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詩のはじまりは、神さまへのおいのりだった

タイトルの言葉は『詩のはなし』(巽聖歌) という本の中にでてくる言葉だそうです。
病院に『金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと』が置いてあり、何気なく手に取りました。そのあとがきに書かれていた言葉でした。

詩は、いのり

この言葉が、私の心にもすとんとおちてきました。

みすずの動揺は、小さいもの、力の弱いもの、無名なもの、無用なもの、この地球という星に存在する、すべてのものに対する、いのりのうただったのです。

矢崎節夫

金子みすゞさんの詩はとても優しい。一番著名な「わたしと小鳥とすずと」もそうですが、本書の一番最初に出てきた「大漁」を目にした時もそのように感じました。でも、"優しい" という言葉では何か言い表せない。何かを言い切れていない、表現し尽くすことができていないと感じながら読み進めていました。
そんな中ででてきた言葉が いのり でした。

いのりを別の言葉で言い表すとするならば、つらさ・悲しみに心を寄せることだと思います。
それは、「幸せになりますように」とか「平和になりますように」といった相手がプラスになりますようにということではなくて。ゼロもしくはマイナスの状態にいる相手の側にいること。忘れないでいること、だと感じました。

最後に、この本の中で私の心に残った詩を紹介します。「はちと神さま」です。

はちと神さま

はちはお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土べいのなかに、
土べいは町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神様のなかに。

そうして、そうして、神さまは、
小ちゃなはちのなかに。

金子みすゞ童謡集 わたしと小鳥とすずと


ちいちゃなものに心を寄せる、祈りの詩。

今、わたしと息子は病院という狭くて限られた世界にいるけれど、神様と繋がっているのかな。
そう思うと心が広がっていく感じがしました。

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