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魔女、好きですか?

「魔女」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろうか。
魔法使い?使い魔の黒猫?空飛ぶほうき?
深い森に住んでいる、ぐつぐつ煮えるなんかやばそうな鍋をかき混ぜる気味の悪い婆さんとか?
現代の創作では、魔女についての悪いイメージはすっかり払拭されてるのかな。


実は私の母も魔女である。というか、よくよく目を凝らして見てみれば、今のこの世でも魔女はそこらじゅうにいる。
でも、現実に生きている魔女は、どうやら前述したようなファンタジックなことはしないみたいだ。
みなさん読んだことあるかな、「西の魔女が死んだ」。魔女の娘でありながら私、今年に入って大学の先輩に勧められるまで一度も読んだことがなかったんだけど。どえらい名作です。すごく読みやすくて、ほっこりするいいお話。これを既に読んでいるあなたはこの先、話が入ってきやすいと思う。

現実の魔女をわかりやすく定義するなら、「科学的な事物に頼らず生活を豊かにする知恵を豊かに持っている人」だ。
植物、特にハーブ、アロマに詳しかったり、マッサージやヨガ、薬膳などで、自然治癒力を最大限に引き出す方法を心得ていたり。自力で心身を整えることに長けていることが多い。
他にも、占いが得意で、人を導くことに長けている魔女や、私には理解が及ばない存在と意思疎通が可能な魔女。ここまでスピリチュアルだといよいよ魔女感がすごい。
母の周囲の女たちは大抵これらの特徴を踏まえている。言うなれば魔女ネットワーク。
私が病気をしたことが母から魔女たちに知れ渡るや否や、そこらじゅうの魔女から様々な手が差し伸べられた。「ピクニックにおいで」と木漏れ日が綺麗な広い庭を丸ごと貸し出してくれたり。マッサージをしてくれたり。ヒーリングストーンをプレゼントしてくれたり。吉方を占ってくれたり。母にはしこたま絵を描かされた。
母含め多くの魔女が私のために動いてくれたことが大変嬉しかったのだけど、残念ながらこれらのことが全て病気の快復に直接繋がったとはちょっと言いにくい。私みたいな精神病患者に刺激を与えるのは逆効果になりかねないからだ。治ろうとして焦って一気に色々試したのもよくなかっただろう。
まあ、「当たるも八卦当たらぬも八卦」みたいなとこも魔女の施しっぽいよね。


私は幼い頃から母の影響でアロマの香りが大好きだ。今もアロマオイルを焚きながらこれを書いている。
母は風邪をひいたときに枕カバーに私のお気に入りの香りのオイルを垂らしてくれた。暇そうな私をつかまえて首筋に香水代わりに塗っていくこともあった。今でも、それらの香りと一緒に母との記憶が思い出される。まるで母の優しさを纏っているみたいで、ちょっとくすぐったいけど安心したものだ。

そんな母は病院や薬が苦手で、私が病気をしてから通院をするかしないかでちょっと揉めた。薬との付き合い方を理解してくれるまでにも時間がかかった。魔女がみんなそうだとは思わないけど、ちょっと自然治癒力を過信しすぎるのはどうなのかなあと思う。心身が弱りきった状態で「あなたはもっと元気になれるはずよ!」なんて言われてもね。


ヒーリングストーンやアロマ、ハーブなどの効能は、せいぜい「心の拠り所」くらいのものだ。占いを始めとしたスピリチュアルな事物だってそう。科学的なものみたいに抜群に効くわけじゃないから、心身が疲れ切っているとまるで効果を為さない。でも、日常のひと手間くらいの気持ちで何か覚えておくと、ちょっとだけほっとする。「ほっとする瞬間」を習慣として継続することで、結果としてヒーリングになるんだろうなと私は思っている。
だから、のめり込むと空回りする。ほどほどに付き合おうね。

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