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作曲に慣れた人がより上を目指すためにやるべきこと

私は16歳から現在まで長らく作曲を続けていますが、作曲に慣れた頃に一度だけ伸び悩みを経験しています。

結果としてその状態は打開することができたのですが、そこではいろいろな試行錯誤がありました。

こちらのページでは当時の私と同じような悩みを抱えている方にむけて、

「作曲に慣れた人がより上を目指すためにやるべきこと」

と題していくつか解説をしてみます。


私がやったことの概要

冒頭で述べた伸び悩み中の私が、その壁を乗り越えるためにやったことは以下の5つです。

  1. 音楽理論を基礎からしっかりと学んだ

  2. 作曲法を体系的に身につけた

  3. 上記を踏まえた曲分析を習慣にした

  4. 音楽をそれまで以上に幅広く聴くようにした

  5. 1~4を土台として曲作りを継続させた

これらは、私が提唱している「作曲の上達に欠かせない5つの柱」と同じものです。

▼ 関連ページ

上記ページでは「初心者が独学で作曲を上達させるために必要なこと」という前提で解説を行っていますが、私は当時何年も(何曲も)作曲を経験している状態で改めてこれらに取り組み、結果として伸び悩みを打開することができました。

現在同じような状況にあるひとも、これらに取り組むことでおのずと悩みは解消されていくはずです。

これ以降で、それぞれについて私の経験も踏まえつつ詳しく解説していきます。

1. 音楽理論を基礎からしっかりと学ぶ

作曲に慣れた人がより上を目指すためにまず取り組むべきは、「音楽理論の習得」です。

【補足】既に音楽理論が身に付いている方は、この項目を読み飛ばして下さい。

そもそも当時の私は完全なる独学で作曲を始めており、コードやスケールを含む理論的な知識をほとんど持たず、感覚的に作曲を行っていました。

作曲に慣れた方の中にも、その頃の私と同じように「なんとなく、見よう見まねで作曲を始めてここまで何年も続けることができた」という人はきっと多いはずです。

「行き当たりばったり」を改善させる

では、なぜ音楽理論を学ぶことがそんなに大切かといえば、それは

行き当たりばったりの作業が減り、筋道を立てて作曲を行えるようになるから

という点に尽きます。

「理論」というとものすごく堅苦しいものに感じられてしまいますが、つまるところそれらは「既存の曲における成功事例を体系的にまとめたもの」であり、簡単にいえば「曲作りの取扱説明書」のようなものです。

この部分を、もう既に何曲も作っている状態において改めて学ぶことで、主にコード進行やメロディの扱い方をいちから捉え直すことができます。

結果として、作業がその「取扱説明書」に沿ったものになり、上記で述べた通り筋道を立てて作曲を進めていけるようになるのです。

【補足】この「理論=取扱説明書」は、時としてあえて無視することもできるものです。「理論を知らず適当にやる」のと「知っていながらあえて無視する」のとでは意味するところが大きく異なります。

感覚を理論で整理する

また作曲に慣れた人に音楽理論の習得をおすすめするもうひとつの理由は、「感覚的にやっていることが理論によって整理されるから」です。

多くの作曲経験者は

  • なんとなくこんなコード進行が気持ちいい

  • このコードにはなんとなくこんなメロディが合う

という観点で感覚的に作曲を行っているものですが、それらのほとんどは理論によってなんらかの解釈ができます。

経験によって捉えているそれらの情報を、改めて音楽理論として整理することで、

「ああ、この部分はそういう理論によって成り立っていたんだ」

という観点から、体系づけられた知識に置き換えてきちんと自分のなかに定着させることができるようになるのです。

【補足】個人的には、「音楽理論」のような少し込み入った知識は既に何曲か作った時点でこそ学ぶ価値があるもの、と考えています。

この「音楽理論の学習」については、以下のページにて学ぶべき範囲や順番などを含めより詳しく解説しています。

2. 作曲法を体系的に身につける

次にやるべきこととして挙げたのが「作曲法を身につけること」ですが、これも上記で述べた音楽理論の習得と同じく、感覚的な作曲を筋道を立てて行う作曲に変えるためのものです。

作曲法=良い曲にするための方法

上記で述べた音楽理論が主にコードやスケールに関する知識を指していたのに対し、この「作曲法」とはそれ以外にあたる、作曲の根本的な進め方や手法を整理したものだといえます。

▼ 関連ページ

「作曲法」として、具体的に挙げられるのは以下のような内容です。

  • 作曲進め方、順番

  • Aメロ、Bメロ等ブロックのつなげ方、組み立て方

  • 効果的な曲展開の方法

  • サビを目立たせるための手法

  • 音域に関するルール

  • 曲調に実現するためのコツ

これらは平たくいえば「良い曲にするための方法」のようなもので、これらを音楽理論と同じく体系づけることで、きちんとした裏付けをもとに作曲を進めていくことができるようになります。

音楽理論以上に重要な概念

多くの作曲経験者にとって、音楽理論以上にこの「作曲法」に対する意識は薄いものです。

上記で挙げたような内容のほとんどは経験や感覚によって身についており、それらをきちんと「取扱説明書」のように整理して捉えている人はほとんどいないはずです。

反面で、メロディやコードの扱い方以上に、

  • 作曲をどう進めるべきか?

