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ものがたりのはじまり

押し入れをあさってたら、こんなものが出てきた。

誤字だらけ、おまけに字も汚くて恥ずかしい。

これは、間違いなく、私が書いた文章だ。
ご丁寧にファイルには年が記録されていて、9歳から12歳あたりに書かれたものみたいだ。

お察しの方はいないと思われるが、これは、現在カクヨムおよびNOVEL DAYSで私が連載している長編小説シリーズの元となった話だ。

【世界異次元旅行記シリーズ】
カクヨム→

NOVEL DAYS→


現在では『無番汽車』と称されてる汽車は、構想当時は『夢汽車』という名前だった。

この話の秘話は不思議なほど覚えてる。
元を辿れば、すべては私の夢に出てきた映像がきっかけだったのだ。

最初に出てきたのは、暖炉の前に座る、ひとりの男の映像だった。
ボサボサの黒髪、おおきな眼鏡をかけてて出っ歯で、ひとりがけの皮のソファに座る、ひょろりとした男の人。

たまたま夢に出てきた人。
私はなぜだか忘れられなくて、イラストに描いて残してる。(残してたはずだけど、今探したら見つからなかった)

で、その男が乗る汽車は、また違う夢で出てきた。
どんな用事でかは忘れたけれど、電車に乗ってて、つい眠ってしまった。
その時に、汽車を見たのだ。
宙に浮いた線路。下を除けば、どこまでも広がる青い海。線路の上から、滝のように、透明な水が海に流れ落ちていた。
みなが寝静まる、静かな汽車の中。私だけが起きて、その光景を俯瞰している。

当時は「きさらぎ駅」という都市伝説が、2ちゃんねるのオカルト掲示板で流行ってた。
私も「きさらぎ駅」に魅せられたひとりであったし、その夢を見た当時の私も、好きすぎてあてられたのだろうと考えていた。

でも、夢に見た光景を忘れられなかった。

そしていつしか、昔見た「暖炉の男」が、「天空の汽車」のオーナーなのではないか、と考えるようになった。

最初の画像にある文章を残したのは、ちょうどその時だ。
書こうとして、なぜか書かなかった物語。

それから10年近くが経った頃、ふと、それを書いてみようと思い立った。

なぜかは分からない。
何かに導かれるかのように、あのノートを開いてた。『夢汽車』。今なら書けるかもしれないと。

そして私は書いてる。

現在3作目に取り掛かっているが、公開しているだけでも約40万字は書いてる。
アホみたいな文字数だ。なにかに取り憑かれてるとしか思えない。

当時の設定では、登場人物はふたりだけ。
汽車のオーナーとリバーという少年。

しかし現在では、メインキャラクターだけでも15人という大所帯になった。
汽車のオーナーも暖炉の前から部屋の隅に移動し、少年リバーはリクという少女に変わった。

私の考えた、場所、キャラクター、その性格、関係性、だったはずなのに、どういうわけか彼らは、作者である私の意に反した行動をとり続ける。

勝手なやつら。
いつでもお祭り騒ぎだし、すぐ喧嘩するし、私と違ってめちゃくちゃ明るい、引き摺らなくて、さっぱりしてる。そしてとってもわがままで生意気。

でも彼らを見てると楽しい。
私が考えもしなかった事柄まで真剣に考えてたり、私がしないような配慮を持ってたり、勇気を持ってたり、むしろ、作った私が学ぶことのが多い。

面白いやつらだ。

9歳の夢からはじまった、彼らの物語。
これからも、ずっとずっと続いてゆくんだろうなぁ、って、熱にうなされながら考えてたり。(風邪なう)

マイナーもいいところだし、誰も興味ないだろうけど、自分の可愛い作品のことを語れてよかった。

ここまで読んでくれた人がいるなら、ありがとうございました。

40万字あるけどぜひ、本編も読んでってください。

では。

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