在宅中にしていたオンライン学習について。結論、Courseraすごいという話。
前回の記事でゼロからの領域をオンライン学習で勉強しはじめたことについて、そのきっかけ・背景を紹介しました。今回は具体的に「何をしていたか?」のHOWの話。特に、Coursera(コーセラ)というオンライン学習プラットフォームサービスが素晴らしかったので、紹介します。
Coursera(コーセラ)とは
すべてのコースがオンラインで学習・修了ができる、学習プラットフォームです。下記で詳しく書きますが、自分の解釈だと、本来は大学で学ぶレベルのコース・講座内容が、オンライン学習に適したパッケージとなっていて、誰でも受講できるというのがコア価値のサービスだと思っています。
📕 EdTechサービスのなかの立ち位置は?
■ポジション
・ラーニングコンテンツプラットフォーム
■形態
・MOOCs(ムークス)という、大規模公開オンライン講座
・【教師:生徒】が【1:N】のモデルで、Nが数百〜数万規模になりうる
■コンテンツ
・大学・大学院で学ぶ高等教育コンテンツ
・有名大学のほか、Google、IBM、ボスコンなどの企業提供のコースもあります(この辺はTech関連、ファイナンス関連が多い)
■近いプラットフォームとの比較
・初等教育コンテンツの多いKahn Academyと比較すると、より高等教育に絞られています
・社会人(プロフェッショナル)向けのMasterClassや、日本のグロービスのオンラインなどのサービスと比較すると、趣味の延長として受けたいコースも揃っている印象。ビジネス以外のアートやデザイン、社会学、心理学など周辺領域が充実しています
↓Courseraで学べるコース(2020/07/01時点)
↓参考にしたカオスマップはこちら。EdTechたくさんある・・・
Global EdTech Landscape 3.0 – 15,000 teams building the future of education / https://medium.com/@patrickbrothers/global-edtech-landscape-3-0-15-000-teams-building-the-future-of-education-7cda8633c0ed
AIで学習時間を短縮するatama plusがEdTechカオスマップを公開、研究所設立も / https://jp.techcrunch.com/2019/07/31/atama-plus-edtech/
📕 スペック的なところ
■今受けられるコース・講座の数
※2020/07/01時点
・213の提供パートナー、4,523コースがあるそうです
・一部日本語で受けられるものもあります。ただし基本英語(ここのネックは後述)
■コース内容
・ひとつのコース内に、複数講座があります。
・さらに各講座内に4-6テーマ(これを1週間ずつで受けていく)
・さらに各テーマ内に動画コンテンツ(10分前後。これがメイン)、読み物コンテンツ(少なめ)、アサインメント(宿題)が入っています。合わせてだいたい2-4時間くらい
・同じコースの受講者同士の掲示板みたいなのもあるので、質問はそこで受講者やチューターにすることができます
↓コース内のコンテンツ
■料金
・無償で受けられるコースもあります
・有償の場合は、コース単位で購入し月額になります。だいたい見た感じ月5000円前後くらい
・上記の通り週3-4時間かけた場合、いちコース1-2ヶ月で受けていくペースになると、合計5000-1万円前後くらいなイメージです
Courseraのすごいところ4つ
💫知的好奇心くすぐられる分野をカバーしている
Coursera、たぶん皆さん見るだけで「おっこれ面白そうだな」と気になるコースが出てくると思います。個人的には、社会人3年目過ぎたあたりから感じる「大学生のとき、ちゃんとサボらずに勉強しておいたらよかったなー」という学生に戻ってみたい症候群を上手く突いてくるコンテンツが多い笑
