「こんな曲にするはずじゃなかった」を回避する方法
作曲に慣れていない頃によくあるのが、
というケースです。
この点について原因や回避策を書いてみます。
曲調と要素の紐づけ
私自身も作曲を始めたばかりの頃、自分が好きな曲に影響を受けて
と思い立って曲作りに取り掛かったものの、作っているうちにどんどん違う方向にそれていって、完成形が当初の予定からものすごくずれてしまった、というようなケースを何度も経験しています。
この「イメージしていたものと全然違う曲になってしまう」の原因は、ひとえに、
という点にあります。
これは具体的にいえば、例えばある特定の「オシャレで明るい曲」に影響を受けてそんな感じの曲を作りたいと考えているとして、その「オシャレで明るい」という雰囲気が生み出されている理由にあたる(=その曲調や雰囲気を形作っている)細かい曲の要素を把握できていない、ということを意味します。
曲調はあくまで主観的
「オシャレで明るい」といってもそこにはいろいろなパターンがあり、その曖昧な「オシャレ」「明るい」のような定義だとそれを再現するところまでは行けないものです。
それを作るためには、自分が感じている印象が具体的にどんな要素によってどう生み出されているかをまず明らかにする必要があって、例えばその「オシャレな雰囲気」は
ということもあるし、または、
ということもあります。
さらには、例えば「明るい」という雰囲気は、
曲に使われている各種楽器の音色の輪郭がはっきりしていてきちんとその音像を把握できる
ノイズ成分が少なくてすっきりとクリアなサウンドだけが扱われている
など、サウンド面の理由も考えられます。
ここで述べているようなかたちで、その「オシャレで明るい」という主観的な印象と、その印象につながる曲の要素を紐づけることさえできれば、あとはそれをもとに作曲をすれば自分の主観として「オシャレで明るい」と感じていたその曲調を再現できるようになります。
「この曲調の理由は?」を考える
この
を磨くためには、いろいろな曲を聴いて、「その曲がなぜそういう風に聴こえるか?」を自分なりに考えるのがおすすめです。
なにげなく曲を聴いていてある特定の雰囲気を感じたら、
とすぐ考えるようにします。より細かくいえば、
メロディ
ハーモニー
リズム
曲の展開
サウンド
などに着目することができますが、それをいろいろな曲、曲調、雰囲気を対象にやっていくと、その曲数の分だけ「曲調と要素の紐づけ」が自分の中に溜まっていくことになります。
そこから、例えば実際の曲作りの中で「明るい曲にしたい」「さわやかな雰囲気の曲にしたい」というように考えたとき、それを満たすために
メロディを伸びやかな音使いにしてみよう
セブンスとか3度の音をメロディに強めに盛り込んでみよう
コードにこのセブンスのファンタジーな響きをつかってみよう
というような判断ができるようになります。
そこからさらに理解が深まると、もっと曖昧で「なんとなくこんな感じ…」というような事前イメージでも、無理なく理想とする曲調を生み出せるようになっていきます。
それを実現する技術が必要
より突っ込んだところをいうと、実際のところ「曲調を生み出す要素」が把握できたとしても、それを実現するためにはその要素を表現したり曲としてまとめあげるだけの技術が必要になります。
例えば「オシャレなコードが必要」とわかっていても、そのオシャレなコードを実際に使えないと曲にならないし、「こんな感じの要素を持つメロディにすべき」とわかっていたとしても、それを自分でもすらすら生み出せるかどうかはまた別の問題だといえます。
それを踏まえると、理想とする曲調を自分でも生み出すためには、やはり技術的な面はどうしても問われることになります。
徐々に感覚を磨いていく
ここまでを踏まえると、目的とする曲の雰囲気をすんなり自分でも生すためにはそれなりのレベルが求められ、作曲に慣れていない頃にこちらでテーマとしている「イメージしていたものと全然違う曲になってしまう」というパターンを経験してしまうのはある意味で当然だといえます。
繰り返しになりますが、イメージした通りの曲を作るためには、
そのイメージを生み出す要素がどんなものかを理解できている
その要素を自分でも再現できるだけの技術が身についている
という二点が求められます。
まずはそこまで複雑な曲調ではない、シンプルな曲を題材としながら上記で述べた「曲調を意識した聴き方」を始めて、それを繰り返していくことで徐々にイメージした通りの曲を作れる感覚と技術が身についていくはずなので、ぜひ気長にやってみて欲しいです。
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