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とんでもなく贅沢な日光旅行をした話(シェルターガーデン宿泊記)

 関東近郊に住む者にとって、日光は比較的気軽に行ける旅行先だと思う。
おおむね、小学校の修学旅行で初めての東照宮参拝を済ませ、そこから大人になるまでにおそらく1、2回は旅行の候補先に挙がる。 
 とはいえ「東照宮」と「中禅寺湖」はどちらも駅からそこそこ距離があり、車の免許がない者には選びにくい。
かくいう私も免許がなく、日光に行くたびに行くのは、徒歩でアクセスできる「東照宮だけ」というのが定番になりつつあった。
正直なところ、期待値がもうあまりない。日光はそんな場所だった。

今年の夏休み。
ひょんなことからパートナーと日光へ旅行へ行くことになった。
旅のテーマは、「ちょっと、日常とは違う特別な経験がしたい」というもので、リッチなホテルや旅館、バケーションレンタルなども片っ端から調べた。
予約の取りにくい「THE KEY HIGHLAND NASU」や、隠岐ジオパークの中にある「Entô」、祖谷峡にまで目を向けたけれど、最終的に残ったのは、今回泊まった

「シェルターガーデン日光」だった。

日光への期待値を失ったアラフォー間近の私が、果たしてこの旅行を楽しめたのかどうか。
結果から言うと……

ここ最近の旅行で、ピカイチ。最高だった。


なにが最高だったか。ここからは、写真を交えて少し紹介していきたい。

①眺望

すさまじい。
入り口を入った瞬間、自然光の美しさをこれでもかと生かしたラウンジが目に入る。

美術館。私は美術館に泊まりに来た。と思った。

大箱の豪華なホテルとはまた違う、こじんまりしているけれど凄みのあるラウンジだ。自然光が美しく、またそこに生まれる影が美しかった。
テーブルの上にあるアンティークのオイルランプや、華美すぎないグリーン。すべて意味を持ってここに置かれている、そんなこだわりがなんとなく伝わってくるような場所だった。

何時間でもいられると思ったラウンジ。
暖炉のようなものもあったので、冬は火を焚くのかもしれない。


おそらく、このホテルの主役は景色だ。

➁インテリア

今回泊まったのは、リバービュースイート。
大きな窓と、存在感のあるラウンジチェアが2脚。
高いものだと100万円を超えてくるイームズラウンジチェアがふたつ入っている部屋は、インテリア好きな私とパートナーにはとても魅力的に見えた。

高い椅子って言っても、所詮は椅子でしょ?と思って座ったが最後、全然立ち上がれなかった。間違いなく、1日8時間は座った。
後ろにアイランドソファがあるが、そちらにはほとんど座ることはなく、ベッドに寝転がってぐだぐだする時間もなかった。
ラウンジチェアに座って、大きな窓の外にある景色を眺める。
それだけで、すり減っていた何かが回復していくような気がした。
都会に帰りたくなくなった。

大きいほうの窓は、大きな日本画のキャンバスのサイズにしてあるんだと聞いた。
宗教画の前にいるような気持ちになったのが腑に落ちた。

③食事

ここまでで100点だったので正直あとはなんでもよかったが、食事もとてもおいしかった。
ボリュームも多すぎず、デザートまでおいしく食べれる量だ。
私たちは18時のミュージックタイムに食事の時間を合わせていたので、テーブルには曲のオーダーシートが置かれていた。ジャズ・ポップス、ジャンルに関係なく、好きな曲をオーダーすると食事中に音楽を流してくれる。
もちろん、すべての曲がかけられるわけではないけれど、食事をしながら音楽に耳を澄ませ、2時間のコースがあっという間だった。


どのお皿も手が込んでいてとてもおいしかった。

宿泊体験を振り返る

ホテルにいる間、とにかくホテルの人とたくさん話したな。と今、これを書きながら思い出している。
ホテルに泊まりに来たというよりは、クリエイター仲間の家に泊まりに来て、いろいろな話をして過ごしたという感覚に近く、ものづくりの仲間をまた違う分野にひとり増やしたような、そんな気持ちになった。
自分の思う世界観をホテルという形に出力して、宿泊客はそれを味わう。
コミュニケーションが取れるとさらに楽しめる場所だな、という印象だった。
まだまだホテルとしては進化していく過程のようで、数か月後、数年後に訪れると、少し雰囲気が変わってくるのかもしれないし、バスルームなどはまだ改善の余地があるなという感じもあった。(シャワールームが比較的簡素なので)
ただ、マイナスの部分を差し引いてももう一度訪れたいホテルには間違いなく、たぶんそう遠くない未来に再訪するだろうなという感覚を持っている。

都会の時の流れをよく知ったひとたちが、都会と違う時の流れを作り、シェルターとしている場所。ちょっと疲れたなあ、と思ったときにぜひ、宿泊先の候補に入れてみてほしいなと思う。

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