  • 曲をどのように展開させるのが効果的か?

などの概念は継続して曲を生み出すためにとても重要で、それらをきちんと整理しておくほど作業は早く、またより少ない労力で常に水準以上の品質を持った曲を生み出せるようになります。

つまり音楽理論と同じように、作曲法を知ることによって作曲の進め方や曲構成の面においても行き当たりばったりの作業が減る、ということです。

3. 「音楽理論や作曲法を踏まえた曲分析」を習慣にする

上記で述べた

  • 音楽理論

  • 作曲法

の二点を知識として身につけたうえで、それをより実用的なものにできるのがここで挙げている「曲分析」への取り組みです。

理論的/作曲法的な観点からの分析

「曲分析」は、作曲の上達を目指すうえで私が最も重要だと考えている行為です。

そもそも、多くの作曲経験者は既に自分なりの方法で既存の曲を読み解き、分析の視点でそれらに接しているはずです。

ここではそこに「音楽理論」と「作曲法」の観点を取り入れ、その実例を確認するような感覚で曲分析に取り組むことを目的とします。

【補足】ただ漫然と曲に向かい合うのではなく、身につけた音楽理論や作曲法の知識が実際の曲の中でどう使われているか?という考えを持って曲を紐解くようにする、ということです。

知識を実用的な手法にする

そもそも音楽理論も作曲法も実例をまとめたものにすぎず、それらを実用的な手法にするためには、整理されたその情報をただ知るだけではなく「使われ方」を確認することが必要となります。

この点について、詳しくは以下のページにて解説しています。

4. 音楽をそれまで以上に幅広く聴く

作曲の伸び悩みを解決するうえで、曲分析に関連するものとして「音楽を幅広く聴くこと」ももちろん大切です。

聴いてこなかった曲に触れる

これは、純粋に

インプットの量を増やすことによってアウトプット(作る曲)の質を高める

というところにつながるものです。

音楽を円滑に作れる人は一般的なリスナー以上に多くの曲を聴き込んでいるはずですが、ここではその幅をさらに広げ、それまでに自分が聴いてこなかったような曲に触れることを目的とします。

また、そのインプットを曲分析へとつなげることもできます。

5. 1~4を土台として曲作りを継続さる

伸び悩みを打開する方法の最後のひとつが、「曲作りの継続」です。

つまるところすべてはこの部分に集約されるのですが、結局のところ作曲を継続させることができるか否かがその壁を越えられるかどうかにかかっている、といっても過言ではないです。

すべての取り組みを土台とした曲作り

ポイントとなるのは、これまでに挙げた

  • 音楽理論

  • 作曲法

  • 曲分析

  • 曲を幅広く聴く

をすべて曲作りに集約させるということで、ただなんとなく曲作りを続けるのではなく、学んだ知識を活用したり曲分析によって得た教訓をもとに作曲を行うと、それまでになかった新たな曲調やより高度な技術を曲に盛り込むことができるようになっていきます。

その頃にはもう「作曲に慣れた状態」というようなレベルからステップアップし、自分でも気づかないうちにかなりハイレベルな作曲に取り組めるようになっているはずです。

まとめ:「上達のサイクルを回す」ということ

ここまでに述べた5つの取り組みは、一度やって終わりということではなくサイクルを回すように継続して取り組むものです。

また、既に述べているように各項目は別々に存在するものではなく、相乗効果を意識しつつ以下のようにそれぞれを掛け合わせて実践すべきです。

  • 音楽理論や作曲法を習得する→それを曲分析で確認する

  • 曲を聴く→聴いた曲の構成を理論的に解釈してみる

  • 曲を分析する→分析で得たものを活用して作曲をする

これらを通して、作曲上達に必要な取り組みがわかれば、あとはそれをひたすら追求するのみです。それによって伸び悩みの時期を抜けて、さらに柔軟に作曲を扱えるようになっていくはずです。

曲作りの経験があり、さらにある程度のことが感覚的に理解できている状態だからこそやれることがあります。是非前向きな気持ちで、さらに上を目指してほしいです。

(終)


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