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詩「眠れない夜」


暗闇の中で影がきれい。
眠れない夜ほど感覚が冴える。
壁の奥や床のすきまに
流れる気配がゆるやかに泡立つ。
深海のような孤独にも、
耐えうるべくして生れた体。
寄り添うように闇が這う。
ここがここでなくなる過程で、
やっとわたしはわたしに見つかる。
どんなに絶望していても、
鮮やかに自分を嗅ぎ分ける力。
暗さの中にも濃淡が、
孤独の中にも静けさと賑やかさとがある。
だれにも分かってもらえないことは、
ときにとても気持ちのいいこと。
そう思えたら、
わたしはやっと眠れない自分も
認めてあげられる気がするよ。
まだわたしにさえ見つかっていない自分が
今日も孤独の中を泳いでいる。
まるっきり自由に、
悠々と。


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