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小学校の先生、教職大学院に行く⑩~働き方改革ってなんなのさ~

私が学生だった頃には生まれていなかった言葉の一つに「働き方改革」というものがあります。
厚生労働省によると、働き方改革とは

「働き方改革」は、働く方々が個々の事情に応じた

多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。

厚生労働省 働き方改革特設サイト

つまるところ、みんな違ってみんないい、金子みすゞ的労働を進めましょうということですね。それにしても金子みすゞは大正時代からこの思想があったので、私たちは2時代遅れでようやくその考えにたどり着いたってことですかね。

今大学院の授業の中でも働き方改革については様々な視点で講義に取り入れられています。喫緊の教育課題とも言えます。その中で私が感じる働き方改革の問題と私なりの働き方改革の捉え方を考えてみました。
(※私なりの見解です。誤植等があるかもしれませんのでご留意ください)

働き方改革で問われているもの

文部科学省が提言していることは大きく分けて2つ
①教師をとりまく環境整備
②質の高い教師の確保

①の教師を取り巻く環境整備、つまり、「教師は何をする人なのか」を明確にしましょうということです。教師は教育をつかさどる。そのために本来の業務(授業の改善や教材研究、学校行事の運営、生徒指導)に注力をするためにどうするのかを問われていると考えます。結局のところ、学校現場に余裕がないから、様々な局面で支障をきたす。ただそれだけのことです。ですが、学校教育が長く続けてきた歴史とそれが社会認識として基盤になっているため、今更変えられない、変えようとすると様々ところに支障をきたす。これが学校における働き方改革が進まない要因の一つと考えます。

そうなると当然②も難しくなる。現場に余裕がない。学級崩壊、教師の離職率や心身を壊してしまう人、その状況を目の当たりにして、「よし!教師をめざそう!」と考える人はいないはずです。
最近、大学3年生にも教員採用試験の前倒しをさせたり、教職希望の学生にボランティアと称して、ただ働きさせる動きも見えてきます。(そこじゃないんだよ、ほんと)

もちろんこれらすべてのことを解決する方法はたった一つです。
そうお金です。予算をつけてくれればすべて解決なんです。
人員を増やすために、予算を付ける。設備改修(体育館にエアコンつけるとか、トイレを改修するとか)すれば解決できる問題も多くあるんです。

まあ正直その話をすると、決まってどの省だって予算を付けてほしいと言いますよね。結局きれいなこと言っても、教育にお金を付けてくれない。つけられない事情がある。だからいつまでたっても抜本的な働き方改革が進まないといいうことはできます。

国のいいなりで終わってはいけない

とはいえ、私は思うのです。国のいいなりになったり、無意味に悲観的なったりする必要はないと。
働き方改革の根本は、多様な働き方を認め、選択できることなんです。
これはいちいち国に許可を取らなければいけないことしかないのかというとそうではありません。個人→学年(小集団)→学校→地域や自治体→県→国と様々な段階における働き方改革のうち、個人レベルの働き方をまずは見直していくことが必要になると感じます。
こういうことを言うと決まって、「個人でやったって、変わらないじゃないか!」みたいな批判があるのですが、「私の人生の舵は誰が取るのか」と私は問いたいです。自分が心地よいと思う働き方の尺度は人それぞれ。
ここは時間をかけてでもやる価値がある、ここは最小限でいい。
そうやって見定める働き方をしていかなければいけない時代が来ています。
子どもに主体性を求めるなら教師も、といったところでしょうか。

働き方改革は楽をするものではない

誤解のないように言いますが、楽をしていいとは思っていません。
忙しくしたくないから、行事を減らす。
評価に時間をかけたくないから所見はテンプレにする。
そういうことではないと思うのです。
あくまで子どもファーストです。
子どもの集中力を最大限に発揮するために運動会の時間を短くする。体育の延長で行う練習量にする。
誰にでも当てはまる言葉ではなく、あなたの子どもの学習の姿を表現するために書面ではなく面談にする。
教師がしなくていいもの(教師でなくでもいいもの)はどんどん削る。
より子どもに還元される形に修正していった結果、その見返りが結果として教師にも返ってくる。これが理想の働き方改革です。

教師が教師として、最高のパフォーマンスを発揮できる時間と心の余裕を生み出す。捻出された時間を自分磨き(教材研究)や家族のために使ってもいい。
なぜなら、私たち、プロ集団なんですよ。
(これ冗談ではなく、教員は専門職って言われているんです。だから教職大学院は普通の大学院ではなく、専門職大学院と言われています。ロースクールと同じです。ね、納得でしょ?)

時間に余白ができる→心のゆとりが生まれる→教師自身が穏やかになる→子どもにもそのゆとりが広がる→笑顔で下校できる→保護者も安心し、クレームが減る→放課後対応がなくなる→教師の家庭も円満→週明けも笑顔に

さきやま調べ

具体的な働き方改革案

取り急ぎできそうなところを。4,5はちょっとハードモード

1.勤務時間開始後に子どもを迎え入れる
これそもそもがおかしい話なのですが、この辺りからメスを入れましょう。いきなり無理ならせめて昇降口の開錠を8時。

2.業前の活動を全部カットor読書
登校時間を遅らせるのでこれがいいです。落ち着いて授業が始められます。

3.月1回午前授業
コロナであれだけ、休校になったのに時数足りないがなかったのです。できます。そもそも今、余分に授業やり過ぎなのです。

4.登下校指導はボランティアではなく、人を雇う
善意に頼るからひずみがでる。なら人を雇う。1日2時間(登下校込み)日当2000円。絶対やってくれる地域の人いるはずです。

5.プール清掃、ワックスがけの外部委託
マジでこれ、外部でいいです。教員でなくてもいい典型的な仕事です。業者がやる方がいいです。市役所に清掃員雇う予算つけるなら、これくらい予算つけてくれ…

ざっくりこんな感じです。さすがに一気に改革はできないと思います。
でもやろうと思えばできることがまだまだたくさんあるはず。
世の中の先生たちが働きやすい環境にしていくために
本当にその仕事が生産性があるのか、子どものためになっているのか
考え直さないといけない時期にさしかかっているなと思ったのでした。