私は今、California Institute of the ArtsのUI/UX Designシリーズを終え、UC DavisのData Visualization with Tableauシリーズを受けていますが、他にもMoMA提供のアート関連やら、pwc提供のプレゼンテーションスキルやら、心理学・社会学やら発見していて、、色々気になってます。
Schooのような個人スキルというより、大学の授業レベルの体系化されたラーニングコンテンツばかりなので、ゼロからの領域だけどしっかり全体像を把握して学びたい場合におすすめ。
※ただし個人によるかも
私の場合、
✗いきなり実践で断片的なスキルの積み上げをしていく
○基礎・全体像を体系的に把握→応用段階で実践に入る
パターンが合っているというのはあります。(これは受験の頃に思った)
🎬ほどよく断片的な学習コンテンツ(長くて10分くらい)
コンテンツ提供元に依るところはありますが、コース>講座>週のテーマ>学習コンテンツ→宿題 という構造になっています。紙の教科書でいうと、テーマが章、コンテンツが節 くらいの単位。
特にこの学習コンテンツの設計がうまいなと思っていて、長くても10分、2-3分で終わるものもある、尺が短めのコンテンツなんです。中身もいちコンテンツ、いちメッセージで一つ一つ消化していきやすい。
「オンライン」学習のなかではまだ「オフライン」座学の系譜を残しているところもあり、45分-1時間のながーい動画もよく見かけますが。Courseraは、オフラインのことは一旦忘れて、完全にオンライン環境でどうあれば学習しやすいか?というのを突き詰めて設計されてるんだなと感じます。
とはいえ、提供するのは各大学・企業。なので、プラットフォームガイドラインのようなものをCourseraが細かく設定しているのか、ある程度コンテンツ内容をコントロールしているのかなと。このあたりの裏側興味ある。
🧑🤝🧑受講者同士の評価
Courseraは、高等教育のオンライン化なので、取ろうと思えばコース修了証のような証明証が発行できます。LinkedInと連携できたりするらしい。
これが、受ければ誰でももらえるわけではなくて、一定値の成績をクリアしてコースに合格すると「修了」したことになります。なので成績評価が必要なんですね。
じゃあこの成績どうやってつけるの?というのが面白くて。シンプルな選択肢テストの場合もあるのですが、UX/UIデザインのように各個人のアウトプットの評価が必要な場合、同じコースの受講者同士でアウトプットを評価し合います。私が受けたコースでは、一人に対し3-4人が点数・コメントをつけ、総合点を出すという仕組みになっていました。
・明らかにジャッジできる条件は、YES / NOで定量的に点数付け
(例えばデザインパーツは〇〇個以上あるか?、ユーザーフローにデッドエンドはないか?など)
・印象や完成度に関わる部分は、Excellent / Good / Bad という段階評価+定性コメントを入れる
(プロダクトのキーアイディアと、デザインの温度感・トンマナがあっているか?など)
という設計が多かったです。
MOOCsだと講師:生徒が1:Nで大規模。一人ひとり講師が採点することが難しい一方、生徒側をランダムにマッチングさせてお互いに点数をつけ合えばある程度正しかろう評価になるという設計が、非常にプラットフォームらしくて面白いポイントです。自分で学習を進められるタイプの人だと、他の受講者のアイディア・アウトプットに触れて、ヒントもらえたりするので特におすすめです。
👏Courseraサービス自体のUXの良さ
Courseraのサービス自体がUX設計に優れています。
例えばオンライン学習環境でも復習がしやすいように、画面キャプチャをメモとしてクリップできる機能があったり。
↓メモクリップはこんな感じです。これめちゃめちゃスムーズで一番感動した
英語圏以外の学習者も多いのだと思いますが、講師が話しているスクリプトが画面下に表示されていて、その時に喋っている部分にリアルタイムでハイライトがついてたり。あとは受講生同士の評価の際、「英語圏じゃない人もいるから、言葉尻じゃなくて中身で評価してね」という補足が入っていたのも配慮があってよかったです。
↓字幕部分は緑でハイライトされるので分かりやすい。メモした部分は青色になります
