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つきあたりのウミ

少年はひたすら走り続けた
この道のずっと先にある未来へ
果てしなく広がる大地の向こう
突き当たりの海が見える場所まで
そこに何が待っているのか
それを知る人など
誰もいないのだから

走り続ける少年は
ふと足を止める
道端に咲いてた花に
目を奪われてしまったから
それを運命と呼ぶのか
単なる気まぐれと言うのか
誰にも分からない事だから

花を愛した少年は
いつしか恋する青年になり
その花を守り育てる事に
自らの生まれた意味を見い出す
小さな恋はやがて大きな愛に変化し
かつての少年は大人に変わる
けれど花の命は儚いもの

日に日に枯れていく花を
彼は胸に抱き続けた
もしも魔法が使えたら
その命を永遠に留めたいと
神に祈りを捧げては
頬に流れるその涙のひと雫が
その花に潤いを与えた

彼は少年に戻った
花は永遠の命を得て
少年の心に宿った
再び少年は走り始めた
月辺りの海に向かって
遠い日の消せない夢と憧れを抱えて
愛する花を胸に走り続ける

いつまでも
いつまでも

  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


連載小説『月灯りのミウ』をお読みくださいました皆様。ありがとうございました。
おかげさまを持ちまして、連載を無事に終了致しまして、たくさんのスキを頂けた事、とても有り難く感謝致します。
連載1週目から最終週まで嬉しいお知らせを頂いておりましたので、こちらでまとめてご報告させて頂きます。
これを励みにまた新たなる作品創りの糧にしたいと思います。
ありがとうございました😊

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