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#49 聴き手はわかりやすい音楽を求めている

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです

音楽には本当にいろいろな種類があり、サウンドがあり、単に「音楽を作る/表現する」というだけでも、ものすごくいろいろなやり方が想定できます。

そのうえで、音楽活動で成果をあげている人=聴き手からきちんとポジティブなコメントをもらっていたりファンがたくさんいるようなミュージシャンは、表現している音楽がやっぱり「わかりやすい」という要素を持っています。

つまり、「結局のところわかりやすい音楽が聴き手に伝わる」ということです。

もちろん、アーティストとしての個性や音楽性はあっていいです。ちょっと考えさせられるものとか、1回聴いただけだとよくわからないけど聴くほどにその良さがわかるものとか、少し触れづらいような神秘的なものなど。

特に芸術の分野では、そういう「少し難解な雰囲気を持つもの」ほど芸術性が高いと考えられていて、それゆえに音楽でも必要以上に難解さを求めたり、あえて少しわかりづらくしたり、そういうところを前に押し出そうとしがちです。

もちろんその気持ちはわかります。アーティスト性としてそういう打ち出し方もあって良いと思います。

でも現実的な問題として、多くの聴き手はやっぱりその難解なものよりも、結局のところわかりやすいものを求めています。

当然、一部には「難解なものほど良い」という人もいますが、割合としては、わかりやすいものを求める聴き手がほとんどです。

特に、ポップス・ロックなどのポピュラーミュージックの領域ではなおさらわかりやすいものがより浸透しやすいし、たくさんの人から共感を得やすいです。

だからそれを踏まえると、もちろんアーティスト性やそういう見せ方もあって良いですが、数ある曲の中でも、ひとつかふたつかみっつくらいは、わかりやすいものを用意しておけると望ましいです。そして、それを定期的に聴き手に届けられると良いです。

また、そのあたりにそこまでこだわりがなく、表現する側としてもわかりやすいものが好きで、なるべく伝わりやすい音楽を表現していきたいという場合には、ぜひ音楽性やアーティスト性全体をわかりやすいものとして作り込んで下さい。

具体的には、メロディラインがすんなりわかってすんなり歌えるとか、コードの移り変わりがある程度標準的で理解しやすいとか、リズムもへんなひねりがなくてそのまますんなり乗れるとか。

また、曲構成も聴いていてよくわからないところに迷い込むんじゃなくて、耳で聴いてすぐにその全体像がつかめるとか、サウンドがいわゆる一般的な音色で聴きやすいとか、そういうことです。

わかりやすい音楽はそれだけでとっつきやすく、とっつきやすい分すんなりと「良い曲ですね」というコメントをもらいやすいです。

みんながすんなり反応してくれる、だから共感を得ることの難易度が下がるし、それによって発信者としての満足度も得やすくなります。

わかりやすい曲には、「作りがシンプルになりすぎて面白みがなくなる」という危険性もあります。だから、その辺も考慮しつつ、例えば「曲全体の方向としてはわかりやすいけれど、一部に少しひねりがある」というように、バランスを取れるとより望ましいです。

もちろん、完全にそちら側に振り切って、わかりやすさ満載でいくのも良いです。

ジブリの音楽で有名な作曲家の久石譲さんのエピソードがそれに近いものがあって、最近うちの息子が「トトロ」にハマっていて何回も見たりしていますが、曲がすごく親しみやすくてわかりやすい。基本的にはシンプルです。

その久石譲さんの本で読んだエピソードですが、久石譲さんは、キャリアの初期はミニマルミュージック(=音を反復させてあまり起伏を感じさせない、いわゆるちょっと難解な音楽)をやっていたそうです。

そのミニマルミュージックの方面を結構追求していたけど、あるとき、なにかのきっかけでその方向をやめて、「もっと親しみやすい曲を作る作曲家になろう」と決めたそうです。

「町の作曲家」か「近所の作曲家」だったか、ちょっとその表現を忘れましたが、自分自身をそういう作曲家として捉えよう、と。

そして、そこからわかりやすいものを積極的に取り入れるようになっていき、結果として認知も広がり、評価も得られるようになった、という話があります。

難解なものってやっぱりなんとなくカッコイイし、芸術っぽい感じがするのでやりたくなる気持ちもわかりますが、やっぱり聴くのは一般の聴き手で、その一般的な聴き手は結局のところわかりやすいものを求めている、という実情があります。

自分の音楽活動に共感してもらうためには、聴き手のことを考慮することが欠かせません。需要を考慮して、自分の活動のコンセプトとのバランスを取るべきです。

だからこそ、「わかりやすいものが好まれる」というデータは、無視できません。

そういう意味で、自分の音楽性全体に、あるいは音楽性を少し難解にしたい場合にもその一部に「わかりやすい音楽/わかりやすい曲/わかりやすい表現」を取り入れられると望ましいです。

聴き手からの共感を得るために、ぜひお話しした内容を参考にしてみてください。


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