Poem|23:61

テレビの音が消えると
世界に取り残されたみたい。
この体の温もりだけが
自分にやさしくて、
泣きたくなる。
悔しくもなる。
年は明ける。

あした食べるものたち。
にぎやかなはずの彩りも
息をひそめている。

体にかたちがある。
そのことがときどき
不安の要因になる。
私が私として生まれてきたことが
なぜこんなにも
かたちに残っていくんだろうか。

除夜の鐘をききながら
眠れずにいる。
毎日が等しく
きのうのつづきのはずで
毎日が等しく新しいのに。

かたちのない私を
見捨てられたみたいで
泣いている。
あなたを迎えにいくのは
かたちある私じゃないよ。
そう約束する。

その約束を誓うため、
あした鳥居をくぐる。

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