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UI/UXデザイナーの私が転職するまでに考えたこと

2017年秋に新卒入社したチームラボを退職しました。UI/UXデザイナーとして、2年8ヶ月お世話になりました。

2月半ばから感染予防のため在宅勤務だったため、ほとんど誰にも直接ご挨拶できずの退職になってしまいましたが、
この機会に、転職にあたって考えたこと・これからのことを、記録として書いてみようと思います。

01 / 場違いなボスキャリでの就活

少しだけバックグラウンドを...。
大学時代はアメリカのミシガン州にあるアート/デザインの大学で、グラフィックデザインを学んでいました。
なんとなく英語が好きで、なんとなくグラフィックデザインという響きに憧れて、兵庫県の普通の公立高校から、ミシガン州のGrand Rapidsという場所にある語学学校を経て、そのまま現地の大学に入学しました。
こんなふわっとした理由でも応援し続けてくれた両親には、本当に感謝してもしきれないです。

在学中はほとんどデジタル関連のデザインには触れず、むしろ、紙最高!みたいな大学生活でした。

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制作活動に没頭しすぎて、気付いた頃にはもうシニア(4年生)で、日本にいる友人等は就活を終えかけている時期でした。
何かしないと...と思い、ボストンキャリアフォーラム(以下ボスキャリ)に行ってみました。

毎年秋に開催されるバイリンガル向けの就活イベントで、開催中の3日間だけそのエリアがスーツを着た何千人ものの学生たちで溢れかえる光景はなかなか異常ですが、それぐらい大規模なイベントでした。
参加している学生も強そうな人ばかりで、参加企業も金融・商社・IT(エンジニアがメイン)などの業種が多く「あれ、場違い...?」と思うほど、クリエイティブ系の募集はほぼありませんでした。

圧倒されて疲弊していた3日間の最終日に、面接の機会をいただいたのがチームラボでした。

「いや〜スーツほんとしんどいよね、みんな私服でいいのにね」

そんな会話から始まった面接で、こういう会社もあるんや...よかった...と心底ホッとしたことを覚えています。

正直その面接時は、チームラボの活動についてあまり知らなかったのですが、チームラボの作品や、チームとして何かをつくり上げること、そしてものづくりへの熱意や姿勢など、色々なお話を聞かせていただきました。
それからだんだん会社について知っていく中で、今まで触れてこなかったデジタルにおけるクリエイティブが持つ可能性に強く魅力を感じ、2017年秋からUI/UXデザイナーとして働くことになりました。

02 / チームラボにUI/UXデザイナーとして新卒入社

チームラボUI/UXデザイナーという組み合わせがあまりピンとこない方もいるかと思いますが、お台場のチームラボボーダレスをはじめとするようなデジタルアート関連の事業とは別に、デジタルソリューションを様々な企業に企画提案/開発する「ソリューション事業」が存在します。
私はそのソリューション事業に関わるデザイナーとして働いていました。

※どんなことやっているのか気になる!という方はこちらをぜひ読んでみてください(サムネが採用になってますがリーダー3人のインタビュー記事です)。

入社した頃から大規模の案件に携わらせていただき、
・インターフェイス、グラフィックのデザイン
・企画、構想策定
・ユーザー体験の設計...
などをチーム単位で行い、様々な経験を積ませていただきました。
新卒で入社して3年弱で、これだけ色々できる会社は本当に稀だと思っています。

公開OKな案件があまりないので業務内容の詳細は割愛しますが、上司をはじめ案件ごとのメンバーにも非常に恵まれ、社会人として働いた初めての会社として、たくさん成長させてもらえた環境だったと思っています。

03 / 入社2年目、立ち止まって色々考えたこと

新卒で入社してから、とにかく目の前のことにひたすら挑戦し、色々と勉強させていただきました。
そんな中なんとなく自分の中で、このままでいいのかな、と思い始めてきたのが約1年前でした。

振り返るとモヤモヤしていた原因は主に、
・UIデザインを専門とする仕事自体に対する将来性の不安
・大学時代の友人たちが国境を越えて活躍している姿と、今の自分との比較
・700人+の会社での大規模な案件におけるコミュニケーションの難しさ
などがありました。

しかし同時に、環境に慣れてきて、チームラボが自分にとって居心地のいい場所に変わってきたタイミングでもあったため、そのモヤモヤを解決する努力も特にせず、
また「まだ2年ちょっとしか働いてないし...まだまだ未熟だし...とりあえず3年は...」と、深く考えることを先延ばしにして、日々過ごしていました。

しかしある日、sketchのシンボル整理をしていた時、ハッと思いました。

とりあえず3年ってなんやねん、と。

モヤモヤしてる原因にちゃんと向き合うことから逃げる期間を、自分で勝手につくってただけだったと、気付きました。

今の環境で何かやり方を変えてもう一度がんばってみるのか、新しい世界に飛び込むのか、今の自分に取ってどちらが正しいのか、まずはしっかりと自分と向き合い考えることを始めようと思えた瞬間でした。

そして2019年の暮れからの3ヶ月間は、ひたすら考えることに専念しました。
同業種の知り合いやいろんな会社の方にお話を聞いていただいたり、尊敬してやまないデザイナーの書籍を読みまくったり(このnoteの最後で少し紹介してます)、自分の考えだったり色々まとめたfigmaの資料を作ったり...。

