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音楽理論は暗記しなくていい

音楽活動している人たちにとって、「音楽理論を学ぶべきか?」という話題は永遠のテーマともいえるものです。

私個人としてはもちろん音楽理論の必要性を理解しているため、円滑に作曲を進めるうえでは(適切なタイミングと順序で)音楽理論を学ぶべきだと考えています。

その一方で私は、

音楽理論は暗記しなくていい

という考えも持っています。

こちらで、そのあたりについて詳しく述べてみます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


作ることが一番の目的

そもそも、「音楽理論」とは音楽の成り立ちを体系的に表した「音楽の取扱説明書」のようなもので、

  • 普通は〇〇になる

  • 〇〇するとXXになる

というような、音楽ならではの一般的なルールを詳しくまとめた情報だといえます。

そのため、音楽理論をある程度頭に入れると筋道を立てて音楽を作れるようになり、そこから、

  • 作曲のスピードが速くなる

  • 常に一定の力で常に水準以上の品質を持つ曲が作れるようになる

などの効果を得ることができます。

音楽理論は自然と覚えてしまうもの

上記を前提として、その効果をきちんと、かつたくさん得ようとするあまり音楽理論の勉強に多くの時間を使ってしまい、こちらのページでテーマとしているような「音楽理論を暗記しようとする人」をたまに見かけます。

私の個人的な考えでは、これは努力の方向を誤っている例だと感じます。

というのも、

「音楽理論は作曲をしていくなかである程度意識していれば自然と身についてしまうもの」

だからです。

「暗記しよう」と頑張るよりも、「やってるうちに自然と覚えるから」という考えをもとに曲作りに多くの時間を使う方が、作曲の経験が積めて、また作品も増えていくためより健全だといえます。

これは、簡単にいえば、

  • 音楽理論を学ぶ目的(作曲)を忘れない

  • 学習自体が目的になってしまう状態を避ける

ということを意味しています。

重要な理論はよく使う

重要な音楽理論は、作曲において必然的によく活用されます。単に作曲活動をしているだけでもその理論的な内容をたくさん目にしたり、自分で考えたりすることが増えるため、自然と身についていくものです。

そのため、まずは音楽理論の情報に軽く目を通して、概要だけを理解したうえで実際に作曲をやってみるべきです。

【メモ】その経験によって、よく登場する理論的な概念や「どの部分を特に学ぶべきか」という点が見えてきます。それらをもとに改めてそれまでよりも少しだけ深く理論を学ぶようにしてみて下さい。

その都度思い返すことが大切

そのうえで、とはいえやはり「覚える」という意識が少しでもないと頭には入ってはいかないため、理論的な内容について自分なりに考えながら作曲を進める姿勢は必要です。

具体的には、

自分なりの理論的な解釈で「次のコードにこれが合うかな」と演奏してみる
→不自然な響きが生まれたら理論書を確認して答え合わせをする

自分なりに理論的な筋道を立ててフレーズを作ってみる
→理論書によってフレーズの構造を改めて確認する

などのやり方によって、学習した理論の内容を実際の作曲に活用しながら、自分なりの理論的な観点によってメロディやコードを組み立てていくようにすると「作る」と「覚える」を効率よく掛け合わせていくことができるはずです。

音楽理論は何から覚えるべきか

ここまでに述べた内容を踏まえたうえで、「音楽理論はどんな内容から覚えていくべきか」という疑問を持つはずですが、この点については、以下のページにて「(ポップス・ロックの作曲を前提として)学ぶべき音楽理論の項目とその順番」をまとめています。

詳しい解説は上記ページに譲りますが、特にポップスやロックなどの「歌のある曲」を作るうえでは、

  • キー(およびそれを形成するメジャースケール)

  • ダイアトニックコード

についてまず知るべきです。

中でも、「ダイアトニックコード」はその構造とすべてのキーにおけるコードのメンバーを真っ先に理解したいところです。

さらには、特にギターやピアノでコードを演奏しやすいキーほど活用する機会が多いため、それらを優先して把握すべきだといえます。

具体的には、

  • Cメジャー

  • Gメジャー

  • Dメジャー

  • Aメジャー

  • Eメジャー

  • Fメジャー

あたりを先に身につけることを目指してみて下さい。

なぜダイアトニックコードを知るべきか

数ある理論的な内容の中でなぜ「ダイアトニックコード」を知るべきかといわれれば、それがいろいろな概念にそのまま活用できるものだからです。

根本的に、ダイアトニックコードはスケールをそのままコードに置き換えたものであるため、例えば「Cメジャーダイアトニックコード」に相当する

C、Dm、Em、F、G、Am、Bm-5

という七つのコードの大文字アルファベットをそのまま読むことで、

C、D、E、F、G、A、B
=ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ

という「Cメジャースケール」の7音を導くことができます。

つまりこれは、「ダイアトニックコードを知れば、そのキーのスケールについてもあわせて知ることができる」ということで、そこからそのキーを成り立たせるスケールの音使いがわかり、それによってキーに準拠したメロディを効率よく組み立てていけるようになるのです。

またダイアトニックコードはコード進行の主軸のような存在となるため、安定したコード進行を作るために欠かすことができません。

さらには各コード同士の関係を知ることも、コード進行による響きの変化を効果的に生み出すために重要です。

【メモ】メジャースケール自体が「長音階」と呼ばれ、それぞれの音同士の関係が簡潔に成り立っていたり、メジャースケールをもとにしてもうひとつの「マイナースケール=マイナーキー」を導き出したりすることもできます。

メロディやコードを組み立てるうえで知っておくと便利な情報がこの「ダイアトニックコード」に詰まっているため、まずは作曲や弾き語りなどによって実際に活用しながら、かつその都度自分なりに考えてみながら、記憶に定着させることから始めてみてください。

ページ冒頭でも述べた通り、音楽理論を学ぶ先に「作曲する」という本来の目的があります。

その目的を忘れず、作りながら理論を身につけ、それをさらなる作曲の効率化や質の向上につなげてみて欲しいです。

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