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詩 今日しかない私を

旅先の街で聞く
朝が降りてくるときの
しずかな気配。
閉じたカーテンの向こう
広がる光と
ホテルの真っ白なふとんから抜け出した
私のたましい。
ほんとうは毎日
目が覚めると生まれ変わる。
しゃらしゃらと音を立て
冷たさとあたたかさに分類され
昨日が形になる。
その半ばで毎朝の私は
ぬるい生身のからだを起こす。
いつか死んでゆく人である不思議よ。
今日も私であることの軽妙さよ。
ホテルの朝食はなんだろうと
起き上がる前に想像する。
黄色いスクランブルエッグ
くし切りにされた果物のひかり
トースターでパンを温めなおす
じぶんで、この手で。
昨日のたましいがどこにあっても
私は生きる
今日しかない私を。



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