最近のオンライン学習ってこんな感じなんでしょうか。高校生のときに受験のために東進に通っていて、地元・広島から東京校の授業を頑張って受けていたことを思い出します笑
当時の東進のように、オフライン向けの講義をビデオ収録&宿題・評価は紙ベースというのがオンライン学習1.0だとすると、ストリートアカデミーやSchooのようにオンライン配信を目的とした動画での学習・プラットフォームが2.0。そしてCourseraは、宿題・評価・復習といった周辺プロセスもまるっとオンラインベースで設計しているという意味で、オンライン学習3.0といえるのではと思います。未来を感じました。
習慣化のリズムを作るために工夫したこと
最後にいくつか習慣化させるために工夫したことを紹介します。オンラインに限らず、何かを片手間で勉強していくときのコツかもしれないです。
✅ 1日でインプット→宿題でのアウトプットまで終わらせること
平日なかなか時間取れないので、土曜日の午後〜夕方で3- 5時間やってました。30分ほどで休憩入れながら、1-2時間で動画を見る。その後1時間くらいで集中して宿題をやりきる、というリズム。
特にUX/UIのコースは、イラレやAdobeXDなど新しいツール自体を使う必要があり、最初は目安2時間と書いてある宿題も3時間以上かかったりすることも。ただ土曜日に終わらなくて日曜・平日に持ち越すと、「ああ、あれやらなきゃ」とふと思い出して義務感が出てしまいそうだった(昔受けてたグロービスの講座がそうだった笑)ので、一気に土曜日に完了させることを徹底しました。
本業じゃない領域を片手間でかじっているという前提なので、アウトプットの完成度よりはスピードを優先させようと思い、割り切っていたというのもあります。これは自分の頭の中でも重たいタスクにならずに、サクサク楽しいままで進む上で大事だったかもしれません。
💪 頑張ってスピードアップしすぎないこと
これも同じ【楽しいままで】を大切にした結果なのですが笑 上記の通り、コースは基本的には週1テーマをこなす設計になっています。それに合わせて、週1ペースでやれればいいやと割り切り、力んで週2-3で集中して頑張っちゃうっていうのは無しにしました。
内容が面白いので1日集中してゴリゴリこなす、というのもできそうですが、今後も継続的にいろんなコースを受け続けたいので、ペース作りのために週1テーマまでというのは意識的に守りました。
まとめ
以上、とにかくCourseraべた褒めでした笑 インプットしたいスキルレベルと内容、自分に適した学習方法によりますが、
・周辺領域のリテラシーをつける程度で(60-80点くらいの及第点レベル)
・ゼロから基礎を学びたい
・週1くらいで趣味的に学びたい(でも気づいたら1ヶ月で1コース終わるので、1年で12テーマいけるんですよね)
みたいなニーズの人にはぜひおすすめです。
ネックになりそうなことは2点。
まず英語です。字幕があるので、高校・大学レベルの読み書き英語ができればたぶん大丈夫です。スライドの文字も分かりやすいです。とはいえ専門用語は分からないので、動画内で複数回出てくるキーワードは調べてメモしてました。
私はスピーキングはめっぽう弱いのですが、Netflixのおかげでリスニングは比較的できるので、英語コンテンツでも大丈夫でした。一部ビジネス系のコースは、日本語字幕もあります。
専門分野を極めるには難しいかもということ。今回デザイン領域だったからかもですが、アイディアに対してフィードバック・修正していくには受講者同士の評価は物足りない部分がありました。どうしても自分の世界を保ったまま微修正レベルになってしまう。
かじる程度であればよいのですが、専門分野として磨くには、よりプロのアウトプットの評価が入るものか、本業で実践するか、どちらかでカバーしないと難しいかもしれません。
今Tableauによるデータビジュアライズを受けていて、たぶん7月中旬には終わるので、次は趣向を変えてMoMAのアート関連のコースを受けようかなと思っています。前回の記事のラストで気になっているコースをおまけで付けたのでぜひそれも参考に。
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