【あとがき】甘い甘い恋愛小説を書きたかったんです
もともと私が小説を書き始めたのは、中学生の頃「自分が読みたい小説を自分で書いてみたい」と思ったのがきっかけでした。
中学時代、片岡義男さんの小説にハマって(これはかなり早熟、だと、とTWITTERの片岡さんのサイトの方に言われた)、大人びた考え方をしていた私は、恋愛に対して一歩冷めた部分があったように思います。
自分自身の恋愛は当然のことながら、不器用でした。
自分の中の想いが高まって、爆発するみたいに「好き」と告げる。
だけど上手く伝えきれていなかったんじゃないかな、って言う気がします。
十代で小説を書いていた頃、私は恋愛小説や恋愛漫画があまり得意ではありませんでした。なんだか、気恥ずかしくて。彼氏と恋愛映画を見に行く、っていう子の話が本当に信じられなかった。いや、いたたまれんだろまじで。
20代になって小説を書かなくなった理由は、ただただ身辺に変化が多く、自分自身がなんなのか分からなくて迷走していた、というものです。
音楽を専門に学び、「言葉では伝えられないが音では伝えられるものがある」ということも経験則で知っており、おそらく書くという行為がそれほど重要ではなかったのでしょう。
それから30代になって無性に書きたくなり、そこで分かったのは自分が「書けてしまう人」であり、だからこそ本当に書きたいことを絞り込まなければならない、ということでした。(商業ベースに乗るかどうかはまるっきり別の問題です)
今回の作品では今迄書いたことがない作品を、いっそ甘さを前面に出した作品を目指しました。ちなみにタイトルは最初「私の彼は顔がいい」というダイレクトなものでしたが、「だって、君が好き」に変わりました。
時系列でいくと、「CAROUSEL」までの二人は付き合ってません。
この三作品は、夏→晩秋→春、と、季節がテーマです。
「ローズクォーツのブレスレット」から「海と君とはじめての夜」までの彼女は学生です。
「釣り合うとか釣り合わないとか」がこの連作の最初に下書きしたもので、ここから彼も彼女も共に社会に出て働いているという設定になります。
年月は長いけれど、実は最初の四年間二人は完全な遠距離恋愛で2~3か月に一度顔を見られるだけ。辛抱強く彼が彼女の不安を取り除いて、彼女も待つだけの女の子ではなかったので続いたと言えるでしょう。
(遠距離恋愛って難しいな、って思います)
各話には私がイメージしたBGMを加えています。かなり自分の趣味を出しています。インストものも多いですがよろしければ流しながら読んでいただくのもいいと思います。
「彼」にはうっすらとモデルになるキャラクターがいます。
実はおぼっちゃまのくせにめちゃくちゃ口が悪い。ワイルド俺様オラオラ系。なのに、好きになった女の子には一途。筋肉質のスポーツマンの外見なのに知的なイメージもある男性が「彼」です。声質は私の好きな低めの声。
それに対して「彼女」は可愛らしいイメージ。ただ、きゃぴきゃぴしているタイプではなく、落ち着いた感じです。
本当は自分でいろいろ考えて動ける程の子だけど、どっか自信がない。
読み返すと本当に彼女、よく泣いてますよね。いや、泣かせてごめん、ほんと。可愛くて、ついつい。でも自分で自分の進む方向を決めることができる子なので、芯は強いです。
恋はいつか終わるもの。だけど私はこの二人の恋の結末は必ず人生の伴侶として結ばれる形にしたいと考えていました。
最終話でそれが上手く書けたかどうかは分かりませんが、結婚記念日をちゃんと覚えているだんなさまってなかなかいいでしょ?奥様をちゃんと今でも愛しているんだな、っていう雰囲気が出せていたらいいなと思います。
今の私は、彼らを見守る親世代になってしまったけれど、書きながらとても楽しい日々を過ごせました。このお話を気に入っていただけたなら幸いです。
最後までお読みくださってありがとうございました。
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