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みんなが真似して「つくり手」になれれば、多様なニーズが満たされる

落合陽一さんの研究室で、手を使わずにドアを開けるツールが3Dプリンタを使って作られました。このツイートで見かけた方も多いかもしれません。

この足で踏んでドアを開けるツールを作るためのデータはGithubで公開され、だれでも参照できます(https://github.com/DigitalNatureGroup/FootKnob)。いろんな人が触るドアノブを触ることなくドアを開けられるなら、感染予防にも良さそう! あったらうれしい! と、みなさん感じるのではないでしょうか。しかし、実際に真似する人はなかなか出てこなかったそう。一体なんで?

xDiversityプロジェクト

この話を聞いたのは、落合さん率いるxDiversity(クロス・ダイバーシティ)プロジェクトが日本科学未来館とともに行ったシンポジウムにて。xDiversityは、私たち一人ひとりの身体的・能力的な「ちがい」から生まれる課題に対し、人工知能(AI)やロボット技術などコンピュータ技術を使って挑んでいます。2020年度から未来館の「研究エリア」に入居し、これからみなさんを巻き込んだ活動を進めていく予定です。

そんな活動の第一弾として行ったのが、シンポジウム『いま研究者と考える、「ちがい」を乗り越えるテクノロジー』(ニコニコ生放送)です。無料でいつでも視聴できますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。未来館の「研究エリア」とは? xDiversityが未来館でみなさんと一緒にしたいことは? なども話されています。

真似できそうで、できない

さて、本題に戻りましょう。みんなが欲しそうなツール、誰でも真似してください! という状態でも、真似する人が現れなかったのでした。これに対して、「amazon availableであることが重要」と落合さん。3Dプリンタが普及してきたとはいえ、「データを利用して3Dプリンタで出力すること」はまだまだハードルが高いのが現状です。おうちや職場などに気軽に使える3Dプリンタがある人って、やっぱり少ないですよね。だから、データだけ手に入ってもダメ。アマゾンで購入してモノが手に入りそれを好きにカスタマイズできる、くらいの誰にとっても手軽な状態でないと、なかなか真似できないのです。

つくり手が増えれば、多様な「ちがい」を乗り越えられる

逆に、そのくらい手軽になれば、たくさんの人が自分たちのニーズに合わせてカスタマイズしながら真似するようになる可能性があります。すると、最初は足で踏んでドアを開けるツールだったのが、たとえば膝の高さで開けられるものが出てきたり、もしかすると猫がドアを開けるためのツールなんかも出てきたりするかもしません。このように、真似しやすいものを提供することで、さまざまなニーズを持った人たちがつくり手になることができ、最初につくった人が想像もしなかったものが生まれてくる可能性があるのです。つくり手が増えれば、つくるものが多様になります。そしてお互いのつくったものから新しい発見があって、次の課題解決にもつながるかもしれません。さまざまな身体的・能力的な「ちがい」だって乗り越えられるのではないでしょうか。

xDiversityに巻き込まれに来てください!

xDiversityは今年度から、さまざまなニーズや視点を持った人を巻き込みながら、未来館で活動していきます。つくり手の卵を増やし、彼ら同士が話し合ったり繋がり合ったりできる場になっていくんじゃないかと思います。オンラインで視聴者の意見を聞きながら話し合うトークイベントも、未来館の場でのワークショップなども行っていく予定です。ぜひ、xDiversityに巻き込まれに来てください!


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