最終的な考えに至るまでに、誰かに自分の考えを赤裸々に話して聞いてもらうことや、言葉にするのが得意ではないので、自分の思いを言語化するために本を読むなどインプットも必要で、とにかく時間がかかりました。

04 / これから大切にしたいと思った3つの軸

結果的に、
1. 課題解決のために媒体を選ばず、広い領域でデザインができる
2. 国内外問わず案件に取り組める
3. 1つの組織が成長していく過程に貢献できる
という大切にしたいことに気付き、その3つを大きな軸として、マッチする環境を探しました。

1. 課題解決のために媒体を選ばず、広い領域でデザインができる
媒体(デジタル・紙媒体・プロダクト・インスタレーション...)や手段(サービス・ブランディング・広告...)に拘らず、社会や組織が抱える課題に最適な手段を提供できるようなデザイナーになりたいという思いが強くあることに気付きました。
改めて大学時代のプロジェクトなどを振り返ると、少なからずずっとそのような気持ちはあったのかもしれないと思いました。
さらに「デザイン=見た目」だけの話ではなく、ビジネス的な観点、そしてエンジニアリングの知識や経験、今後よりいっそう視野を広げてものづくりに携わっていける環境が良いだろうと思いました。(この辺りは田川欣哉さんのイノベーション・スキルセットが一番参考になりました)
2. 国内外問わず案件に取り組める
アメリカの大学に在学中の友人たちと久々に話すと必ず聞かれるのが、「ずっと日本で働くの?」と言う質問でした。
自分の中で出した答えは、今は東京という場所がおもしろく魅力を感じているので、東京に住みながらでも、海外のクライアントと仕事ができる環境はあるんじゃないか、というものでした。
もう英語が話せること自体が武器になる時代ではないですが、他の文化圏で根付いているデザインについての考え方、クセ、特徴を学ぶことができたら、それはかなり将来の糧になると思ったのです。
3. 1つの組織が成長していく過程に貢献できる
会社という組織が、どのように成長していくかに、興味があることに気付きました。
業界としては大きめの会社で働いてみて、制度などの面も含め良かったと思うことは本当にたくさんありました。
そんな中で、会社ってどうやって成長していくんだろうという単純な疑問と興味があり、その成長に貢献してみたいという気持ちもどこかにありました。
それは自分のスタジオを持っているフォトグラファーの父や、スタートアップで奮闘する彼氏の影響など、周りの影響も多くありました。

大学時代学んだことや、周りの人の影響、読んだ本で記憶に残っていたもの...などのように、何もないところから急に思いついて出てくるようなものではなく、今までの経験や様々な物事を繋ぎ合わせて言語化していく作業でした。
時間がかかりましたが、半年前の私にとってはすごく重要でした。

05 / 5月からI&CO Tokyoで働きます

かなり具体的な転職活動の軸が定まった結果、軸に当てはまる少数の企業に絞り、転職活動を始めました。最終的に応募したのは2社だけでした。
そして、長い道のりだった転職活動を終え、I&CO Tokyoでデザイナーとして、5月から働かせていただくことになりました。
ニューヨークに本社を置く、ビジネスインベンションファームを掲げる会社です。

Tokyoオフィスは昨年の夏に開設され、そこで9人目のメンバーとしてジョインすることになりました。
UI/UXのスキルを主軸に、ブランディングやサービス、プロダクトなど、幅広いデザインの領域で制作に携わっていきたいと思っています。

ここに至るまでにサポートしていただいた方々、アドバイスをいただいた皆様、そして本当にたくさんのことに挑戦する機会を与えてもらったチームラボの皆様に、心から感謝しています。本当にありがとうございました。

...と言っても本当にまだ通過点にしかすぎないので、自分のやりたいことに愚直に、全力で挑戦していきたいと思っています。温かく見守っていただけると嬉しいです。

余談ですが、チームラボもI&COも★のロゴで、謎の繋がりを感じております。

余談 / そして1ヶ月の有給消化と緊急事態宣言...

冒頭でも書きましたが、2月半ばから在宅勤務だったので、最後の1ヶ月すらも出社せずにヌルっと退職するという形になってしまいました。
それが分かって、「人と!対面で!飲みたい!」と騒いでいましたが、送別会も同期やチームの方々にリモートでやっていただき、なかなかない経験をしていると思っておもしろくなってきて、今ではリモート飲みで二日酔いになるぐらいまで成長しました。

うどんを打ったりパンを焼いたり、用途もわからない謎のスパイスを買ってみたり、野菜の種や苗を買ってみたり、筋トレしたり走ってみたり、文章を書くことへの苦手意識を克服するためにnoteを書いてみたり...どこに向かってるかわからないようなことばっかりしてますが、家にいて楽しめることって、きっといっぱいあると思いました。

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※実際に外出自粛でパンを焼く人が増えたらしい。

最後に

長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。
このnoteは自分の気持ちの整理としての日記でしたが、今後はデザインに関するnoteなども書いていけたら良いなと思っています。

最後に、この期間に限らずですが、何度も読んで勉強させていただいている本を3冊だけ載せておきます。
昔から一番の憧れの存在で、デザインに対する考え方をいつも勉強させていただいている佐藤卓さんの著書「塑する思考」、
日本語でも英語でも何度か読ませてもらっている私にとって教科書のような存在の「デザインのデザイン」、
そしてこれからこの業界で生きていくことについてたくさん考えさせてもらった「イノベーション・スキルセット」の3冊です。


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