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【認知心理学】記憶と忘却のメカニズム


記憶とは

情報の記銘から保持の過程は情報の符号化および貯蔵の過程と呼ばれる

多鹿秀継、「情報処理過程としての人間の記憶」、人工知能学会誌、16巻1号、pp.111-118、2001年
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsai/16/1/16_111/_pdf

経験や学習により得られた新たな情報を貯蔵あるいは保持したり,それを取り出して再現すること

船橋新太郎、「学習と記憶のメカニズム」、電学誌、115巻12号、1995年、pp.778-781
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/115/12/115_12_778/_pdf/-char/ja

記憶の3つのプロセス

・符号化(記銘):記憶するために覚える過程のこと
・貯蔵(保持):記憶された一定時間情報を保持しておくこと
・検索(想起):保持されている情報を引き出す過程のこと

記憶の種類

・感覚記憶:知覚された外界から得た情報
      見たものがすべて記録されていて大容量だが、持続時間は1秒
      以下と短く、新しい情報が入ってくるとそれに上書きされて
      消えてしまう
      (例)眼にうつった情報が残像として残るイメージ
・短期記憶:感覚記憶の中で注意を向けた情報
      認知活動に能動的に短時間だけ利用される記憶システムで、
        7±2チャンクが容量と言われている
      (例)電話番号を一時的に覚えることができること
・長期記憶:短期記憶が精緻リハーサルされて永続的に保持される記憶
      現在の認知活動に使用されてはいないが,潜在的には利用可能
      (例)頻繁に使用する固有名詞、歩き方、呼吸の仕方
・作業記憶(ワーキングメモリ):頭の中で暗算をするなど、一時的な情報処理のために短期的に留めておく記憶

長期記憶は宣言的記憶と非宣言的記憶の2種類に分けられる
宣言的記憶
・エピソード記憶:いつ、だれが、どこで、何をなどの日常的な出来事についての記憶
・意味記憶:知識
非宣言的記憶
・手続き的記憶:自転車に乗ることや、飲食をすることなど、言葉によらない記憶

忘却とは

メカニズムとしては以下4つの原因が考えられる

・記憶痕跡の減衰:記憶した情報があまり思い出されなければ、時間の経過とともに記憶痕跡が薄れていく

・干渉:順行干渉  以前の記憶が新しい記憶を思い出すことを妨げる
   :逆行干渉  新しい記憶が以前の記憶を思い出すことを妨げる

・検索失敗:適切な手掛かりがないため記憶情報が見つからず思い出せないこと

忘却の例

  • 記憶痕跡の減衰:第一児の育児の際に新生児のお世話をしたにも関わらず、数年後に第二児の育児の際になると新生児のお世話の方法がわからなくなる

  • 干渉(順行干渉):複数回使用している駐車場にて、以前使用した場所を思い出してしまい、今回駐車した場所がわからなくなってしまう

  • 干渉(逆行干渉):チーズケーキを作った後に、タルトケーキを作ったとする。後日チーズケーキを作ろうとするとタルトケーキの作り方が思い出され、チーズケーキの作り方が思い出せない

  • 検索の失敗:顔だけがぼんやり思い浮かぶ程度の記憶が残っている小学生時代の同級生の名前を思い出したいが、手がかりが少なすぎるために思い出せないこと


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