っていた時刻表なんです。だから元値は
ただなんですが」と言ったら、8円に納得してくれたw

一方日本のものはというと、
鉄道関係の資料を集めている知り合いの施設に聞いたところ
地図などはせいぜい1960年代まででそれ以上新しいものはねぇ……という。
切符や記念乗車券の類いはどうですか?とお伺いをたて……。
OKが出たものをおじいちゃんに伝える。
一部だけれど、おじいちゃんがじゃぁ送ろうと言ったものは、
さっさと持ち帰ってこれまたさっさと先方に送付。
おじいちゃんの住所とメールアドレスを伝え、
届いたら連絡してあげてください、と頼んだ。
私が送ったよ〜というより、
受け取った人から「ありがとうございます。大切にしますね」と
言われた方が何十倍も嬉しいに違いない。

アメリカも、担当のジムさんという人から
届いたよと連絡が来たので、
受取をおじいちゃんに送ってください、とお願いした。
カードかなんかだといいなぁ。
そうしたら、机の上にでも飾っておけるから。

生きがいの鉄道関係のものが全部なくなっちゃったら、
おじいちゃんはしぼんうじゃうだろう。
でも、一方で、引き取り先を捜すのは、手間もかかるし、時間もかかる。
パッと一気に片付くなんてことは、ないのだ。

そう思うと、手元に置いておくものは、棺桶に入れてもらいたいものを
中心に……と思った方がいいんだなぁと、最近思う。

得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)